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富士通は本日(2020年2月10日)、スタートアップ協業を狙ったプログラム「FUJITSU ACCELERATOR」(富士通アクセラレーター)の第8回ピッチコンテストイベントと東京都内で開催しました。
応募総数、国内93社,海外138社から書類審査で絞られた15社のプレゼンテーションの内容とその結果をお届けします。
FUJITSU ACCELERATOR 第8期ピッチコンテストの概要
FUJITSU ACCELERATORとは
「FUJITSU ACCELERATOR」は技術的な革新性のあるスタートアップと富士通グループの製品・ソリューション・サービスとを組み合わせ新しい価値を世に送り出すことを目的とした事業マッチングの取り組みで、第7期までに協業検討が120件、うち70件の協業実績があります。実際、チャネルでの汎愛や共同開発CVからの出資が決定したことも。
8回目となる今回のピッチコンテストは、ファイナリスト15社のプレゼンテーションにより協業検討先を選定するという流れ。2020年4月までに選定を終え、3か月かけてプログラムを進めた後改めて2020年7月にデモデイを実施する計画。
審査員
審査は富士通社外では以下の3名。
・アーキタイプ株式会社 代表取締役CEO 中嶋淳 氏
・DNX Ventures Managing Director 倉林陽 氏
・Sozo Ventures General Parter 中村幸一郎 氏
また、新規性・成長性という審査基準で審査する。富士通グループの各事業部門責任者も並行して、個別面代に進みたいスタートアップ企業を選定することができる
ファイナリスト15社のレビュー&コメント
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パワフルなAI画像認識システム「IVS」(Intelligent Veriy System)
株式会社IDEAAI
http://ideaai.co.jp/通常のAIでは検出できないような、認識困難な微細なものを分類・検出することができるというもの。第一弾として台湾企業のCOF(Chip on File)製造ラインに自動二次検査システムとして世界で初めて導入。サーバー1台で数百人で手がけるシステムをまるごと削減することが可能。すでに半分の削減に成功している。協業実現の際には、外観検査を軸に、ソリューションやインフラ点検など応用の幅を拡大していきたい考え。
蛇足) 事例によるが、場合によっては良品不良品あわせて20事例を学習するだけでシステムが成立するという。画像認識では最低でも数万件の学習が必要という話もよく聞かれるため、これがどのようなインパクトをもたらすのかウォッチしたい。
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工場生産性をIoTで向上
株式会社キャッシュフローリノベーション
https://cfr-tokyo.co.jp/作業員の足にセンサーを取り付け、作業者視点およびいくつかの固定カメラを設置。生産現場の計画がどのように実施されているかを定量的データを蓄積・解析できる。データ収集後1分以内に稼働概要のチェックが可能。すでにトヨタ自動車グループ等での18年かけて実現したもの、一度の調査で4000秒の改善。13人から7人を削減するような事例もある。この仕組みをAI化を実現していきたい考え。ビジネスモデルなども検討中の段階。
蛇足) 作業員の動きをデータ収集し可視化するというもの。ノウハウはメンバーと関係のある大学教授に依存するという問題がある。これをAIのノウハウとして知財化できるかどうかが焦点となりそうだ。
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AIに感情を取り入れる
OVOMIND株式会社
http://ovomind.com/ja/2019年設立。AIにおける感情認識は、声や表情に限られるのが現状だがそれには限界がある。OVOMINDではウェアラブルデバイスを使ってそれを実現する。SDK提供により、さまざまな利用シーンに対応する。デバイスには4つのセンサーが搭載されており、そこから生体反応から感情を分析。5億人以上が利用するウェアラブル市場から、460億ドルともいわれるAI市場に挑む考え。現在は、パートナーと共にゲーム市場などでPoCを実施している。
蛇足) 生体センサーからのデータの応用はまだまだ掘り下げられてない領域。特にウェアラブルは今後、新たなフェーズを迎えそうなので未知の期待感がある。
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システム操作に操作ガイドをオーバーレイ表示
テックタッチ株式会社
https://techtouch.co.jp/システム操作を習得するには「マニュアル」「研修・説明会」「ヘルプデスク」といった旧態依然とした手法が使われている。そこで操作画面にオーバーレイする形でナビゲーション情報を表示させるシステムを開発。ウェブベースのシステムに限定されるが、ノンプラグラミングで作成できる。
蛇足)
同種のプラットフォームはグローバルでいくつか実在する。差別化や優位性の話は出てこなかったが、サービスとして提供する価値はどこまであるか。 -
地域や企業のPRをインフルエンサーによって取り組むプラットフォーム
株式会社ホイップ
https://whip.life/PR施策をオピニオンリーダーが受け持つというもの。動画やコラボ商品開発、イベント実施などを通じてSNSをプラットフォームとして発信・拡散させる取り組み。拡散の流れを体系的に把握できるようになっており、費用は30%削減、時間も50%削減することができる。
