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「ユーザーに愛されるサービスを追求」RettyがVC3社から1億円調達、開発体制拡充 世界展開も視野に 【増田 @maskin】


[読了時間: 2分]

 ソーシャルグルメサイトを手がける「Retty」は2012年10月12日、グリーベンチャーズ、NTTインベストメントパートナーズ、三菱UFJキャピタル3社より総額1億円の調達を実施したと発表した。

 同社は、利用した飲食店の情報を記録したり、ソーシャルメディアを活用してその情報を共有する “第三世代型グルメサイト” 。

 ネットエイジを経てCEO 武田 和也氏が立ち上げたスタートアップで、自己資金創業後、2011年6月にでサービスイン。2011年8月にはサイバーエージェントベンチャーズおよび個人投資家から総額2200万円の増資を実施していた。その後、順調にコアユーザー数および扱い店舗数を拡大し、2012年1月にはgooと、6月にはYahoo!Japanとコンテンツ連携を展開するなど躍進を果たしていた。

 今回増資は「ユーザーの信頼を得られるような、愛されるサービスとなるべく、さまざまな観点で開発や改善施策を打っていくためのもの」と武田CEOは語る。

9万人の実名グルメコミュニティ

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 「広告を一切打たず、利用者に使いこなしてもらえるようなサービスをひたすら開発しながら、9万人のユーザーに25万のクチコミ情報を登録して頂けるまで至りました。おかげで、一般的なグルメサイトをしのぐ、およそ9万店舗の情報を扱うサービスになりました。

 当初の目標であるユーザー100万人にはまだ遠いですが、Facebookコネクトを使った実名ユーザーが9割を締めており「実名グルメサイト」としての規模は他のサービスを凌駕していると自負ていますし、投稿された店舗情報を見たユーザーが40万件超も「行きたい」に登録し毎月130%ペースで成長しているなど、投稿コンテンツに高い価値を感じてもらえるようになったと思います。

 しかしながら、日常的に使ってもらうには店舗検索などまだまだ改善する必要があり、ヘビーユーザー以外でも安心して使ってもらえるようなサービスへ向けた開発を続ける必要があります。ですから、今回の資金調達の過半数超は開発人員拡大などにアサインし、次のステップへとRettyを上がらせたいと考えています」。

筆者とのスカイプビデオ取材に応じる武田和也CEO

2012年アメリカ、シンガポールを皮切りに世界への足がかりを

 今回の資金調達にあわせて発表されたのは海外展開。まずは、英語でのサポートが可能なアメリカ、シンガポール市場に2012年末までにiPhone/Android両バージョンを投入し、世界への足掛かりを探る考えだという。

 「海外展開についですが、2012年秋のアメリカ・シンガポールを皮切りに、2013年晴までには香港・韓国・インドネシアなどアジア圏。2013年秋にはヨーロッパに展開します。

 本格的に世界展開する前哨戦として、Retty反応を見るためのものとして考えており、現地にスタッフを常駐させるまでは考えていません。食文化は地域によって多様であるため、その辺の感触をまずは掴みたいと思います。


 なお、世界における「第三世代のグルメサイト」としては米FoodSpottingなどがあるものの、まだまだこれからという状態で、写真投稿サイトの傾向が強い状態です。Rettyのようなレビュー中心はまだまだ手つかずであるため、いち早く世界で展開するための土台となればとは思っています」(武田氏)

 Rettyの目標はもちろん上場。2013年中に予約や来店リテンション(維持)といったマネタイズ施策も代理店などと連携しながらスタートする計画。

 「一般的なグルメサイトは看板型広告で成果が見えないことが多く、広告主である店舗側には不満がある状態です。Rettyはユーザーと店舗の関係が濃密で「行った」「行きたい」の行動がしっかりデータとして記録されており、それを可視化する形で店舗側に提供できるようになっています。「反応が見えるグルメサイト」ということで、差別化を計りながら、2013年9月までにユーザー100万人を達成する成長させたいと考えています」(武田氏)

 武田氏は「食というサービスなので、信頼を得ることが最も大切」だと言う。サービス運営者側から適切な情報とサービスを提供し、自然とユーザー間で広げられるような施策を打つスタンスは当面変化は無さそうだ。“愛されるサービス” と “成長・上場” 、一見相反するもののように感じるが、世界にはそのような製品やサービスは実在する。Rettyの挑戦がどう成果を出すか注目される。

【関連URL】
・行ったお店を共有するソーシャルグルメサイト Retty
http://retty.me/

蛇足:僕はこう思ったッス
僕は栃木県宇都宮市に住んでいるため、常に東京・渋谷や港区、新宿区あたりの極地ブームからは常に距離を感じている (それが逆にいわけですが)。なので、日本全国で火が付くものが浸透する瞬間というものを肌で感じることができるような立ち位置にある。昔、地方都市のF1-F2層 (20歳~49歳の女性)で火がついたmixiなどはまさにそれ。Rettyは、地方の小さな店でも話題に出るようなところは、必ずユーザー間交流が生まれ良質なクチコミコンテンツが形成されている。いわゆるレーティングではないため、荒れずに、深い情報が投稿されている状態だ。ここに拡大要素となる “動力源” が加われば一気に拡大すると感じている矢先の増資ニュースだった。
著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 夢を叶える技術者。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」執筆中)。書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちら


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