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LaunchPad 結果総まとめ IVS 2018Winter Kanazawa #ivs18w #ivs

IT業界のトップ層が一堂に集あつまるカンファレンス&ネットワーキングイベント「Infinity Ventures Summit 2018 Winter Kanazawa」の最終日2018年12月19日、目玉プレゼンテーションコンテスト「LaunchPad」が開催されました。

このイベントは投資家や経営者らによる厳しい審査を経た新規事業を手がけるトップ14社が、業界キーマンらの前で最終プレゼンを行うというもの。

どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?登壇企業14社による6分間のプレゼンテーションのレビューなど、IVS 2018 Spring Taipei「LaunchPad」の全てをお伝えしようと思います。

審査員はディー・エヌ・エー川田尚吾氏を筆頭に、スカイランドベンチャーズ 木下慶彦 氏、gumi 國光宏尚 氏、Klab 真田哲也 氏、ドローンファンド 千葉功太郎 氏、ウォンテッドリー仲暁子 氏、YJキャピタル堀新一郎 氏、フリークアウト・ホールディングス本田謙氏、大和証券 丸尾浩一氏、慶応イノベーション・イニシアティブ 山岸広太郎 氏、クラウドワークス 吉田浩一郎氏、e.Ventures Brendan Wales氏、ITC Executive Corina Birta氏,、App Works Joseph Chan氏。

14社のレビュー&コメント

  1. 出会いからおつきあいまでAIが支援「AILL(エイル)」 
    https://aill-navi.jp/

    恋人がいない20-30代は800万人にアンケートしたら結果主義の影響を受けたせいか結果が不透明なことに対応できずコミュニケーションミスが起こる傾向がわかった。それをAIや営業手法を用いて抑制するというもの。一日数件の紹介(フリープランは1件、月額約5000円)だけでなく、コミュニケーションまで支援する。AIアシストで成約率は76%。国内3000億円、潜在市場は1兆円。

    蛇足)実際の画面では、チャットすらAIアバターがサポーとしていてびっくり。そこまで支援したら、実際に付き合ったり、結婚してからもAIアバターに依存しちゃうのではないか?

  2. 電話営業を人工知能で可視化する「MiiTel」 
    https://miitel.jp/

    電話営業のブラックボックスを可視化する。インターネット番号で通話された電話は自動で記録。時間やかぶり、顧客とオペレーターの発言単語数、キーワードなどが自動で分析され、他のスタッフが通話で伝えた内容を共有できるだけでなく。アポ率62%増、成約数56%増加する。月額4980円/ID。2ヶ月で40社が導入、400人が使用。

    蛇足)テレアポCRMはグローバルで見ればかなり成熟した業種。ただ、日本語の壁があり、国内で競争予知が残っているのかもしれない。

  3. 法務ドキュメントのバージョン管理システム「hubble」 
    https://hubble-docs.com/

    マイクロソフトワードを使った契約書作成から締結の面倒なフローを改善する。ソースコードのバージョン管理githubのようなもの。ワードファイルをアップロードすることで、ウェブツール上で編集することができるようにある。差分表示はもちろん、共有ユーザーとコメントのやりとりや差分管理も可能。2018年10月ローンチし300社から問い合わせがあった。

    蛇足)法務ドキュメントに限らず、ワードの変更履歴をSaaS化したように感じる。

  4. AIを使って契約処理を簡略・自動化する「AI-CO(アイコン)」 
    https://ai-con.lawyer/

    契約内容を解釈してレビューしやすくするサービス。不足項目やリスクの洗い出しなども自動で行う。修正例も表示され、そのガイダンスに従い有利不利のバランスをみながら修正していける。月額1万円。契約書はNDAや業務委託、投資契約を含めた14種類でスタートアップに必要なものは揃っている。また、テンプレートを選び質問に答えるだけで契約書ができあがるというAI-COドラフトというサービスもある。すでに2000社超が導入。大企業向けサービスも2019年明けを目標に準備中。

