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「分散型ワーク」をチームで乗り切るコツ、Asanaミートアップレポート その2(2021年2月16日) #AsanaTogetherJP

ワークマネジメントツールを提供する「Asana」は2021年2月16日、ユーザーズコミュニティ“Asana Together”向けミートアップイベント「Asanaを活用して「分散型ワーク」をチームで乗り切る!」を開催した。第一弾に続き、レポート第二弾をお届けする。

第一弾(記事リンク)では、「分散型ワーク」の概念が単なるチャットやToDoリストといったツールの利用に留まらないということと、「分散型ワーク」の理想像を追求することで仕事の効率化を実現してきた「Asana」のスタンスについて説明した。今回は、「Asana」を実際の業務で活用し「分散型ワーク」をどう実践していくか、また、新型コロナウイルス感染拡大下で実際にチーム一丸となって取り組んでいった「三菱UFJイノベーション・パートナーズ」社と「エトワール海渡」社の事例についてレポートしたい。

三菱UFJイノベーション・パートナーズの事例

まず、始めに紹介するのは2019年2月に設立されたMUFGグループのコーポレートベンチャーキャピタル「三菱UFJイノベーション・パートナーズ」だ。現在200億円規模の1号ファンドを運用中。FinTechに特化した投資活動を行っており、2021年2月までに累計18社への投資を実行済みとのこと。

事例発表を行った三菱UFJイノベーション・パートナーズ ファンド管理部所属の錦織美穂 氏は、投資先管理やデューデリジェンス業務にAsanaを活用。自らもAsanaアンバサダーとなり、その活用事例やアイディア・ノウハウの共有活動を行っている。

設立されて間もない同社は、業務フローを作りながら定例業務をこなすといった新しい会社ならではといった様相。かつ2020年2月頃より全社的なリモートワークが始まり、業務マネジメントの導入が不可欠という状態に陥っていた。

一つ目の課題が「タスクをこなすルールが定義されていない」という問題だ。ルーチン化できる定例業務と、非定例業務が混在する中、それをどういったルールでどう処理していくかを整理できておらず、タスク漏れさえ生じることがあったという。

二つ目の課題は「タスク管理および業務の効率化」だ。Asana導入前はエクセルにタスクを並べ管理していたものの、機能不足からスタッフ各位がそれぞれスケジュール管理をしていたという。また、複数のサービスを使いっていたため、コミュニケーションが分散し効率も悪い状態だった。

そこにきて新型コロナウイルス感染拡大。2020年2月頃から全社的なリモートワークが始まり。これらの問題が悪化する前に、ワークマネジメントの導入が急務となったという。

まず始まったのが、エクセルで行っていたタスク列挙に変わるプロジェクト管理ツールの導入検討だ。はじめは内部セキュリティ規定に合致するサービスを試用。エクセルの問題は解消するものの決定に至らない。どのようにプロジェクト管理を使いこなしていくかという目的地が定まっていない状態を脱する必要があった。

三菱UFJイノベーション・パートナーズが最終的に気がついたのは「業務フロー構築を含めた複数プロジェクトのタスク管理が可能なツール」が必要だということだった。その中でもSaaSツールで世界的に満足度の高い「Asana」に注目。洗練されたUI/UXにチーム一同が感動。業務フロー構築を含めた複数プロジェクトのタスク管理が可能であることが決め手となり、2020年4月に本導入することとなる。

■ Asana本導入とその効果

社内の機密情報をAsanaでどう扱うかという課題があったが、そもそも機密情報はSharepoint等のクラウドサービスを利用していたため、社内アクセス用のURLであればAsana内で記載しても問題ないという結論に至る。

「Asana」導入にあたり、まずAsanaの概念を理解する必要があった。Asanaは自由度が高く、かつ他人にタスクを振り分けることができるため、「受けたタスクは必ず完了させなければならない?」等といった圧力を感じてしまうことがある。しかし、タスクの付与は「ボールを持っている人を示すだけ」という概念を納得してもらうために「まずはとにかくつかってみる」という取り組みや使い方講座を行い共通認識を浸透させていった。

結果として、タスク管理については期日管理やリマインダー、メッセージ機能などでチーム全体の動きを誰もが把握でき、期日を意識した業務遂行が可能となり、作業漏れも解消された。

また、一連のタスクをテンプレート化することで、業務オペレーションのフローとして確立できるだけでなく、そのテンプレートが業務マニュアルになるというメリットが生まれた。ノウハウそのものが共有可能になり、無駄な時間が削減っされることになる。なにより、「Asana」の浸透で、チーム全員がタスクを立てるようになり主体性が生まれたことが大きい。

■ Asanaをチームで連携して利用するコツ

どのようにして、チームメンバーはそれぞれがタスクを登録し、主体的に動けるようになったのだろうか。錦織美穂 氏は以下のようなコツがあると説明する。

「タスクを明確に決める」「暗黙の了解をやめる」と当たり前のことを書かれているように見えるが、実は人と人とのやりとりの中でいつの間にか曖昧になってしまうことが多い。Asanaの利用を通じて、それらの問題が次第にクリアになっていく効果があるとも話す。

「ただ、プロジェクトが未整備だった頃に、野良タスクがでてきてしまい、担当者がきまってなかったり、サブタスクの中にタスクができたりメッセージが書いてあり見逃すといったことが起こりました。

その際は、メインとなるタスクを中心に使っていく流れにしましたが、このようなAsanaの使い方を整理する試みは不可欠だと感じます」(錦織氏)

三菱UFJイノベーション・パートナーズでは、その後、Asanaを使ったチーム連携をより効率良くするため、週次のミーティングにおける相談や共有事項などの議題を事前にタスクとして入力したり、重要な期日をマイルストーンとして伝わりやすくするなどの取り組みを続けている。

錦織美穂 氏は「ゴールを設定し、逆算していくという思考訓練をAsanaを通じて受けているような感覚」と語る。その効果を最大化するためにも、ユーザーや他の業界業種など多様多岐な使い方やアイディア、テンプレート、運用ルールなどをどんどん取り入れる体制を整え、Asanaの使い方自体も改善し都度アップデートしていっているという。

■ Asana導入で課題はどうなったか?

