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起業家には2つの種類がある。
「上手く収益を生み出す人」と「見えないドアを開けて事業を生み出す人」だ。
bajjiファウンダー 小林慎和氏は明らかに後者である。
矢継ぎ早に困難が降りかかり続ける中、前を向き、チームがやるべき手法を手探りで見つけてゆく。もっとも大切なことは何か?何のために、誰のために、事業にチャレンジするのか? 小林氏の人生をかけた挑戦の中で、リーダーとして必要な哲学が浮き彫りになっていく。
2019年7月30日に発売された新刊「リーダーになる前に知っておきたかったこと」は、そんな小林氏の魂が詰まった一冊だ。近年のスタートアップブームでは、さまざまなハウツー本が出版されているが、思い悩める真の起業家や新しい事業に取り組むリーダーなら真っ先にこの本を手にすべきである。
悩めるリーダーのために
「プロジェクトの遅延」・「想定外の低クオリティ」・「鍵となるメンバーの離脱」・「資金不足」・「ネガティブキャンペーン」・「メンバー同士の争い」・「赤字」・・・・
大小関わらずリーダーとして活動している人にとってこれらの問題は切っても切り離せない。むしろbajjiファウンダー小林慎和氏「人は一人前になってからリーダーになるのではありません。悶えながら、転びながら、それでも山頂に向かって突き進んでいく過程で、リーダーらしさが備わってくるのだと思います」と言ってのける。
では、そもそも言ったとおりに動かないメンバーのモチベーションを上げるにはどうすればいいのか、本書「リーダーになる前に知っておきたかったこと」では小林氏の17年間の失敗中で得たヒントが約30項目に渡り網羅的に解説されている。すべてが彼の本気の取り組みの中で体験した内容だから、大きな気づきを得られることが多い。
ページを読み進めるうちに、あることに気がつく。事業をやりたいという意欲があればあるほど、ハウツー情報は意味を成さなくなってくるのだ。すべての問題は人に関することであり、人に対してどうメッセージを発信し、どうコミュニケーションをしていけばいいのかがリーダーの全てであり、そうした施策を積み重ねる上で物事の中で最も大切な要素や市場観が醸成されていくのである。
リーダーになる前に知っておきたかったこと
小林慎和氏は、本書の中で取り上げられる起業ストーリーが展開する一方、家族が死の境目を歩いていたことを告白している。父親は家族のリーダーだとはいえ、当然ながら自分でコントロールできる話ではない。莫大な治療費がかるため、事業面のチャレンジもやめるわけにはいかない。医療機関や行政機関のとやりとりに希望を失いつつも、事業への挑戦を続け、同時に家族のケアに対しても対峙し続けてきた。事実の重たさに胸が痛くなる。しかし、それが彼が描くリーダー像そのものだったのだ。
もし、困難が積み重ならなかったら、人はどうなるのだろう。リーダーとしてチームを束ね、次の世代に継承できるようなことを成し遂げられるのだろうか? すべてにおいて恵まれた人もいるのかもしれないが、いずれ必ずくる困難と成長の課題と伴走することができるのだろうか?
つまり、この本で描かれる「リーダー」は、今を愛し、未来への扉を開き、次の世代へと新たな価値を継承するために情熱を持って生きることそのものを指しているのだ。それこそが生きることであり、人とともに生きる続けることであり、リーダーとして生きることなのだと思う。
【関連URL】
・[書籍] 小林慎和・著「リーダーになる前に知っておきたかったこと」