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(前回の模様はこちらも参考に:音楽とテクノロジーの今後に熱いヤツらがSFに集結ーMusic Hack Day&SF Music Tech Summitレポート【村木香苗】)
今野礎
今回、SF, LA, San Joseを一週間で巡る渡米スケジュールの中の合間を縫って、やや駆け足ながら初めてSF Music Tech Summitに参加してきました。SXSWと比べると全体的にコンパクトで、音楽により関係したサービスの展示やパネルが多数行われていました。
【Opening Night Gathering】
Music Tech Summitの前哨戦ともいえるオープニングパーティー。10/8にYoshis Jazz Club & Japanese Restaurantという有名なジャズクラブのラウンジ(その名もSake Lounge)にて行われました。18時頃に到着したのですが、会場は既に結構な数の人が入っており、二階のラウンジに上がって飲み物をオーダーします。
オープニングパーティーは特にこれといった進行はなく、ひたすらのネットワーキングタイム。会場にて、SXSWにも出展しTech Summitは常連だという方に聞いたのですが、「このサミットは全体的に丁度良いサイズ感。西海岸の人は皆オープンに自分達のサービスのことを話してくれるし、こういったネットワーキングの時間でも皆フレンドリーだ。明日からのパネルに関しても会場がSXSWに比べると結構小さいので、スピーカーをより近くで見ることが出来るし質問もしやすい。何より参加した後にスピーカーと話したり名刺交換をしたり、ビジネスについての簡単なディスカッションをすることも出来るんだ。」とのこと。
この後19時からバンド演奏が一階で始まり、その演奏を方耳で聴きながら21時くらいまでネットワーキングをこなしましたが、聞いていたとおりサンフランシスコを拠点とするスタートアップが多いのが印象的でした。いくつかの有名な音楽スタートアップの方がいたり、デザイン系スタートアップ、そしてミュージシャンやアーティスト、一人でアプリを開発している方などなど様々な方がいらっしゃいました。
【SF MusicTech Summit】
この日は会場を昨晩のYoshis Jazz Club近くのHotel Kabukiに移しての開催。朝9時25分から最初のパネルが始まり、その後何度かの休憩を挟みながら18時まで続きます。パネルは全部で6会場に別れ、大体各1時間行われていました。我々は毎度何かしらのパネルに参加していたのですが、今年のSXSWでも感じたのと同じく、聞きたいパネルが重なっていて参加できないという歯がゆさがありました。
参加したパネルの中からいくつかご紹介。
「Online Music Education」
SFの音楽校Pyramid、世界的に有名な音楽校Berkleeの方などがスピーカーとして参加。ソーシャルラーニングの課題、授業をスムーズにすすめるための独自開発のツール、授業で使用するビデオ、オーディオファイルのセキュリティ、ストリーミングかダウンロードか、今後世界的に音楽のオンラインラーニングから見た成長分野は?などが話題に上がっていた。
「Artist Revenue Streams」
これからのアーティストがどのように収入を得ていくか?リセッション以降、収入を得ることの難しさが増したという話題から、KickStarter、Ustreamでのライブ配信、CD Babyなどの他に続々と登場する新しい音楽サービスとのかかわり方などを、現役アーティスト、レーベルのパネリストが解説。
「Funding.in the MusicTech Space」
今回おそらく唯一のVCのスピーカーによるパネル。パネルの開始直後から「アメリカ人のスポーツに対する関心と音楽に対する関心はほぼ同じ。スポーツと音楽にかける時間は音楽のほうがはるかに多いのに、このマーケットサイズの差は、すべての音楽産業関係者の責任だ!」とブラックジョークを交えてのパネルがスタート。
その他にはこんなパネルが行われていました。
http://www.sfmusictech.com/wp-content/uploads/2012/10/SFMusicTechSummit11_Schedule1.pdf
パネル会場はどこも席数80程度。参加したパネルは満員のパネルもありましたが、大体3分の2程度の埋まり具合でした。パネルの終了10分ほど前には会場からの質問を受け付ける時間があり、パネル終了後はパネリストと名刺交換、さらなるディスカッションを行うことが出来ました。これも会場の小ささと一つの会場に入場できる参加人数が少ないからこそのうまみだと感じました。