Asana導入により業務ルール構築やタスク管理が改善されたことで、三菱UFJイノベーション・パートナーズでは、全体のスケジュールが誰でも把握できるようになり、導入前に抱えていたタスク漏れや作業負荷が軽減。四半期毎のスケジューリングが容易になり、期日内の業務遂行に対する意識が高まっていった。

「Asana」導入によりワークマネジメントツールを使い分散型ワークの実現に成功した三菱UFJイノベーション・パートナーズ。「Asana」のような管理ツールの導入に必要なのは、まず“何をしたいか”・“どのように使いたいか”ということを明確にすることで、導入後もタスクの担当者や起源、作業手順などを明確にすること。また、その使い方もアップデートし続けることが重要だと説明した(了)

エトワール海渡の「Asana」導入事例

次の「Asana」導入事例は、東京・日本橋馬喰町で約120年の歴史を持つ総合卸の「エトワール海渡」社だ。メーカー3500社の商品を、2万社を超える小売りに卸す業務を行っている。

歴史ある企業の変革プロジェクトのサポートに関わったのが、今回、Asana導入を主導した菊地祐子 氏だ。エトワール海渡入社以来、営業・バイヤー・新規事業 (小売事業)の部署を担当し、現在は卸事業全体 変革プロジェクトのプロジェクトマネジャーをしている。

エトワール海渡の業務変革は、2020年のコロナ禍のまっただ中に構想がスタートしている。主力事業である卸事業が滞りなく、効率良く遂行出来るようにデジタルツールを使った新サービスなどを支援していくというもの。

約30人が関わるこの取り組み全体のサポート役(図内のPMO)として抜擢されたのが菊地祐子 氏だった。当時、緊急事態宣言と共に、多くの社員がテレワークに移行し、それまで当然だった日常の会話すら難い状態に陥っている。何がどう進んでいるのか見えない不安が蔓延する。

最大の課題は、分散型業務形態の中で、いかに情報を共有し、プロジェクト全体の様子が伝わるようにしていくかというものだった。中にはテレビ会議で画面共有ができきないメンバーもいる、それをどう解決するか。

そこで白羽の矢が立ったのが「Asana」だった。

会議の前にAsanaで資料を共有することに始まり、外部のコンサルタントやアドバイザーもAsana内で情報共有を行う。これにより、プロジェクトにおけるこれまでの経緯やノウハウの共有が可能となり、新しく参加してきたメンバーに対するキャッチアップもスピーディーに行えるようになった。

■ エトワール海渡、カスタマーサクセスにまでAsanaを応用

エトワール海渡のAsana活用は、社内の情報共有に留まらず、顧客からの声の収集や管理にまで広がっていく。具体的には、顧客向けに提供する情報投稿フォーム「お客様の声」への投稿をAsanaでタスク化し、メンバーがその対応をするという仕組みだ。全てのプロセスはメンバー全員が把握できるため、

「お客様の声」は単なるクレーム処理のようなものではなく、顧客属性やタグを使い分け、メンバー全体で取り組んでいくため、業務全体が日々改善されていく構造になっている。

Asanaによる社内改革プロジェクトのサポートを先導した菊地祐子 氏は「当初30人から始まったこのプロジェクトは、他の組織にも浸透し現在は100名程度がAsanaを使っています。メンバー全員がAsanaを使うことで、一人一人の頭の整理にもなり、浸透すれば業務進行状況が見渡せるようになります。

ただ、当初のメンバー30名は積極的に利用していますが、新規で増えたメンバーに対しては、ほかの人からタスクが振られることに対する心理的な壁があったり、上司からタスクが振られた後、別のプロジェクトで進捗管理をしてしまったりするのが現状で、Asanaの概念や使い方についてのトレーニングが必要だと感じています。

とはいえ、Asanaの導入により、紙の資料を使わなったり、対面前提ではなくなるなど、コミュニケーションや働き方のデジタル化は定着してきたどころか加速しているようにも感じます」(エトワール海渡 菊地祐子 氏)

働き方のノウハウ・アイディアを共有するAsanaコミュニティ

2社の導入事例を通じて感じることは、タスク管理ツールを利用するに当たっての基本的な概念の理解浸透が不可欠である点と、様々な事例を通じたノウハウなどの応用が重要だということ。

今回開催されたユーザーミートアップイベントは、まさにそのような先駆的ユーザーの情報共有の場となった。なお、Asanaコミュニティ「Asana Together」には、Asanaを広め導入を支援したい個人向けプログラム「Asanaアンバサダー」と業務としてクライアントにAsanaを提案する「認定プロ」が用意されており、今回のミートアップでもさまざまな知見が共有されていた。

新型コロナウイルス感染拡大期を通じて、世界中の多くの人が働く場所や働き方の劇的な変化が余儀なくされてきた。日本においても生産性が下がったり、労働時間が増えたり混乱の中にいる人も多いのではないだろうか。

今回、紹介した2つの導入事例でも明らかになったように、リモートワーク・テレワークにおけるAsanaを使った「分散型ワーク」は、仕事そのものを見える化する作用がある。単に、導入すればうまく行く、というものではなく、組織や関係者と共に仕事を定義・創造しながら共に成長するツール「Asana」の可能性については今後も積極的に追いかけていきたいと思う。

【関連リンク】
Asana

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