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IT is a men’s world? Not in Poland.
Asia Fondue Skubisz著/Satomi Tanaka 訳&追記
2013年3月27日木曜日、東京のTech女子たちが、ヨーロッパのからのスペシャルゲスト、Geek Girls CarrotsのCOO、Kamila Stepniowskaさんの話を聴くために集まった。(イベント詳細)
Geek Girls Carrots (以下、GGC)とは、ヨーロッパの中心にあるポーランドにある、新しいテクノロジーを愛するTech女子たちのコミュニティだ。
プログラマー、グラフィックデザイナー、プロジェクトマネージャー、プランナー、スステムアーキテクチャー、また、スタートアップのアイデアを持つ女子たちなど、IT業界で働く女性たちが組織的に集まり、ともすれば、男性社会になりがちなIT業界でお互いのキャリアをサポートするためのトークセッションやワークショップを開催している。
草の根レベルを突破
GGCの始まりは、2年前、ポーランドの首都ワルシャワで、Kamila Sidor (現CEO)が音頭をとって始めた小さな団体だった。
現在では、その活動はポーランド中に広がり、メンバーも500人を超えた。ポーランドの女性は、IT業界で働くことへの興味をますます高めており、男性のパートナーからの強力なサポートやメディアの注目を得て、女性のIT業界進出が盛んになって来ている。
そんな中、GGCは、
・ITに情熱を持っている女性のためのコミュニティをマネジメントすること
・IT業界で働く女性の影響力を増す支援をすること
・プログラミングや新技術に関して、女性に必要な教育を提供すること
以上3つのゴールを定めている。
GGCは、ポーランド中の8つの主要都市で、定期的にトークセッションやワークショップを開催している。
トークセッションのスピーカーは、ほとんどがIT業界で成功を収めたり、他のコミュニティーメンバーにとって刺激になる仕事についたりしている女性たちだ。例えば、これまでのスピーカーの一人、Zuzanna Stanskaは、毎日優れたアートを届けてくれるアプリ、Daily Art (http://www.dailyartapp.com/)の制作者だ。
著者(Asia Fondue Skubisz:現ユニクロデジタルマーケティング勤務、元デジタルガレージ)も、「日本で大きなことをやるためには」というテーマでスピーチを行った。外国人の若い女性が、文化的に大きな違いのある環境で働くという夢を追うためのガイドだ。
ワークショップでは、主催は、女性のときも男性の時もあるが、ポーランドで最も才能のあるエンジニアたちがボランティアでメンターを務め、彼らの知識を共有してくれる。最も参加者の多かったワークショップのひとつは、DjangoとPythonの勉強会だ。2日間、100リットルのキャロットジュースを飲みながら、OpenGraph APIを用いてFacebookと連携したクイズアプリを作った。参加者の半分は、これまでコーディングすらしたことのなかった女性たちであった。
GGCの人気により、ワークショップは、草の根レベルを突破して、GoogleやFacebookといったIT業界の大物たちと共催を行うまでに至っている。
Googleの開発者グループとGGCの間では、’DevFestW Carrots’という共催イベントが、ポーランド中で多数開催されている。さらに、 ’Facebook Meet with GGC’では、Facebookの女性エンジニア(Amy Platt, Goranka Bjedov 他)をパネルに迎え、Facebookで働くのがどんな感じか、Facebookという会社がどのようにしてソーシャルなプロダクトを作っているか、などのディスカッションが行われた。
GGCから、初めてのオリジナルアプリも誕生した。BabyCarrotは、若い親たちに、乳幼児にどんな食べ物を食べさせたら良いかの指針を教えてくれる、アンドロイドアプリだ。
GGCのミートアップのあとには必ず、誰でも自分のアイデアについてのピッチを行う機会があって、求めるスキルを持ったプロジェクトパートナーを探すことが出来る。今後も、GGCからは、女性の手による、ますます革新的な製品が誕生するに違いない。
GGCの活動は、ポーランド独特の文化的要因によっても支えられている。ポーランドでは、アントレプレナーの社会的な地位は、大きな、確立された企業で働く人たちよりも高い。
エコノミスト誌の「ガラスの天井」(註:女性が出世または高い地位で活躍するための障壁となる見えない壁)指標によれば、ポーランドは、OECD諸国の中でも最も女性が活躍しやすい国のひとつだ(http://econ.st/YPnK5J)。
また、(公務員を除き)副業は禁止されておらず、労働時間が短い。残業もほとんどないため、ワークライスバランスを維持しやすい。ポーランドの労働文化の最たる、そして最も重要な特徴は、良いプロダクトを作るためにはダイバーシティが大切だということを男性が理解していて、女性のパートナーたちが仕事で活躍出来るよう応援してくれるということだ。
GGCの成功を日本でも再現出来そうか?
今回のKamila Stepniowksa とのミートアップをファシリテートしてくれたQuintechが、日本のTech女子たちのコミュニティとしてすでに存在している。(Quintechについてもっと知りたければ、コチラ(https://www.facebook.com/quintech.jp))
IT業界は男性だけの世界じゃなくてもいい。もちろん日本においても。
【関連URL】
・[イベント] ヨーロッパの女性起業家とTech×女子の未来について語る会! 【@maskin】 : TechWave
http://techwave.jp/archives/51784846.html
・Mashup AwardsでつながったIT女子たちの次なる野望ーMUP48のMA7報告記【田中里実】
http://techwave.jp/archives/51718396.html
ポーランド国籍、東京在住。オックスフォード大卒。UCLA、早稲田大学、ロンドン大学で学位取得。ITベンチャーキャピタルでの職務経験があり、現在はファッション小売り大手企業のモバイルコマース事業部に勤務。’Friction is good, but only offline’がモットー。ポーランド語、英語、日本語に堪能。
株式会社アゲハ取締役。 慶応義塾大学総合政策学部卒業。大学卒業と同社立ち上げに参画。ソーシャルメディアやスマートフォンアプリを活用した、ユーザー参加型マーケティングの企画支援・実行支援事業を展開する。
【株式会社アゲハについて】2008年創業。「ユーザー参加型」を軸にマーケティング支援事業を展開。facebook/ソーシャルメディアを活用したプロモーション支援事業.ユーザーの声からヒット商品を創る!新商品企画支援事業。キャリアガールの”ほしい”を叶えるバッグブランド「オリヒメ」企画・販売事業を展開。その傍ら、2012年3月より、IT女子ユニット「Quintech」のメンバーとして、Tech女子イベントを多数開催。
いつもパワフルで独自の視点を持つAsiaは、同い年だけどいつも私に刺激をくれる。Asiaに聞いた印象的な一言は、「両親には、帰るたびに『いつ起業するの?』と聞かれる」という言葉。日本だったら、あんまりない。そんなポーランドってどんな国だろう?と思っていた矢先、兼ねてから噂は聞いていたGGCのKamilaが来日するということだったので、急遽Kamilaとのミートアップイベントを行うことに。Asiaの記事中にもありますが、ポーランドでは「副業が禁止されていなくて、労働時間が短い」。だから、企業のために働く優秀なエンジニアたちも、余暇を使って、スタートアップに取り組むことが出来るのだそう。柔軟な働き方を許容する文化が、女性の活躍の場を拡げるという意味でも、多くのスタートアップアイデアを形にするという意味でも、「ダイバーシティ」に繋がっているのかもしれないな、と思いました。