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日本人唯一の米国観光・ホスピタリテイ経営学部学科経営経験者である、セントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部准教授 原忠之 氏に再びご寄稿頂きました。ツーリズム&MICE、DMOといった観光分野の世界のリーダー的存在です。
同氏は、MOOC(Massive Open Online Course) 方式というオンライン授業を無料で大量発信したことで世界的に知られています。現在、全米でオンライン授業の対策が進んでいますが、その状況について前回の記事に続いて踏み込んだ情報発信を行っています(編集部)。
コロナウイルス感染者ゼロでも全ての授業をオンライン化(原忠之氏)
(原先生の勤務されているフロリダ州最大の大学「セントラルフロリダ大学」の学長から出されたメッセージより)
学生総数69,525名、教職員13,500名で州内最大、全米でも第2位の規模の当方勤務先大学、来週からの通常授業全廃し全てオンライン化の命令が出た。
大多数の人員が集まる環境を感染者発生前に完全に無くしてウイルス対策。日本の大学だと「教員会議決議事項だ、学期途中だ。何だ」等理由つけて変革反対の声が出そうですが、意外と米国公立大学はトップの命令で教職員はサッと動きます。5日間でやれ、と言う命令。
但し、当学部で言えば既に6割強の授業が全部又は部分的にオンライン方式のクラスであり、コースマネージメントシステム(blackboard, webcourses 等)は教員の8割強が利用しているため、さほど作業無く対応可能。
当方個人で言えば、既に15年前からシステム利用しており、提出物、レポート、宿題、試験全て紙は全廃済み。また授業も過去10年程はストリーミング方式で実施して居り、追加作業一切無し(笑:「やれ」と言われた瞬間に「もう10年前から出来ています」と返事して、FBにこれをポストしている状態)。
日本の大学の教育インフラのレベルは米国の15〜20年遅れ(原忠之氏)
日本の大学でも国立4大学、私立1大学で客員で正規単位授業を教えた事があるので申し上げますが、日本の大学の教育インフラのレベルは米国の15-20年遅れ。しかも米国では義務教育小中高学校もオンラインインフラは大学並みに整備されています。
しかし、これを教訓に日本は猛烈な教育インフラ設備投資をして世界水準に追いついて頂くには良い機会かと思います。副次的産物としては、オンライン教育インフラはそのまま日本高等教育インフラの弱点である社会人継続教育にそのまま利用出来ます。
「物理的に何曜日何時にxxxキャンパスに来れば先生が出席者には知識シェアしてあげよう」と言う足利学校以来変革の無いビジネスモデルに何ら疑問を持たずに、地方や中山間地住民やホテル産業従事者、扶養家族が居るシングルマザーの様に教育投資意志や希望はあっても業務多忙で定期的に授業出席予定出来ないという国民への教育機会均等への構造的差別を感じて居なかった教育産業従事者にとっては、世界からの不快な目覚ましコールですが、長期的に見れば、生産性向上、インターネットもスマホもある21世期の学生の利便性向上変革の良い機会だと捉えてデジタル化を進めて頂ければ「禍を転じて福と為す」です。
実際のオンライン授業はどう進むのか?
実際、原氏が手がけるオンライン授業はどう進むのか?時差もある場合はどうなるか?実際に大学に通う保護者との質疑の内容から抜粋(以下)。
1) 住んでいる地域によって時差があるのでは
録画した授業又はクリックして文章を読解して行く形。ストリーミングビデオの場合は学生から見るとこう見えます。
2) 質問などをすることはできるのか?
「24時間何時でもシステム内のメイル又はデイスカッションボードに公開質問して教員やクラスメイトが公開解答する形だと思います。当方はDiscussion Boardという学生全員が見れる場所で公開で質疑をします。同じ質問にメイルで何度も同じ回答するのを防げます。自分が教員の時はコーネルはBlackboard と言うシステムを使っていました」。
3) リモート授業の生徒の試験は不利になるのでは?
「試験はオンラインのシステム内で、多選択肢回答や記述論文等、教員の趣味で形式は異なります。これも教員の設定に寄りますが、海外学生や他州学生が居る場合は、数時間のテスト実施時間を設定し、一旦始めたらテストは90分以内で終了するというような設定にします。多選択肢回答の場合は事前に我々側が正解を設定しておく事で、提出と同時に即採点完了し、自動的に点数が表計算に入力される仕組みです」。
「記述される場合は当方が読んで手動で点数を入力し、それは表計算に自動で集計されていきます」
【関連URL】
・[記事] 高等教育知識移転モデルの転換への好機到来(セントラルフロリダ大学 原忠之 氏)