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目次
1. リヒテンシュタイン、郵便局がビットコインを販売開始
リヒテンシュタインの郵便事業公式プロバイダーであるLiechtensteinische Post AGが支店でのビットコイン販売を開始しました。これは公式のプレスリリースを引用し、Cointelegraphによって報告されました。サービスは2019年2月15日からリヒテンシュタインの首都ファドゥーツの住民が利用可能になります。この郵便局でのサービスは、将来的にEthereum、Litecoin、Bitcoin Cash、XRPなど、他に人気のある仮想通貨にも追加で対応する予定です。この新しいサービスは、Liechtensteinische PostとスイスのペイメントプロバイダーVärdexSuisse AGとの協業により可能になりました。またプレスリリースでは、暗号通貨販売サービスは、基本的に従来の金融商品の交換サービスと同じであると書かれています。
参考)https://forklog.com/pochtovye-otdeleniya-lihtenshtejna-nachali-prodavat-bitkoiny/
OR:
https://cointelegraph.com/news/liechtensteins-postal-service-to-offer-crypto-exchange-services-at-physical-locations
※公式のプレスリリース
https://www.post.li/ueber-uns/medien/medienmitteilungen/medien-detail/news/news/liechtensteinische-post-ag-bietet-neu-den-wechsel-von-kryptowaehrungen-am-schalter-an/
2. イギリスで分散型経済研究所が開設
ロンドンで初めて、分散型経済研究所(Institute of decentralized economy, IDE)が活動を開始しました。この機関では、ブロックチェーン技術を使用した分散型経済システムについて、そしてそれらが既存の組織に与える影響について調査する予定です。
IDEはSweetbridgeというフィンテック企業と共同で作られ、分散型および自律型システムの可能性を探究するとともに、現実的にそのようなシステムの適用可能性のある用途を見つけることを目的としています。さらに研究所ではステーブルコインの発行やポテンシャル、そして公共サービスと暗号通貨関連技術の相互作用などについて研究します。
プレスリリースでは「同研究所の活動目的は、様々な企業や組織がブロックチェーン産業の根底にあるエコノミーに対する理解を助けることです」と述べられている。
Sweetbridgeはそれらの研究を支援し、暗号通貨業界から企業、事業家、さらに政府関係者を巻き込んでいく予定です。
参考)https://bits.media/v-velikobritanii-otkrylsya-institut-detsentralizovannoy-ekonomiki/
3. ルクセンブルクでSTO関連法案が可決
ルクセンブルクでは、本質的に有価証券であるブロックチェーン資産(セキュリティトークン)の法的枠組みを作成する新法案が可決されました。国会の下院議会は2月14日に法案を採択しました。 新法案に対し、58人の議員が賛成票を投じ、反対票を投じたのは2人だけでした。
新法案は、金融市場における法的な不確実性を排除することを目的とし、特にブロックチェーン技術を使用して証券を発行するための規則が定められています。 「法律によって投資家は安心して投資することができるようになり、仲介者を減らすことで有価証券を使った業務効率を高めることを目的としています」と下院議会の広報は述べました。
新法案によると、セキュリティトークン保有者は従来の非ドキュメンタリー証券(デジタル証券)の保有者と同じ権利が与えられます。
参考)https://forklog.com/zakonodateli-lyuksemburga-sozdali-pravovuyu-bazu-dlya-security-tokenov/
4. イタリアの郵便サービスプロバイダPoste ItalianeがHyperledgerコンソーシアムに参加
イタリアの郵便サービスプロバイダPoste Italianeが、ブロックチェーン技術のフレームワークを開発しているLinux Foundationが主導するオープンソースコンソーシアムであるHyperledgerに参加しました。 Hyperledgerコンソーシアムには、American Express、Cisco、Intel、JPMorgan、Deloitte、Huaweiなど、いくつかの業界のリーダー企業が含まれています。
Poste Italianeが発表したプレスリリースによると、Hyperledgerへの参加は、同社が2022年まで実施する予定の事業計画に沿ったものであるという。この計画には、政府機関の活動のための新技術の獲得と推進が含まれています。 ブロックチェーンを使用する際、データ保護に重点を置いています – Poste Italianeは、ブロックチェーンテクノロジーがセキュリティ、透明性、互換性、およびプライバシー問題を解決するように設計されていることを強調しています。
以前、イタリアの上院議会は、ブロックチェーンの産業別規制に関する法改正を承認しました。その中ではブロックチェーン技術やスマートコントラクトの定義が明記されています。また新たに資料を登録する際、既にブロックチェーンに記録されているデジタルデータによって合法的に検証することができるようになります。 改正法案はこの後、下院議会と上院議会による承認が必要なります。また改正法案の採択後、イタリアのデジタル化担当機関によって改正法案の技術面が監査されます。
ちなみに2018年9月には、米国最大の物流会社であるFedexがHyperledgerに参加しています。その際、Fedexの代表フレッドスミス氏は、ブロックチェーン技術はサプライチェーン、輸送と物流を近代化することができる大きな可能性があると述べています。
蛇足: ロシアンOLちゃんです
リヒテンシュタインはスイスと並びヨーロッパを代表する暗号通貨ビジネスにおけるヨーロッパの中心です。 これら2つの小さな国には、分散レジストリ技術の関連会社が約750社もあります。
ルクセンブルクは多くの投資ファンドと200以上の銀行が運営している主要な金融センターであり、国土が佐賀県ほど狭いにも関わらず生活水準が高く(国民1人当たりの実質国内総生産が世界一。 国民当たりの国内総生 産は80,800ユーロと、欧州28カ国の平均の3倍以上)、ヨーロッパで最も裕福な国の一つです。
またイタリアに関して、ミラノ工科大学の研究者によると、今回の郵便局での導入事例に限らず、イタリアの銀行で広くブロックチェーン技術が使用され始めているようです。
ヨーロッパでは各国がブロックチェーンを取り入れようという動きが積極的であり、これからも目が離せませんね。