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東日本大震災から8年
TechWave代表のmaskinこと増田真樹です。8年前の今日(2011年3月11日)、東日本大震災が発生しました。犠牲になられた方々を追悼すると共に、被災者のみなさまに早期回復を心よりお祈りしたいと思います。東日本大震災の発生は、日本の生き方や働き方を大きく変える糸口になりました。それから8年、Tech業界としてはスマートフォンの急速な浸透がありましたが、それ以外はどうでしょうか? 一人一人の意思を尊重し、助け合い、支え合い、全ての人々が安心して暮らせるようになったか、そんなことを少し考えてみました。
働き方・生き方の変容
東日本大震災直後、工場や生産拠点が被災し、主要幹線道路が封鎖されるなどの影響で、食料からガソリンなどのエネルギーまで多くの品物の流通が止まりました。計画停電などを経験し、エネルギーやモノの大切さを実感した人も多いのではないでしょうか。
何より犠牲者一人一人の生きる権利が失われることの重さ、生命の大切さを再確認した人も想像以上に多いと思います。
一方で、業務を停止させないために、一部のIT事業者は被災地から離れた場所で業務を継続するなどのチャレンジもありました。これらを通じ、自分だけ、利益だけ、資産だけ、権力だけ、都心だけ、ではない多様な生き方、働き方が生まれていきました。
コワーキングスペースの浸透や、在宅勤務、プレミアムフライデー、副業解禁、シェアリングエコノミーなど311の営業が後押しした、そういっても過言ではないのではないでしょうか。
支え合い・助け合い=「インターネット」
当時、人と人とが支え合う思いが最も早く露呈したのはソーシャルメディアでした。震災直後から日本を気遣うメッセージが世界中で投稿されたのです。
また、携帯電話は通じなくなり安否が確認できない中、インターネットベースのコミュニケーション手段に注目が集まりました。この可能性に注目したLINEはこの震災直後に開発をスタートしています。
被災地側に住む筆者の知る限り、実際に被災地でインターネットの恩恵を受けた人はほとんどいません。無線と人のネットワークで情報はやりとりされ、その内容のほとんどはインターネット上に流れることはなかったように思います。災害発生初期段階では、被災地周辺の情報と、SNSで大いに盛り上がる大都市圏とは完全分断されていました。
被災地には助け合いと支え合いがありました。困ったら駆けつけ、足りないものがあったら手を差し伸べる。分からないことがあったら教えるし、教えてもらうことで自分も前に進める。実際インターネット通信は多くの役割を果たさなかったけど、実際に起こっていることは相互に接続しあうことで分断されないネットワークを構築する「インターネット」そのものように思えました。
風評や差別、偏見
SNSなどインターネットコミュニケーションは、適切に普及すればこうした災害時における対応はもちろん、情報のすみやかで偏りのない流通を実現する可能性に満ちていました。
しかし、東日本大震災については、結果として転居せざるを得ない2万人を超える被災者のみなさんが差別され、ありもしない風評が地域にダメージを与え続けています。その偏見を助長していたのは、フォロワー数やリツィート、PV至上主義のSNSやブログであったのも事実といえます。
問題は何か? 現場や当事者と関係ない一部の人が思い込みを助長させたことに尽きるといえるでしょう。
先日、米Facebook CEO マーク・ザッカーバーグ氏が大多数のコミュニケーションから少人数グループを主体としたものに舵を取るという声明を出しましたが、世界が“SNSにおける声の大きな人が世論を扇動する”問題に悩まされ、その解決に向けて動いていると理解すればいいのかもしれません。
IT & Techは何を変えてきた?
この8年間、被災地ベースで印象に残るのは、コミュニケーションロボット「OriHime(オリヒメ)」の広報として岩手で活動した故・番田雄太氏、クラウドファンディング日本一を達成したJDSounds、サポートセンターで多くの雇用を生み出したメルカリなど。それ以外でも多くの起業家や実業家がエリアを越えてさまざまな活動を展開しており、地域のありようが変わりつつあるような印象を受けます。
それ以外にもドローンの活用などの動きはありますが、残念ながら抜本的なIT&Tech活用の施策があるようには見えません。もちろんスマートフォンを持つことで地図や位置情報、さまざまなサービスがジワジワと利用できるようになってきていますが、あれだけの莫大な寄付を集めたにもかかわらず被災地にはまだまだ支援の手を求めている人が多いのが現状です。
そもそもITとは何でしょうか?情報テクノロジーなのだとしたら、情報は人と人、人と社会との関係性の中にあるということを改めて受け止める必要があるのかもしれません。テクノロジーにしても刺激的なハイエンドな技術がすべてではありません。今や高機能なスマートフォンを国民の大半が持つ時代です、そんなユーザー一人一人に寄り添ったこの業界の立ち位置を考え直してはどうでしょうか?
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