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そのf8に、TechWaveコミュニティーの中核メンバーの一人、小磯敦さんが参加されたので、寄稿をお願いしました。その熱気のみならず、会場での体験にも所謂”ソーシャル”を取り入れる、Facebookのイベント運営の巧さが見えてきます。(本田)
小磯敦
9月22日に、サンフランシスコデザインセンターで開催されたFacebookのデベロッパー向けカンファレンスf8。運良くチケットを入手することが出来ましたので実際に会場に足を運んできました。当日の内容はTechWave始め色々なところで触れられていますので、今日は発表内容以外の会場の様子等、現場を中心にレポートしたいと思います。
0:事前通知
チケット購入後、購入確認メールを含め当日までに事務局から合計3通のメールが届きました。特に開催前日には当日のアジェンダ・バーコードチケット(写真1)の他に、「guidebook」というイベントガイド専用アプリ(写真2)をダウンロードし「f8」を検索し読み込むようにとの知らせ。 詳細は後述しますが、これが当日とても役に立ちました。
(写真1) |
(写真2) |
1:当日開場前
いよいよ開催当日。自分は開場予定時刻・午前8時30分の15分程前に着いたのですが、すでにこのような長蛇の列(写真3)。
皆さんどこかワクワクしていて、まるでロックコンサートの入場待ちの雰囲気です。撮影クルーや交通整理の警官も出ており、どこか物々しい空気の中8時40分過ぎに開場。徐々に列が進み始めます。
2:受付
会場に入るとラストネーム(苗字)別にアルファベット順に並ぶように言われ、それぞれ受付。ここでバーコードチケットの読み取りと特典のTシャツ、そして名札代わりの首から下げるタイプのパンフレットを渡されます。(写真4)
このパンフレットを広げてまずびっくり。自分とつながりのある人々の顔が表紙裏に印刷されている!つまり来場者一人ひとりオリジナルのパンフレットになっているのです。(正確には表紙の紙だけがユニークになっていて中身は同じ) (写真5)
その他にも、名前の印刷してある表紙と中身が天地逆になっていました。最初は落丁か?と思ったのですが、首から下げる時と実際に読む時は向きが逆さまになる事をしっかり計算されてのこと。当たり前といえば当たり前ですが、こんなちょっとした気配りにも彼らのセンスを感じてしまいます。
もう一つ重要なのがパンフレットにくっついているICカード。これを受付後このラップトップの前でかざした上で自分のFacebook IDを入力し、カードと自分のIDを紐付けます。 これにより会場内の様々なアトラクションが楽しめる仕組みなのです。(写真6)
(写真4) |
(写真5) |
(写真6) |
3:まずはエントランスへ
以上の受付・ID紐付け登録が終わると、まずは大きなエントランスに通されました。ここでパンやコーヒーなどの軽い朝食を摂りながら、大きな画面を眺めます。
すると現在の入場者数(リアルタイムに更新)をはじめ、有名人を2人並べた時のLike対決データ(全Facebookユーザ内、サンフランシスコに住んでいるユーザ内、会場に来ているユーザ内が別々に)など様々なデータが滝のように流れています。これもFacebookならではの趣向。その見せ方も含め圧倒されてしまいました。(写真7)
4:基調講演会場へ
9時40分ごろになり、それまでシャッターで閉ざされていた基調講演会場がようやくオープン。皆いい席を取ろうと我先になだれ込みます。前方は記者席だったので止められてしまいましたが、それでも自分は割と前の方の席を取ることが出来ました。 (写真8)
もうこの段階で会場のボルテージは最高潮。完全に有名アーティストの出番を待つ観客状態です。たまたま隣に座ったブラジル人の女性も”so exciting!” と興奮状態。
5:いよいよザッカーバーグ登場…?
