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独自のレンダリングエンジンを持つブラウザ「Opera」が、Apple系のエンジンWebKitに転向 【増田 @maskin】


[読了時間: 2分]

 ウェブブラウザ「Opera」を提供するノルウェーのOpera Software社は現地時間の2013年2月13日、独自で開発してきたレンダリングエンジン「Presto」から、Apple社が中心となって開発するオープンソースの「WebKit」を採用すると発表した。

 「Opera」は、PC向けのみならず、電話やタブレット、TV等に組み込まれたウェブブラウザとして、全世界総計で月間3億ユーザーを達成。「さらなる成長のためのギアアップとして、開発コミュニティが活発なWebKitを採用、スマートフォン市場のシェアを獲得する」とCEO の Lars Boilesen氏は声明の中で語っている。

 移行後、最初のお披露目は、今月スペインバルセロナで開催される「Mobile World Congress」で、Android向けブラウザとそこで動作するゲームとなるとのこと。

JavaScriptエンジンもV8に移行


 開発者向けブログでは、移行の詳細が説明されており、その中でJavaScriptエンジンも「V8」に変更することが明らかになっている。

 実装方法は、Google Chromeでも使用されているオープンソースのウェブブラウザ「Chromiumプロジェクト」を採用するとのことで、WebKitおよびChromium、双方のコミュニティに貢献していく考えだ。

 なぜ、ここまで大規模な転換を図るのか? Opera社はこのように説明している。

私達が初めて「Opera」を世に送り出したのは1995年。ネットスケープとインターネットエクスプローラーのウェブ標準争いに、独自のレンダリングエンジンで対抗しウェブを前進させようとしました。今、HTML5が登場してからは、相互運用性を高めることこそがゴールなのです。



【関連URL】
・Opera gears up at 300 million users
http://www.opera.com/press/releases/2013/02/13/
・300 million users and move to WebKit
http://my.opera.com/ODIN/blog/300-million-users-and-move-to-webkit

蛇足:僕はこう思ったッス
Operaファンは「え?」とかなり驚愕している人が多いようだ。しかも、月間3億ユーザーを越えたタイミングで、独自資産を捨てる選択。Operaは、これまでのユーザーや開発者を切り捨てることはないと言っているが、はたして実装する流れでどれほどの機能が使用不可となり仕様が変わるのかは未知数。ただ、相互互換性を高めるために、WebKitとChromium両コミュニティに貢献していくという考え方は、ユーザー主義的だし、今後浸透するHTML5ブラウザ時代に向けてベストのような気もしている。

著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。

メール maskin(at)metamix.com | 書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちら


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