- 雨を降らせる機械からiPhone電脳メガネまで「自分が欲しいから作った」Mashup Awardめっちゃ楽しい12作品【鈴木まなみ】 - 2013-11-19
- スマホアプリは大手有利の時代【湯川】 - 2013-07-05
- そしてMacBook Airは僕にとっての神マシンとなった【湯川鶴章】 - 2013-06-14
株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
斉藤 徹
Facebookが噂の新Q&Aサービス,”Questions”を正式にアナウンスした。
多くのブログメディアに取り上げられて(TechCrunch, Mashable, VentrueBeat, InsideFacebook, TheNextWeb)おり,Facebookの新たなキラーコンテンツになるのではという期待感が高まっている。当記事では,それぞれから重要なポイントを集約してご紹介したい。
まず新機能 Questions は正式アナウンスされたが,5億人全ユーザーにリリースされているわけではなく,約300-500万人のβテスターによるテストが始まっているとのこと。ただし近日,全ユーザーに開放される予定のようだ。
そ の機能はシンプルだ。ひとことで言うと,Facebook全ユーザー(友人などへの限定した相手への質問機能は現時点ではないようだ)5億人に対しての Q&Aサービスで,日本で言うと「はてな」の人力検索,「教えてGoo」,「Yahoo!知恵袋」などに相当するものだ。
MashableやTechCrunchに掲載されているβテストユーザーの画面で機能を追ってみよう。
【出所: Mashable】
まず左メニュー,ゲーム,アプリケーション,写真などと同等の機能として「Questions」が表示される。
そして質問を投げ るには,ウォール(自分用の掲示板)からステイタス・アップデイトのような形式で質問を記入し,「Ask Question」をするだけだ。ただし気をつけたいのは,現時点ではステイタスや写真と異なりプライバシー設定機能がなく,完全なパブリック,つまり5 億人全ユーザーに届くという点だ。
【出所: TechCrunch】
ただしFacebookでは,質問内容ごとに専門家と想定される人物を独自分析(おそらく質問に付与できるタグ等で,興味対象と指定しているユー ザーや支持の高いユーザーを分析するのではないだろうか)し,それを表示する機能を検討しているようだ。これにより,多数の回答が来ても,友人ないし専門 家の回答を見分けることができるというわけだ。これはソーシャル・ネットワーキング上の関係性でキーとなる「信頼と同好」を重視したアプローチだ。
【出所: Mashable】
また上記画面のように,単純な質問だけではなく,投票形式で簡易アンケートを実施することも可能となっている。さらに写真をベースにした質問(この動物の名前をご存知ですか?など)もある。Mashableによると次のような機能が用意されるようだ。
- 写真質問機能: 写真を同時掲載して,それに関する質問を付与する機能
- 投票機能: 投票形式で多くのユーザーから簡易アンケートをとる機能
- タグ機能: カテゴリー分類するためのタグ機能。QAディレクトリを構築するのが狙いだろう
- トピック探索機能: カテゴリーを選択できるドロップダウンメニューなどの機能
- フォロー機能: 特定の質問をフォローすることで,回答が入るとアテンションされる機能
このFacebook Questionsが狙うのは「人類の暗黙知を活用した検索エンジン」だろう。そもそもソーシャル・ネットワーキングの草分けとも言える Friendster(米国トップSNSは,FriendSter → MySpace → Facebook と推移している)が登場した時に,一部イノベータの間では「新しいGoogle」として注目されていた。
その意味するところは「人による 検索エンジン」ということだ。Googleが世界中のWebサイトを収集分析し「形式知の集約」を狙っているのに対して,Friendsterは友人に質 問することで「暗黙知の集約」を図れる点が新しかった。ここでポイントは,人類の持つノウハウのうち形式化できるものは10%にも満たないといわれている こと。つまり重要で最新の知見は人の頭の中にこそあり,それを検索エンジン化するのは困難だということだ。
Facebookはいまやアクティブユーザー5億人で,しかも5ヶ月ごとに1億人が増加している人類英知の輪だ。このQuestionsが軌道にのれば,人類は,究極的な暗黙知の活用ツールを得ることになるかも知れない。また同じような狙いを持つ Yahoo!Answers, Quora, Mahalo, Aardvark, ask.com などにとって決定的なライバルの登場と言えるだろう。それはTwitterにとっても同様だ。
【Facebook関連】
・ Facebook最新統計を発表。MAU5億人,モバイル1.5億人,オープングラフ連係100万サイト (7/24)
・ 米国でのFacebook浸透率はついに70%超。全国民参加メディアへ驀進中 (7/14)
・ FacebookのLikeボタンは毎日30億回プッシュされている! (7/8)
・ ログインID戦争ではFacebookが46%と圧勝,続いてGoogle,Twitter (7/8)
・ 世界のSNSマップ最新版。Facebookが131ヵ国中111ヶ国でトップ (6/15)
・ TwitterとFacebook,どちらが世界最大のソーシャル・ネットワークになるのか? (4/19)
著者プロフィール:斉藤 徹 (さいとう とおる)
株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
2005年が創業。国内での企業向けSNS構築分野でトップシェアです。
(ミック経済研究所,アイティーアール社 2008年調査にて)
現在は,企業コミュニティを単体で捉えるのではなく,多様なソーシャルメディアと有機的に結びつけ「クチコミ動線」を設計・構築・運用するコンサルティング・ファームとしての色合いを強めています。
書籍・コラム・ブログは個人活動ですが,ビジョンとノウハウは,ループス社員一同で共有しています。創業テーマである Socialmedia Dynamics を見つめながら,ソーシャルメディアやクラウドソーシングの分野で高い専門性を磨き続けたいと日々励んでいます。(といっても全く堅い人間ではないです。 特に夜は柔らか過ぎと定評です)
Twitterアカウント toru_saito
ブログへのご意見やご質問その他,お気軽にコンタクトください。
この機能を見ても分かるように、ほぼ全ネットユーザーを網羅できて、しかもその網羅したユーザーのソーシャルグラフ(人間関係)、属性データを使うことができれば、既存のウェブサービスが1つ上の段階に進化できるのだ。
これはなにも「はてな」の人力検索,「教えてGoo」,「Yahoo!知恵袋」などのようなサービスに限定された話ではない。今日ウェブ上で成功しているほとんどすべてのサービスに当てはまることだ。Facebookは、今日成功しているといわれるほとんどのウェブサービスに対して、互角に戦えるサービス、もしくはそれを大きく超えるサービスを、いとも簡単につくり上げることができるということになる。
これがソーシャル技術の持つ潜在的な力なのである。ウェブの勢力図を大きく塗り替えることのできる力なのである。