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ロケタッチにiPhoneアプリ版とケータイ版が登場!話題の位置情報サービスの特徴的な性質の真逆をいく。ライブドアの佐々木氏に聞いてきました! 【三橋ゆか里】

場所やモノの「タッチ」して、お出かけ情報を記録したり共有できる位置情報サービス「ロケタッチ」に、待望のケータイ版PC版iPhoneアプリ版が登場しました!サービスローンチから約1.5ヶ月、積極的なプロモーションなどを行うことなく、すでに5,000ユーザに使われている「ロケタッチ」。今回の各種プラットフォーム対応で、人気によりいっそう火がつくことが期待されます。ロケタッチの生みの親であるライブドア新規開発グループ・シニアマネージャーの佐々木大輔さんにお話を聞いてきました。

■「ロケタッチ」って?
位置情報をベースに、お店やモノ、犬や猫などの動物、景色といったスポットに“タッチ”して、自分と友達の地図をライフログ的に充実させたり、ガイド的に利用して楽しめる位置情報サービス。現在登録されているスポット数は22万件以上、今後は毎月数10万単位でスポットを追加していくそう。スポットはユーザ自身が新たに登録することもできて、さらにスポットにノートを残してメモ代わりに使うこともできます。特定のスポットにタッチして常連になることで、そのスポットの「リーダー」になることができたり、現在60種類以上ある“シール”を集めるコレクター的な楽しみ方も可能。私が先日の訪問時ライブドアにタッチしたときは、「ライブドアシール」がもらえました。特典シールには「スイカわり」や「ホタル」といった季節限定ものも用意されています。時間軸から離れ、自分がタッチした場所、自分がロケタッチ上でフォローしている友達が行った場所が集積されて地図上に描かれていきます。

■初回の会議で設けた4つの制約
ジオメディアサミットやチェックインサービスの“foursquare”などにインスパイアされて位置情報サービスを作りたいと思ったとき、まず軸としてあったのが「非言語のコミュニケーションサービス」にしたいという強い思いだったそう。ブログやツイッターなどのようにテキストを使って共有するのではなく、非言語のコミュニケーションへのニーズがあるのではないかと。ロケタッチの表面的な機能は、一見するとその他多くのチェックインサービスに似ているように感じられます。でも、アイディアを詰めて詰めて完成したサービスコンセプトや設計は、foursquareなどと全く異なるものだったそう。

「サービスに関する制約は初回の会議で決めました。」と話す佐々木氏。制約の内容は、「1.ゲームにはしない 2.口コミサイトにはしない(非言語のコミュニケーションにする) 3.SNSにはしない 4.メッセージ機能はつけない」の4項目。まず最初にやらないことを明確にするという、まさに集中と選択という方針が今回のサービスローンチで有効だったそうです。飽きられることなく、長くゆるく使ってもらうサービスを狙い、既存サービスを研究して許容できないものを排除していった結果、現在のロケタッチにたどり着いたといいます。話題になっている各種位置情報サービスの特徴的な性質の真逆をいっている辺りがとっても興味深い。

■ロケタッチの差別化
上述した「しないこと」を明確にしたコンセプトは、具体的な機能面にどう表れているのか。飽きられることなく、長くゆるく使ってもらうサービス、という狙いもサービス設計にはっきり出ています。ロケタッチと他の位置情報サービスを差別化する重要なポイントについて、いくつかご紹介しますね。

【ツイッターをやっていなくても、極論、自分が“タッチ”しなくても楽しめる】
ツイッターとの連携がなくても楽しめるように設計された「ロケタッチ」。ユーザに既存のソーシャルグラフを越えて世界を広げてもらうため、フォローは非承認制。例えばラーメン屋さんに精通しているユーザなど、自分が気になるユーザを自由にフォローすることができます。位置情報の公開に抵抗を持つユーザもいるため、非公開タッチや「ゆうれいモード」で自分にしか見えないようにもできるといった具合にプライバシーへの配慮も。フォローさえすれば極論、自分の位置情報を公開しなくても、フォローしている方がつくっていくマップを楽しむことができちゃう。フォロワーが多い傾向にある都市部のユーザだけでなく、地方のユーザまでも楽しめる工夫がされています。

【タイムラインじゃなくてマップ】
リアルタイム性が重視されているタイムラインを活用するサービスでは、どうしてもつながっている友達の数やチェックインの回数がサービスの面白さに影響してきます。友達が数人しかいない場合、一切アクティブな情報がない期間がある可能性も十分にありますよね。そこで「ロケタッチ」は、リアルタイム性ではなく、むしろ時間の集積を地図上に表現することにフォーカス。フォローしている友達のタッチは、それが1ヶ月前だろうと1年前であろうとすべて地図に残り、時間軸に捉われることなくいつでも楽しむことができる。しばらくサービスを使わない期間があったとしても、次にロケタッチを開いたときには新しい世界が作られているわけです。「みんなの地図」と「自分だけの地図」があるので、自分だけのおでかけログも楽しめる。