惜しむらくは今回の会場であるHotel Kabukiの構造がやや複雑で、構造に慣れるまで結構迷ってパネルの頭を聞き逃したりしたこと。一度外に出て移動しないといけない会場などもあり、他の参加者や運営の方々に聞きながらの移動となりました。
パネルは18時にすべて終了し、その後アフターパーティーのような形でネットワーキングの場が同ホテル内で行われました。昨日のOpening Night Gatheringで出会った方と再会して面白かったパネルの感想を聞いたり、そのほかのスタートアップ、法律家、ミュージシャンなどの方など、とにかく会場内に人、人、人という状態で、会場の撤収が始まる21時ほどまで喋りっぱなしという状態。
日本にいては情報が入ってこない新しいスタートアップとの出会いも多数ありましたが、会場内には著名サービスで働いている方も一定数おり、話しかけてびっくりというパターンも数度ありました。この後は昨晩のYoshis Jazz Club & Japanese Restaurantにてクロージングパーティーがあったのですが、我々は翌日の車での長距離移動に備えて、22時前に会場を後にしました。
少し誤算だったのが、会場内にあまりにも多くの人がいたため、事前に「このサービスのこの人と話をしたい。」という方を発見しきれなかったという点。こういったイベントでは事前に出席者リストが公開されている場合が多いかと思います。確実に話をしたい、意見を聞きたいという人がいるのであれば、開催前から何らかの形でコンタクトを取っておく、事前に徹底して顔を覚えておく、会場内で色々な人に聞いてまわる。というのも手だなと感じました。
SXSWと比べると期間が圧倒的に短いというデメリットはあるのですが、参加者のほぼずべてが音楽かITに関係があるか興味のある方ですので、音楽系ITサービスを運営している、運営を考えている、提携先を探しているという場合には、非常に魅力的なイベントだと思います。10月のサンフランシスコは朝夕が肌寒い程度で、晴れれば気持ちの良い天気ですので、開催時期としても滞在するにはおすすめの時期かと思います。
オマケ:会場でひときわ目立っていたペイント缶でギターを作っているBOHEMIAN Guitarsの代表の方。結構な毒舌の方で「今日見た他のサービスは、どれもPandoraやSpotifyの焼き直しか、ちょっと捻ったようなアイディアばかりでつまらない。もっと尖った誰もやっていないサービスをやらないと面白くない!」とおっしゃっていました。
サンフランシスコでの移動や宿泊について
蛇足ですが今後サンフランシスコを訪問される方のために、現地での移動手段や宿泊先についての情報が何かしらプラスになればと思いシェアします。
今回の宿泊はMotelとairbnbを併用しました。
Motelの良いところは、チェックイン時間がかなり自由で、Motelに付属のフリーWiFiがほぼ間違いなく使用できること。またフリーウェイ沿いにある店舗からダウンタウンにある店舗など、幅広い立地や値段設定から選ぶことが出来ます。英語でのコミュニケーションが出来れば、他の宿泊者から近くのおいしいお店や安いお店、観光情報まで、同じ旅人目線の情報を仕入れることが出来ます。普通はカードキーで施錠するタイプの部屋ですので、貴重品は常に携行するとしてカーテンをしっかり閉めて出入りに気を使っていれば比較的安心して宿泊できます。
airbnbはチェックインの際にホストと連絡を取り合って鍵の受けとり、施設に関する注意などを全てヒアリングする必要があります。我々が利用した家のホストは結構いい加減で、チェックイン時間に電話しても電話に出ず、チェックインの際に待ちぼうけをくらいましたが、それ以外は特に問題も無くスムーズな滞在が出来ました。値段をメールベースで交渉出来たり色々と融通が利くところは良いのですが、他の宿泊者がいる場合は気を使う必要があります。大人数で借りるのであれば広めの一軒家を滞在期間中ずっと借りてしまうような形だと非常に安く滞在できると思います。
移動に関してはほとんど空港でレンタルしたレンタカーで行いました。
返却時の燃料空タンクオプション・同乗運転者一名追加の条件で、一週間借りて日本円で2万円を切っていたので、かなり割安だと思います。フリーウェイはかなり走りやすく平均速度は高め、市街地は赤信号右折時の注意、バス専用レーンなどに気をつけていれば問題ないと思います。パーキングは場所や曜日、時間帯によって停めておいても良いところと駐車禁止のところ、パーキングメーターがあるところなどがあります。
滞在期間中に日本でいう高速バス的な感覚の乗り物「Greyhound」で単身LAに行きましたが、あまりオススメはしません。国内便に比べて格安なのはいいのですが、乗り心地、停留所付近の治安、客層が悪く、窓口との対応も英語&コミュニケーションスキルが必要になってきます。面白い経験にはなるので一度くらいは乗ってもいいかも知れません。
zzz