そして開始時刻を10分程度過ぎた所で場内は暗転、アナウンスとともにGパンにパーカー姿のザッカーバーグが登場! 会場はここでスタンディングオベーションか?と思っていたのですが、そこまではならず。あれ?と思って見ていると、このザッカーバーグ、かなりエンターテイメントなノリで冗談をバカバカかまして会場のウケをとっています。(写真9)
生のザッカーバーグを見るのが初めてだった自分は、しばらくは本物だと思って見ていました。しかし、あまりにもつかみとしては長いし、これまで写真で見たのともチョット違うなあと思っていた所に「Hey、何やってんだよ!」と笑顔で本物のザッカーバーグが登場。これでようやく会場もホッとした雰囲気に包まれます。
6:本当の基調講演スタート
この後もしばらく「偽」ザッカーバーグと「本物」ザッカーバーグのやりとりがありましたが(本人の目の前で映画ソーシャルネットワークのザッカーバーグ役の早口モノマネをして会場を爆笑させていました)、やはり「本物」の朴訥とした雰囲気はそれまでの「偽」との振る舞いと比べてとても対象的でした。
が、この「偽」ザッカーバーグが下がった後に始まった基調講演では雰囲気は一変し、壇上も会場も一瞬にして真面目な空気に。かなり練習を積んだことが伺えるザッカーバーグは、自信たっぷりのプレゼンを披露しました。(写真10)
発表内容は他のエントリに譲りますが、タイムラインとアプリという大きな発表の後に流れたプロモーション映像は、生の大音量で体験すると鳥肌が立ちました。
7:昼食&個別セッション
基調講演が20分押したためゆっくり時間は取れませんでしたが、基調講演後は再度エントランスにて昼食タイム。今回ケータリングはお金をかけているようで、どれも結構美味しかったです。
そして12時30分から4時30分までは、場内3つのスペースと1つのQ&Aセッションの合計4会場に別れての分科会。当然全部見ることは出来ず、どの時間にどの会場で何を見るかを決めなくてはいけないのですが、ここで前述したguidebookアプリが役に立ちました。(写真12)
機能の中にMy Scheduleという機能があり、これは自分が見たいスケジュールに印をつけておくと、リマインドメッセージがプッシュされるというもの。これで無駄にパンフレットばかりを眺めることもなく、安心して目の前のセッションに集中出来ました。(写真13)
(写真12) |
(写真13) |
分科会は、それぞれのテーマに対してFacebookの担当社員がプレゼンする形式でしたが、興味深いものが多く、特にモバイルとhtml5についてのセッションは人が多かったように感じました。
8:その頃エントランスでは
セッション中と終了後のハッピーアワー(4時30分~6時)ではエントランスも開放されており、人々が思い思いに見て回れるようになっています。
ここで会場内のアトラクションをご紹介。
ー自動チェックイン機(写真14)
前述したIDカードをここにかざすだけで自分のFacebook上にチェックイン履歴が表示される。「f8checkin」と表示されます。
ー自動写真撮影機(写真15)
カードをかざすと画面にlook upと表示され、その後3→2→1 とカウントダウンされ撮影。その後、撮り直すかパブリッシュするかを聞かれ、パブリッシュを押すとすぐにそれが自分のウォールに表示されます。これは会場内の大型スクリーンにも随時アップされて行き、参加者のハッピーな笑顔が集まりました。
ーリアルコネクション(写真16)
何らかの関連のある複数人が順番にカードをかざしサークルの中に入ると、床にそれぞれのつながりの強さや共通して好きなもの、いいねの回数などがリアルに表示されていきます。人が動けば映像もついてくるというとても不思議なもので、最も多くの人が集まっていたと思います。(写真16)
またケータリングの後はアイスクリームコーナーや、ハッピーアワー中はビールも振舞われるなど至れり尽くせりの内容です。(まあカンファレンスチケット代も400ドルとっているのですが)
9:ハッピーアワー
全セッションの終了後は、ハッピーアワーということでコネクションタイム。ニルバーナなど強めの音楽がかかる中、真面目に議論する人、ひたすらPC(Macintoshの利用率が圧倒的)に向かう人、踊り出す人と様々なスタイルで楽しんでいます。(写真17)
さて、午後6時でいったん終了。さらにこのあと8時からのアフターパーティーまでは各自軽く何かつまんで来てというメッセージとともに、会場周辺のレストランガイド・予約電話番号までがパンフレットに書いてありました。
10:アフターパーティー
8時から行われたアフターパーティーでは基調講演会場の椅子が全て取り払われ、全体がスタンディングスペースとしてお酒、食事が楽しめるスペースに模様替え。場内ではDJがかなりの音量で回し、まさに大型のクラブになったようでした。(写真18)
中ではFacebook社員も混じって歓談。日本代表の児玉さんの姿も見受けられました。
この後クリスタルキャッスルというユニットがLIVEをするとの事でしたが、自分は翌日早かったのでここで会場を後にしました。
終わりに
全体的に非常に若くてノリの良さがありながら 、きっちりと新しい価値観を知性と情熱をもって打ち出している、今のFacebookを象徴するようなイベントだったと感じました。開場からハッピーアワーまでずっとテンションが上がっていたので、夕方までの時間がとにかくあっという間でした。個人的に印象に残ったのは彼らのプレゼン資料。真っ白な背景にキラキラしたイメージで未来を表現するAppleとは真逆に、くすんだ背景にあえて古い感じのフォントを使った資料がかえって新鮮にうつりました。
以上がレポートです。動画や記事で内容を知ることは出来ますが、この手のイベントはやはり体感してナンボだなと今回思いました。特にジョブズのプレゼンが見られなくなったこれからは、ザッカーバーグのプレゼンはさらに貴重なものになると思います。時差や距離の都合で日本からの参加はなかなか難しいかもしれませんが、 ぜひ機会があれば旅費をかけてでも参加されることをお勧めします。
Techwave塾・塾生。塾の第1期及び4期、OB会、TechCrunch disruptツアーに参加しました。IT企業勤務、UI、UXが専門。
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