【チェックインじゃなく“タッチ”】
多くの位置情報サービスでは、チェックイン対象が「場所」に限定されています。「ロケタッチ」の大きな特徴は、人、モノ、虹や素敵な景色、さらには幽霊にまでタッチできちゃうこと。“タッチ”できるものは「スポット」と呼ばれ、既に登録されているスポット以外に、ユーザが自らスポットを作ることもできます。夕方、オフィスから神宮の花火が見えたら、今いるその場所を「オフィスから見える神宮花火」といった形でスポット登録したり、自分のお子さんのほっぺをスポット登録して帰宅するとタッチ、なんていう使い方をしているユーザも実際にいるそうです。場所に限定した通常のチェックインサービスでは、1日の平均チェックイン数は多くても4回ほどなんだそうですが、“タッチ”にすることでその回数は増え、ユーザーのアクティブ率もとても高いそう。平日は家とオフィスの往復なんてユーザも多いでしょうが、例えばいつも撫でて帰るご近所さんの犬をスポット登録するなどして自分だけの楽しみ方を展開できます。

【再現したいのは「小学生だった頃の世界観」】
「ロケタッチ」のロゴや色使い、シールのデザインなどをみて、どこか懐かしい感覚を覚えた方がいらっしゃるのでは?ターゲットに20-40代くらいまでの男性をイメージして作られているロケタッチ。シールやアイコンの制作などの細部にまで、そのペルソナが強く意識されています。携帯なんてないし、みんなと同じ給食を食べて、放課後は裏山に遊びに行ってた、そんな今の20-40代の男性が小学生の頃の感覚を再現したいと。

現在60種類以上あるシールは、今後もどんどん増やしていくそう。シールにはそれぞれに取得の条件が設定されています。1回タッチしただけで取得できるもの、タッチの回数が定まっているもの、その他200種類ほどあるスポットのカテゴリで、特定のカテゴリに何回か行くともらえるシールなどもあるそうです。また中にはコラボシールもあって、ゲームのある日にスタジアムに行くともらえる横浜FCの「フリエ」なんてシールも。まだ誰も取得していないシールも多く、どんなものが出るのかワクワクしますね。既に「ロケタッチ」の攻略サイトがいくつかあるんだとか。こんなシールを集める遊びも、子どもの頃やったなーなんて懐かしさを覚えるのではないでしょうか。

【日本人を意識した徹底的なローカライズ】
これは真似できないだろう、というくらい日本人のセンスを意識していることも印象的。地図にのせるアイコンひとつひとつへのこだわりがすごい。グルメを和食・イタリアン・中華といった具合に細分化するだけでなく、アイコンとして区別するために牛丼・寿司・ラーメン・うどん・そばといったレベルにまで細分化。なかなかここまで細かく徹底して行っているところは他にないので、そこに面白さを感じるユーザもいる気がします。アイコンにはハチ公・お地蔵さんといった日本ならではのアイコンがたくさんあり、最大公約数的なパブリックイメージを意識して丁寧に作り、選んでいっているそう。

【なんちゃってタッチする“エアタッチ”】
チェックインというと、GPSで位置情報を確認して、実際に今いる場所でチェックインするイメージがありますが、PC版のロケタッチに実装されたのがエアギターならぬ“エアタッチ”。ユーザからの要望に応えて実現した機能だそうで、実際にiPhoneや携帯からその場でタッチするのではなく、地図にアイコンを載せたいというブックマーク的な使い方を可能にするもの。例えば先週末旅行で京都に行ったときのお店をログ的に地図上に残しておきたいなんてニーズだったり、実際に行ってないけど行ってみたいお店をエアタッチしておくといった具合に使えます。エアタッチでは、実際のタッチで取得できるシールをもらったりリーダーになることはできないけれど、行きたいお店や場所リスト代わりに使えるのは便利ですね。

■「ロケタッチ」のこれから
年内に3万ユーザの獲得を目指す「ロケタッチ」。「チェックイン系のサービスには100万人以上のユーザを集めるポテンシャルがあると思う」と話す佐々木氏。今回のiPhoneアプリ版やPC・携帯版のリリースを皮切りに、まずはライブドアIDを持っているユーザに対するプロモーションを積極的に行っていくそう。まずはユーザ獲得に集中し、ビジネスモデルを考えるのはそこからだといいます。でも、既にコラボレーションしたいといった話がいくつもきているそうですよ。

今後の機能追加には、写真アップロード機能や、雨の日にでかけないともらえないシールを用意するなどシールの条件にさまざまな要素を反映させていくことを予定。「アタマの中に描いている主観的な世界をユーザの数だけ作りたかった」と話す佐々木氏。普段から位置情報サービスを色々使っている私は、表面的な機能をみてしまいがち。でも、位置情報サービスってなーに?というレベルの一般ユーザが触ったときに、ロケタッチのコンセプトやサービス設計が活かされていくのかも。実際、ロケタッチのユーザにはママ層がいて、ママ友のあいだで共有ツールとして使いたいなんて声があるそうです。お子さんのいるママには、子どもの世界観をイメージしたロケタッチに親近感が持てるのかもしれないですね。

「ロケタッチ」が長く広く、そしてゆるく使い続けてもらう位置情報サービスのプラットフォームになれるのか、これからが本当に楽しみ。「ロケタッチ」は今週末開催されるWISH 2010で登壇、またG空間EXPOにも出展する予定だそう。今後Androidアプリのリリースも予定されています。

【スタッフブロガー】三橋ゆか里

肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。ツイッターIDは”yukari77“。

個人で運営している【TechDoll.jp】というサイトで、海外のテクノロジー、ソーシャルメディア、出版、マーケティングなどの情報を発信しています。目指せタイムリーな情報発信!

これまで雑誌のECで→UIデザインのコンサル→ウェブ制作会社などを渡り歩いてきました。そこで得たスキル、人、全部かけがえのない財産。幸せの方程式は、テクノロジー(UI, IA..)×マーケ×クロスカルチャー×書く・編集。いま一番夢に近いとこにいる。

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