蛇足)
いわゆる消費者コミュニティによるインフルエンサーマーケティングと理解するのが妥当だろうか。いわゆるサクラ営業とは異なる緻密なサービスという印象。 -
自然言語処理で将来予測をする「XENO BRAZIN」
株式会社xenodata lab
https://www.xenodata-lab.com/将来予測を専業とする。既成ニュースや開示情報、レポートといった文章情報を解析し将来動向をスコア化。国内企業40万社を予測。ニュースなどの情報から、どの領域のどの企業にどんな影響ができるのかを、その理由を含めて把握できるようなっている。現在はSaaSサービスとして展開しているが、今後API提供によりリスク情報など各種情報連携を計画している。IDあたり2~3万円で、ボリュームディスカウントを適用する。
蛇足) 既成メディアの記事とサマライズされた記事の分析サービスは過去になんどか目にしたことがある。記事だけでどこまで予測ができるか。ただ、壁を乗り越えてもっと仔細な情報を適用できたとして予測精度はどこまでいくか興味がある。
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文化財の知財化を狙う
株式会社アルステクネ・イノベーション
http://www.at-innovation.com/芸術鑑賞能力が欧米と比べて出遅れている日本で、3D質感処理技術によって造られた超高精細アーカイブ事業を展開する。江戸時代の和紙の繊維一本一本にまで再現が可能となる。現在、NTT東日本と4Kによるデジタルミュージアムを展開中。高度記録技術を用いた多様な応用事業が検討できる。
蛇足) 実際に作品をみたことがある。たかが高精細スキャンデータとはいえ、実際閲覧するとそのパワーを実感できた。課題は資料閲覧以上の体験価値を得られるかどうか、といったところだろうか。
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データサイエンスのスタートアップスタジオ
株式会社DATAFLUCT
https://datafluct.com/データ蓄積から活用まで一連のプロセスを一手に引き受けサービス化する。多様なデータを組み合わせて、シミュレーションから売り上げにつながるような施策の発見などに導くことができる。ディープラーニングによって売り上げなどの推定をさまざまなケースで対応できる。業界ごとの価値あるデータにおいてサービス化を仕掛けていく。共創型は9か月でサービス化が可能。
蛇足) プラットフォーム普及などの時代の変遷に適合したまさに時代にあったサービス。コスト次第ではあるが、データセットと分析課題があれば、ひとまず検証したくなるだろう。
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人の意思決定をモデル化した「ヒューマン・デジタルツイン」を事業化
Datumix株式会社
https://datumix.co.jp/現実空間をデジタル空間にコピーしたデータプログラム「デジタルツイン」。これを人の意識決定のモデル化に適用する。例えば、優秀な社員をモデル化し、若手社員にノウハウを共有していくようなことができるとしている。この取り組みはSlackボットとして実装し検証しており、2020年6月にプロトタイプをリリース予定。富士通との協業で物流業界に進出することを望んでいる。
蛇足) デジタルツインというキーワードを初めて認識した。現実空間のどこまでをモデル化できるか、しかも人の意思決定をモデル化するということの可能性がどこまで到達できるか興味深い。
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バックグラウンド認証技術で積極的に不正を防止
株式会社AnchorZ
https://anchorz.co.jp/面倒なセキュリティ保護の認証技術をログイン時のみではなく、使っている間バックグラウンドで常時認証を行う仕込み。現時点ではソフトウェアレベルでの供給のみだが、組み込みソフトウェアの領域にも展開していきたい。随時認証を細かく実施することにより、本人しか使えないスマートフォンなどを実現することができるようになるという。
蛇足) 「極端にいえば、パスワードが知られてもいい」という衝撃の説明。認証のデータや仕組み一つだけでなく、使用中のふるまい(癖)を多数把握してトータルなバックグラウンド認証を実現するという。
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業務可視化とプロセスマイニングを実現
株式会社MeeCap
https://www.mee-cap.com/どの企業でも問題となる業務実態の可視化を改善する。PCで行うキーボードやマスス操作のデータを収集し、操作レベルの分析を行う。これにより、業務や勤務状況を把握するなどの成果が得られる。初めはバックオフィスの業務に始まり、営業などに拡大。RPA化などに活用できるデータが得られる。
蛇足) 大企業ならではの課題。労働者およびエンドユーザーが分析対象となることがどこまで受け入れられるだろうか。
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実世界とネット情報の眼前融合を目指す
NeoX株式会社
https://corp.neox-inc.com/2016年12月に東京と上海で設立。現実社会の物体認識からその情報を引き出せるAIソリューションを開発。エンジニアは不要で、誰でも物体認識モジュールを作ることができる。例えば、リンゴ農家に導入し、その熟成度合いを映像から認識できるようになる。学習は1万円から、10分もあればモジュールを稼働させることができる。すでに世界4000以上の開発企業にライセンスを供給。富士通グループとの協業はすでにスタートしている。2020年はウェブサービスから使えるクラウド認識を提供する予定。
