- AIとフィンテックの相乗効果で、アジアに金融の可能性が広がる - 2024-02-22
- 持続可能性とマーテックの融合 〜 環境配慮型マーケティングに向けて - 2024-02-22
- FinTechの進化と高度なデータ保護の必要性 - 2024-02-22
寄稿
TechWaveではさまざまな分野・国と地域からの寄稿を受け付ける取り組みを始めています。今回は中国圏からのゲストライターによる寄稿です。非中央集権技術がクラウドを変えていく刺激的な話です。
〜iExec マーケットプレイス : 無制限なコンピューティングリソースへのアクセスと非中央集権化による「クラウドコンピューティング」の新たな一面〜
「クラウドコンピューティング」という言葉は2000年代前半から、徐々に使われ始めてきた。一方で、コンピューティングという概念はそれ以前、1960年代に個々の会社が自分たちでパソコン持ち始める前（すなわち、他者からのレンタル）から存在してきたものである。しかしながら、コンピュータパワーにアクセスする為にレンタルをするという考えは、1990年後半の「グリッドコンピューティング」、2000年代前半の「ユーティリティコンピューティング」のプロバイダーアプリサービスの登場の際に、何度か見直されてきたのだ。これらに続いたのが「クラウドコンピューティング」の到来である。この概念は社会に実用されるサービスかつ、超巨大規模のソフトウェアの開発をもたらした。
「クラウドコンピューティング」は、例えば、インターネットを介して行われるストレージプロセスパワーや、サービスを使用する前に事前支払いするオンデマンドコンピューティングの供給である。そこではデータセンターやコンピューティングインフラを自分で保有する代わりに、個々人や、組織がストレージからネットワークまでの全てを直接アクセスできるようになった。「クラウドコンピューティング」のサービスを利用する上で得られる最大の利益は、会社が莫大な初期投資費用を抑えることができるということ、複雑で難解なITインフラを自分で保有する必要がなくなった為に、整備の手間が省けたこと、使いたい時だけ使うことが可能になったことだ。その一方で、「クラウドコンピューティング」のサービスをするプロバイダーたちも同様に、全世界のマーケットユーザーにダイレクトでリーチできるが故に、巨大な経済規模から利益を得られることになる。両者にとってウィンウィンの関係を構築できている。
ここで考えうるサービス使用者側の懸念は、「クラウドコンピューティング」のセキュリティ問題である。データのハッキング、データロスや規制コンプライアンスなどがここであげられる企業が懸念する例だ。セキュリティ問題に加え、使用者らはそのコストやポータビリティ、サービス内でのプライバシーなどを不安視しているはずで、そこで紹介したいのがこのiExecという会社である。
iExecはテクノロジーに強い企業であり、「クラウドコンピューティング」と「ブロックチェーン」のセキュリティの力を組み合わせることによって、コンピューティングのレベルを一段階あげ、革命を起こそうとしている。iExecは非中央集権化マーケットを創り上げる初期段階で大きな成功を収めた。このプラットホームでは、確かな安全性と開放性をもった市場でコンピューティングパワーにアクセスすることを可能にした。顧客は大きなキャパシティのコンピューティングパワーに公正な割合の価格でアクセスできる上に、その市場はプロバイダーに関係なく、コンピューティングリソースに基準化された公正なアクセス権を提供する。
iExec blockchain
クラウドコンピューティングはコストエフェクトであり、クラウドサービスのプロバイダーがユーザーの需要を満足させる適正な価格でサービスを提供すると同時に、コンピューテーションのデマンドとして「ワークオーダー」と言われるオーダーをする。与えられたピアトゥーピア（peer-to-peer）の市場体系を通して、市場参加者はiExecに余分な手数料を払わずに自由に価格を設定できる。そのマーケットプレイスは最適な価格でユーザーが必要なリソースに対し、オンデマンドのアクセスを得られるようにプラットホームを提供している。使用時のみだけ支払いをするという（pay-per-task)プライシングモデルはユーザーにとって統合されたリソースへのアクセスや柔軟性のある対応を可能にしたマーケットプレイスのみでしか使われない。
ブロックチェーンのポテンシャルを最大限にするために、iExecのような企業たちは、必要とされるコンピューティングパワーへのアクセスの際に現れる障壁を取り除くことに挑戦している。このことは技術進歩と持続的なイノベーションを支えることになるだろう。
「クラウドコンピューティング」のセキュリティへの課題を乗り越えるために、iExecのサービスはイーサリアムブロックチェーン上に成り立っている。そして、そのイーサリアムのブロックチェーンは高レベルのトレーサビリティと信用を備えた安心したプラットホームを提供している。トレードトランザクションはブロックチェーン上にしっかりとしたセキュリティと、誰でも閲覧できる透明性とともに記録される。マーケットプレイスのすべてのトランザクションはPoCo(proof of contribution)を通して検証、確認され、起こったそれぞれのトランザクションは、その取引がしっかりと第三者が関わっているのか確認するためにPoCoによって承認される。マーケットプレイス内での信用はこのアルゴリズムの合意によって保証されているのだ。
すべてのトランザクションをする際の複雑性を取り除くために、このマーケットプレイスはRLCトークンを使っている。このトークンは、支払いの際に起こる違う通貨によるレートの不統一性の問題を解決した。この支払いシステムは全世界の誰もが参加でき、公正な市場を創ることになった。
すでに市場のオペレーションを最大にするためにiExecとパートナーシップを組んでいる企業として中国のTFCloud・Nerdalize・Cloud&Heat、そしてStimergy のようなメジャーなクラウドコンピューティングサービスのプロバイダーも名を連ねる。これらのクラウドプロバイダーにおけるいわゆるファーストペンギンたちは、市場にパラダイムシフトを起こそうとすでに行動を起こしている。
ここで確かなことは、「クラウドコンピューティング」について懸念される様々な企業の持つ問題に解決するためのキーは、「ブロックチェーン」であること。そしてその解決への道のりは今まさに始まったのだ。
【関連URL】
・[公式] iExec