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台湾Openmoko社が2009年10月に北米等で発売したウィキペディア専用リーダー「Wikireader(ウィキリーダー)」(価格99ドル)。今年7月21日にブルードットが日本版の販売を開始した。
静電式のモノクロタッチスクリーンに「検索」「履歴」「ランダム表示」という3つのボタン。消費電力を抑えており動作時間は1日15分の使用で約1年間という。Wi-Fiは搭載しておらず記事はSDカード経由で読み込む仕様だ。一見ローテクなガジェットだが米国ではヒットしており、日本でも筆者を含め辞書を多用する人の評価が高いのだ。
登録されている辞書は日本語版・英語版・中国版であわせて約400万のウィキペディア記事。これだけでもかなりのモノである。辞書は年数回提供され、ファイルをダウンロードしてSDカードにコピーすることでWikireaderをアップデートする。
筆者がOpenMocoファウンダーでありWikiReaderディレクターのSean Moss-Pultz氏から「かなり高い優先度で作業をすすめてるから!」と連絡をもらったのが2009年10月。半年たらずで日本語版がリリースされた。検索機能や日本語の表示でどれだけの完成度があるかと思ったが、英語版と何ら変わらない。
日本語入力、検索と辞書遊び
検索時の日本語入力はガラケーと同じ。けれども頭文字だけで候補が表示されるので目的の単語を素早くみつけることができる。この点が辞書をペラペラめくっている感覚で、さわっているだけで楽しい。
キーワード表示時は、指でスクロールさせることができる。iPhoneと同じ静電方式なので軽快さはまずまず。文中の単語リンクも機能しているので、指だけでどんどん知識を深めることが可能だ。
過去検索したキーワードは履歴ボタンを押すと一覧で表示される。いちいちブックマーク&付箋することなく辞書利用履歴が見られるようなもので使い始めると便利だ。さらにランダムボタンを押すと、任意のキーワードが自動で選択され表示される。ひまつぶしに、知識探求にも最適。
美しい筐体デザイン
美しいデザインのガジェットは使用していると何とも心地良いもの。接写で撮影してもその洗練された意匠は伝わるのではないだろうか。
優れたデザインを担当したのは、元アップルで、iMacデザインチームでコンピューティングに新領域を構築、その語ポルシェ・アップル・ナイキなど世界の名立たる工業意匠に関与したトーマス・メイホッファー(Thomas Meyerhoffer)氏。そう、あの「Chumby(チャンビー)」をデザインしたあの人だ。
彼はWikireader発表時、「Wikipediaを使用するということを強くイメージした」といった内容の発言をしていた。使い続けると彼のフィロソフィーが伝わってくる。これはスマートフォンでもモバイルネットガジェットでもない。
「スマートフォンがあるじゃないか」
「ウィキペディアならスマートフォンからも検索できるのになぜ専用端末?」と思う人もいるかもしれない。しかもiPhoneよりも大きいものを持ち運ぶのかという疑問。それに、パソコンで作業をすることが多い現在、ウェブブラウザでウィキペディアは閲覧する人も多いだろう。
けれども、手頃で持ち運べる端末だからとiPhoneと比較してしまう、それは安易な発想だということに気づかされる。やはりWikireaderはデスクトップに置いたり、しばしば辞書を利用するシーンを想定し、その際に最適な体験ができるような(アフォーダンス)特性を持っているように感じられるのだ。毎日使用していると、ごった煮のスマートフォンとは別の存在になる。ネット辞書を活用するというスタイルを尊重しようとする発想が生まれてくる。
■ 関連URL
・尋ねてみよう!今すぐここで – WikiReader
http://wikireader.jp/
・[英語]WikiReader
http://thewikireader.com/index.html
・Openmoko
http://www.openmoko.com
Wikireaderはオープンソース。ソフトからハードまで仕様が公開されている。個人で独自設計を公開するのもいいし、予算のある大手さんがデザインの新領域に挑戦するのもいいと思う。僕は、始め記事に書いたように「iPhoneでいいし」と思っていた。文字は美しくないし。けど、辞書をズンズンひいているうちに、このデバイスが愛しく思えるようになってきてしまった。子供にiPhone/iPod touchを与えると(余計なものばかりみて)いろいろ問題があるが、これはプレゼントしたいと思う(ペアレンタル機能あり)
アスキーのApple系雑誌でライターデビュー。1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連媒体で活躍。
独立系R&D企業のマーケティング部責任者として教育・研究開発向け製品の輸入企画や開発、マーケティングに関与。専門家向けプロショップ運営。雑誌ライターとして90年代を疾走後、シリコンバレーで証券情報サービス立ち上げに参画。帰国後、ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。関心空間、富裕層SNSのnileport、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。
現在、TechWaveのスタッフライター1号機として活動する他、書籍などを中心に執筆活動および講演活動を展開。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。DJやイベントオーガナイザー。スタートアッププロジェクトのアドバイザー等として活動する。ソーシャルメディアやブリック&ブロックのプロ。書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。詳しいプロフィールはこちら(お仕事下さい m(_ _)m