    蛇足)欧米ではこの手のサービスを手がけるスタートアップが目立つが、やはり日本ローカル&日本語の壁がある。とはいえ、ありがたいサービス。

  5. 貿易業務のコラボツール「Zenport」 
    https://zenport.io/ja

    貿易業務にはエクセルベースの複雑なファイルを10枚も使うことがある。貿易には関係者が多く、相手によってファイルを作り直す必要があり、業務の50%がそれにあてられる。このサービスでは発注情報から商品、サプライヤーなどの情報の登録が可能でスケジュールなどそれらの情報を関係者に簡単に共有することが可能。アパレル・雑貨など多少品種向け17社で展開。日本貿易8万社のうち中小3万社がターゲット。今後、マッチングやエスクロー、融資なども展開。

    蛇足)サプライチェーンマネジメントの基礎中の基礎を管理できるようにするというもの。たすでに多くのプレイヤーが参入しているが、Zenportは貿易事業者間にはいることで差別化する考え。

  6. RFID商品トラッキング「P3 Finder」 
    http://rflocus.com/jp/

    RFID(非接触無線通信)タグを使った多品目物品管理が進んでいるものの、読み取ったタグの位置特定が難しかった。そこでハンディスキャナに専用アプリをインストールしたスマートフォンを装着することで、スキャンした物品の正確な位置を把握できるようになる。対応するのはUHF帯という最も汎用なRFID。ドローンにスキャナを搭載する運用も可能。トヨタ、航空会社などに導入実績あり。

    蛇足)考え込まれた位置特定技術。ハンディスキャナとの連携がどこまでスムーズか、また一般に手に入れられるRFIDハンディスキャナがどれだけあるか。いずれにせよ、情報が付与されることで管理負担は大幅に低減されるはず。これは期待。

  7. 4Dグラビティ搭載次世代ドローン「Next(エアロネクスト)」 
    https://aeronext.blue/

    エアロネクストは2008年バルーン撮影から始まり、ドローンのソフト&機体の革新を追求した同社の最新技術「4D Gravity」。機体が傾いても重心が不変で、安定して航行できる仕組み。これによりドローンの幅広い活用が可能になる(ドローン同士の電池交換や特殊な形状のドローンを使った作業)。深センで開催された世界4500社のコンテストで総合3位に入賞している。

    蛇足)技術はブランドと認知、そして規模が重要だが、スタートアップながら大きな手応えを得ている印象。この技術を広めることに成功すれば日本発のドローンの世界が変わるように思う。

  8. スマホ制御宅配ボックス「VOX(マッシュルーム)」 
    https://mashroo.me/

    自宅で使える配達ボックス。箱自体を管理するOSを作成し、スマホで制御できるようにした。配達員などにボックスの開閉権利付与して宅配受け取りに応用可能。電力はソーラー給電でOK、1台あたり4000円以下で制作可能。キラーアプリケーションとしては洗濯を検討。利用者あたり月額1000円程度を想定しているが、パートナー企業などとの連携することで料金を無しにする方向も考えている。

    蛇足)ボックスの構造は最低限のもの。具体性や事例がほとんどなく、概念的だったのが残念。どれか一つでもトラクションが得られた段階でもう一度聞きたい。

  9. 物置のシェアサービス「モノオクmonooQ」 
    https://monooq.co.jp/

    トランクルームの料金が高くて使えない、場所がないなどの問題で、日本では大きな荷物を廃棄することが多い。使っていない押し入れや余っている部屋などをシェアリングサービスとして安く提供するというもの。引っ越しの家具や楽器などを保管。保険なども用意。場所提供ホストは20%の手数料をモノオクに払う仕組み。今回、「土地」活用ソリューション、モノオクボックスをイナバクリエイトと展開。将来は物流まで入り込みたい。

    蛇足)保管サービスという観点でのコスト面とこれまで廃棄せざるを得なかった大型荷物を手放さないチャンスが得られる点、それが土地にまで関わってくるとなるとまだチャンスがありそう。

