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「おはようパンダ – ラクダもいるよ」という気の抜けたタイトル。どうしてくれようかというくらいカワイくてゆるいキャラ陣 (パンダ、アルパカ、羊、くまの男女) に魅了されてしまう人が増殖中だ。気持はよーくわかるっ。このふくよかな風貌で迫られたら、思わず表情がゆるくなってしまうことうけあいだ。
このアプリの基本は「おはよう」と「おやすみ」だけ。。気分にあわせてキャラクターのポーズを選択したり、一言メッセージを残したり、フレンドにおはよう返しをするなど微妙なSNS要素があったりする。
記録した睡眠時間をグラフ表示でチェックできるなどは確かに便利だが、何故こんなに夢中になる人が多いのがかわらない。このパンダ、ゆるそうな笑みを浮かべておきながら、何かを目論見んでいるようなのだが、、、。
仲のいい人との非言語コミュニケーション
少しずつ解ってきたことがある。先日、筆者主宰でインドネシアの勉強会を開催したのだが、サイバーエージェント・ベンチャーズ ジャカルタ代表の鈴木隆宏氏が「この国はネットはモバイルが基本。特にコミュニケーションが活発で、「おはよう」とか「おやつ食べてる」といった程度のやりとりも多い」ということを言っていたのだ。
要するに「ステータス(=今何してる)」のやりとりだ。
これは15年くらい前から少しずつ人気となってきたチャットソフトの「退席中」「お昼に出ています」といった情報伝言板に始まるもので、非同期コミュニケーションというジャンルで議論されている。非同期とは、電話が1対1で同時に通話しない「同期」に対し、時間差があっても対話がなりたつものとして「非同期」という意味。
現在でもSkypeやLINEなどのチャットソフトでステータスは有効なコミュニケーション手段であるが、この部分を抜き取ったのがもともとホワイトボードの伝言板からスタートした「Twitter」である。
「おはようパンダ」は、“おはよ” と “おやすみ” という人間の営みの中で基礎となるステータスを簡単にシェアすることで、仲のいい友達らとの非同期コミュニケーションを楽しむものだったのだ。確かに、仕事仲間と寝起きの時間をシェアすると親近感が沸くし、おはよう返しをされると安心する。非言語のコミュニケーションとして成立している。それがこのサービスの面白さだったのだ。
しかも、そもそもプライベートな情報ということもあり、家族や恋人、仲の良い知り合いくらいにしかシェアしない…今注目の「クローズドープライベート」セクターにぴったりはまる。もしうまく、「おはよう」以外のステータスにすみやかに適応することができたら、第2のTwitterともいえる市場をキャッチすることも夢ではないのかもしれない。
【関連URL】
・iTunes App Store おはようパンダ – ラクダもいるよ
http://itunes.apple.com/jp/app/panda-call-go-wild/id500654995?l=ja&ls=1&mt=8
・おはようパンダ – らくだもいるよ
http://pandacall.com/
・まるでスタジアムのような一体感、ソーシャル観戦アプリ「スポソン」(ウズベク戦OK)【増田(@maskin)真樹】 #daihyo
http://techwave.jp/archives/51732388.html
実は20年ほど前、ステータスを変更するハードウェアを企画したことがある。当時は既に製品もあったように記憶する。当然時期早々なわけだったのだが、一般にまでソーシャルネットワークが浸透した現代だからこそ、この発想が生きる。問題は、これをいかに実生活に浸透させるか、であり、「おはようパンダ」はゆるカワでユーザーの高感度を勝ち取る手法を取っている。そう、問題は次のステップで、それがキャズム超えの鍵となると思う。
先日の湯川編集長の社説的記事では「プラットフォームは統合の方向」という話が出ていたが、Instagramモデルのように本体は生きつつ、サービスプラットフォームを外部提供というモデルも成立する。それをどう仕込むか、マーケティング感覚とマネジメント次第というところだろう。
パンダめ、あなどれないな。
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 DJ、emacs使い。大手携帯キャリア公式ニュースサイト編集デスク。TechWaveでは創出支援に注力し目利きとして定評が生まれつつある。夢は映画作り (宇都宮市在住)