蛇足) 圧倒的な価格パフォーマンス。学習データがどう扱われるかどうかといったセンシティブな問題もあるが、この利便性が低価格で使えるとなると大きなインパクトがありそう。
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SaaSとSaaSをつなぐ「AnyFlow」
Anyflow株式会社
https://anyflow.co.jp/現在、企業はSaaSを平均10-20種類導入しているという。名刺管理サービスとRPAと連携させれば手間が大幅に削減されるが、上手くいかないことが多い。「AnyFlow」はビジネスユーザー向けに、直感的に連携することができる。例えば、SmartHRで入社手続きをすると、ほかのコミュニケーション系サービスのアカウント作成などをさまざまな処理を自動化することが可能。価格はSMBは月額5万円から、エンタープライズは月額20万円から。
蛇足) IFTTTを筆頭にAPI連携のサービスは長年注目されてきた。なかなか使い続けられない理由として、対応サービスが不足していたり、連携がエラーになるなどの品質問題があったが、その辺の解決はもちろん、企業向けのサービス利用動向を分析した新たな事業も計画している点に注目。
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医療をITで武装する
株式会社Linc’well
https://www.linc-well.com/医師を中心とした十数名のチームで、スマートクリニックを実現するサービスを提供。クリニックは個人経営がほとんどで、古いままの体制で運営されている。このサービスを使うことで、予約から診療処方までトータル15分で済むようになる。もちろんキャッシュレス決済に対応、クラウドで診療結果を確認することもできる。実際に導入したクリニックでは、一般的な患者数の3倍に達する。オンライン診療なども展開。
蛇足) 個人情報の取り扱いやカルテの扱いルールなど壁はあるが、IT化することで健康管理や一次予防、福利厚生などへの展開など可能性が見えてくると感じた。
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電話営業を分析し生産性を向上する「Miitel」
株式会社RevComm
https://www.revcomm.co.jp/電話営業の内容を録音分析し、会話の品質を把握し改善に役立てるというもの。全文が文字興しされるだけでなく、自動的に抜粋されレポートもしやすい。担当者毎の傾向なども見られるため、自己評価および改善にも役立てることができる。1年で3000社導入、650万電話営業内容が分析されている。ウェブにJavaScriptを貼り付けるだけで連携も可能。また、音声解析エンジンのAPIも公開済みで可能性が広がっている。
蛇足) シュリンクしている印象がある電話営業だが、絞り込むことでここまで効果がでるのかと驚かされる。もちろん営業・コールセンターのみならず、他への応用、海外展開も見込める。
過去採択企業のアップデートピッチ
最優秀賞の発表を前に、過去の「FUJITSU ACCELERATOR」における協業採択企業が現在どのような成果を生んでいるのか、3つのスタートアップがプレゼンテーションを行いました。
PerceptIn Japan合同会社(第7期採択)
https://www.perceptin.io/jpn
交通弱者の増加等に対応するためにコンピュータビジョンを駆使し短距離を自動運転できるロボットタクシーの導入を進めるために協業により実証実験を進めているとのこと。高価なロボットタクシーではなく、10分の1,20分の1で動作する。2019年9月は福岡市、11月には平城宮跡で富士通のオンデマンド交通サービスを使った実証実験を行っている。浜松市の実証実験サポートなども展開中。
株式会社アダコテック(第7期採択)
https://adacotech.co.jp/
工場の現場でもっとも悩ましい外観の目視確認の人依存問題にフォーカスし、目視のAI化のみならず製造支援にまで拡大することでパフォーマンスを上げている。フルスクラッチになりがちなこうしたソリューションを、富士通との協業によりクラウド+エッジ化しようと検討している、
株式会社ヒトクセ(第期6採択)
https://hitokuse.com/
広告クリエイティブ事業を展開する同社が、富士通と協業で生み出したのは視線分析サービス「Gaze Analyver」。コンテンツの注視率を把握することが可能で、コンバージョン貢献などの分析も可能、
個別面談は全社通過、優勝は・・・
今回審査とは別に富士通による個別面談ニーズを審査していましたが、第8回はファイナリスト15社全てが個別面談に進むことができました。
いよいよ、優秀賞2つと、最優秀賞の順で発表です。
優秀賞賞 1/2社目
・システム操作に操作ガイドをオーバーレイ表示
テックタッチ株式会社
優秀賞賞 2/2社目
・SaaSとSaaSをつなぐ「AnyFlow」
Anyflow株式会社
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最優秀賞賞
・電話営業を分析し生産性を向上する「Miitel」
株式会社RevComm
左)富士通 代表取締役社長 兼 CDXO 時田隆仁氏、右)受賞したRevComm 代表取締役社長 會田武史 氏
おめでとうございます!
【関連URL】
・[公式] 富士通アクセラレーター