  10. ビジネスマップ 「macci(マッチ)」 
    https://macci.biz/

    空き家や求人情報、新築情報などネットで情報が集められるものの、実際にタイムリーな情報ではないことが多い。それらを元に何らかの事業提案を行う事業者は問題視しているという。そこで人力とソフトウェアで事業に使える情報を更新する事業を展開。月額関東39800円、関西29800円、カスタム版の提供も可能。

    蛇足)いくつかの企業が類似のことをやっているが、どこがプラットフォーム化できるか?という過酷なレースでどう戦えるか。

  11. サイクリスト向け「Velodash」 
    https://www.velodash.co/

    サイクリスト向けイベント市場規模は世界全体で120億ドル。イベント開催や運営のツールが整備されていない。このツールを使えば、イベントの開催やコース設計、参加者募集、決済などを簡単に行うことができる。また、イベント開催中、参加者の走行位置をトラックできるほか、参加者は周辺の観光情報などをチェックすることも可能。

    蛇足)サイクリスト向けに踏み切った良質サービス。別のスポーツやレクリエーションにも応用できそうだけど、市場がありコミュニティがいる自転車の世界だからこそ熱量が出るようにも思う。

  12. 養豚管理システム「Porker」 
    https://www.eco-pork.com/

    2021年には供給バランスが崩れ価格が上がると予想される。種づけ・肥育など複雑なプロセスがあるが、現状は紙のシートで管理運営している。これをIT化しデータ化することで、誰でも簡単にかつ管理ができるようにする。作業記録はリアルタイムで反映され、問題点などの即座発見、原因発掘なども行ってくれる。オンラインで担当獣医師などに相談・指導を受けることも可能。3ヶ月で40万頭のデータを獲得。一頭年額60円 x7.5億頭。

    蛇足)酪農の負担の大きさは何十年も問題になっていた。20年ほど前に一時期IoT化が注目されたが、その後、安定的に提供されたシステムはないように思う。ITは社会を支える、そんなことを感じさせられる内容だった。

  13. 人工知能が嚥下(えんげ)を測る「GOKURI」 
    https://www.plimes.com/gokuri

    老人の方にとって「のみこむ」のが大きな問題。飲み込むことを失敗し、誤嚥によって肺に食べ物などが流れ込み肺炎になり死因にもつながってしまう。嚥下とは、飲み込みこと。このサービスを使うとどれくらいの嚥下能力が計測できるようになり、誤嚥を回避できるようになる。2700回の嚥下を人工知能で学習して診断する。売り上げ目標は月1.2億円。世界で最も高齢化が進む日本を筆頭に、世界の国と地域に広めたいとのこと。

    蛇足)ほとんどの人が気がつかない死に関わる問題。こうした領域にこそITは効果を発揮する。

  14. VRキャストプラットフォーム 「Virtual Cast」 
    https://virtualcast.jp/

    VRをつかって現実よりも楽しい体験を提供する。VR空間内のカメラを使って放送することができる。複数のアバター番組作りができる。Twitterハッシュタグと連動。視聴者からの応援ギフトが収益源。(デモで使われたシャケは300円・花輪は1万円など)

    蛇足)VRキャストのおもしろさは一定評価できそう。ただ、ビジネスモデルが中国発の二番煎じなのが気になる。

優勝は・・・

5位 人工知能が嚥下(えんげ)を測る「GOKURI」
4位 RFID商品トラッキング「P3 Finder」
3位 電話営業を人工知能で可視化する「MiiTel」
2位 VRキャストプラットフォーム 「Virtual Cast」



優勝 4Dグラビティ搭載次世代ドローン「Next(エアロネクスト)」

【関連URL】
・[公式] Infinity Ventures Summit

超蛇足:僕はこう思ったッス
今回のIVS全体ががそうだといえるのだけど、お金以外の評価指標への関心がこのローンチパッドでも高まったように思う。成長は数字でしか評価できないかもしれないが、小さな気づきが大きくなる可能性を秘めているという気づきの連続だった。ITはゲームやアーリーアダプターのおもちゃではなく、社会に、人に、大きく貢献することが改めて理解できたように思う。

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