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IVS 2019 Winter Bangkok「LaunchPad」結果ーレポート&結果総まとめ #ivs19w #ivs

IVS

IT業界のトップ層が一堂に集あつまるカンファレンス&ネットワーキングイベント「Infinity Ventures Summit2019 Winter Bangkok」の最終日2019年12月4日、目玉プレゼンテーションコンテスト「LaunchPad」が開催されました。

このイベントは投資家や経営者らによる厳しい審査を経た新規事業を手がけるトップ14社が、業界キーマンらの前で最終プレゼンを行うというもの。

どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?バンコク7社、日本7社、登壇企業計14社による6分間のプレゼンテーションのレビューをお伝えしようと思います。

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Infinity Ventures Summit2019 Winter Bangkok「LaunchPad

審査員はKNX Ventures 倉林陽一氏、M&A Partners Hiro Mashita、Klab 真田哲也 氏、クラウドワークス 吉田浩一郎氏、フリークアウト本田謙 氏、XTech/XTech Ventures 西條晋一氏、AppWorks Joseph Chan 氏、Randolph Hsu 氏、TechSauce – (minmee) Suwankji 氏、Startup Thailand – Pahrada(Mameaw) Sapprasert 氏、Paul Ark (Polapat Arkkrapridi)氏。

スポンサーであるAWS Japan、SibaZiba、freee、住友不動産、台湾のコワーキングスペースGrowfish、FORTUNE社から各種副賞が授与されます。

14社のレビュー&コメント

  1. [タイ] マイクロインフルエンサー支援「Influenxio 

    時間とコストがかかるインフルエンサーマーケティング事業において、フォロワー数1000~1万人というマイクロインフルエンサーにフォーカス。マイクロインフルエンサーは1億4000万人いるという。シンプルなキーワードとエリアを指定するとインフルエンサー検索が可能、ドラッグ・アンド・ドロップ操作で依頼が可能で、すぐに手間無くフィーを払うことができる。500ドルで10万人にリーチできるキャンペーンがありコミッションは30%。2020年には日本に参入。James Lee氏を初め、sinaやテンセントからも資金調達を実施している。

    蛇足)
    このりょう

  2. [日本] 自動車SMBのB2Bプラットフォーム「MotaGarePack 

    自動車は減るどころから増加し、メンテナンスやカーパーツが重要になる。しかし未だにオペレーションはアナログで個人経営が96%。そこでバックエンド向けシステムの提供を開始。電話やFAXでの注文が当たり前の商慣習をスマホだけで仕入れから車検証の確認などの手続きをできるようにした。また、そもそも商品情報が雑誌などに分散されているのをデータベース化、4億SKUを強みに、1200社との取引がある。当初はSMEがターゲットだが、目指すは自動車市場20兆円。

    蛇足)
    マイクロ・マーケティングは、スマホライブなどの成長に伴い急成長しそう。プロモーションのみならずさまざまな領域で活用できそう。

  3. [タイ] レストランの仕入れ業務支援「FOOD MARKET HUB 

    レストランの経営支援クラウドツール。メニューから仕入れ管理まで提供。POSなどとの連携も可能で、他店舗展開の店舗に最適。直近の12か月で7.5倍成長。500スタートアップからの投資を受けている。

    蛇足)
    さまざまなサービスがあるものので、世界のデファクトになっているものはない。こうしたイージーユースなものが定着する可能性がでてきたのは興味深い。

  4. [ベトナム] ベトナムのレストランB2Bプラットフォーム「KAMEREO 

    ベトナム発。レストランの仕入れ業務をデジタル化するプラットフォーム。ECのように過去注文履歴を確認しながら、オンラインで数量や時期を指定してオーダーできる。伝票などの処理も自動。メジャーなPOSとの連携も可能。各サプライヤーの取り扱い商品もデータベース化されていて、新しい商品もオンラインで探すことができる。店舗は月額50ドルで利用可能。店舗拡大資金などの借り入れが難しいベトナムで、この取引情報を信用資産として貸し付け事業も行う。また、現在、タイへの進出を決めている。

    蛇足)
    サプライチェーンをマーケットプレース化する取り組みもさまざまな地域で行われているが、東南アジアほどフィットしたエリアはないように思う。

  5. [タイ] 従業員管理アシスタントボット「Ondee.ai 

    従業員の勤怠管理からシフト作為、コミュニケーション、研修、給与計算までをカバーするチャットボットを従業員のインターフェイスにしたプラットフォーム。配達や営業などの外出時の行動や労働状況の把握にも強い、すでにタイで、5000店以上、3万5000従業員が使用。

    蛇足)
    シンプルな業務支援だが、ビジネスは地域に依存するので、東南アジアという強大かつ成長性のある市場にフィットしたモノが生まれるのは興味深い、

  6. [日本] 猫向けウェアラブルデバイス「Catlog 

    留守番するこが多いペットの猫。ペットカメラでは充分にケアが難しいことから、首輪型のIoTデバイスで猫の行動や健康を把握するサービスを展開。代表は動物行動学を学び、プロダクト開発・新規事業開発などを手がける。首輪以外に室温センサーなどを搭載したデバイスなどもある。猫の行動がこまかく記録されるだけでなく、家族みんなでその状況をウォッチすることができる。本体価格は1万4800円で月額380円の「Cat Nerd Plan」/580円の「Cat Addict Plan」の2種類のサービス利用料がある。

    蛇足)
    猫は万国共通、そんなキーワードがふさわしいプレゼンテーションだった。

  7. [タイ] SMBの経営効率化を支援「FLOWACCOUNT.COM 

    freeeのタイ版。請求書を送付でき、売り上げや支払い、経費管理などの情報を集約、各種手続きを簡素化する。アプリからの利用も可能。ターゲットはタイの60万以上のSMB企業で現在は3万社が利用。SMB経営者の教育サポート事業なども展開する。月額165タイバーツからとリーズナブル。

    蛇足)
    こちらも東南アジアのSME支援。確実に成長するであろう領域に、さまざまなプレイヤーが動いている。日本で成長してから海外へ、という思考は捨てた方がいいとつくづく思う。

  8. [日本] 本人確認プラットフォーム「TRUSTDOCK 

    デジタル化が進む商業の世界に不可欠なオンライン本人確認手段(eKYC)を複数提供する。さまざまな事業のeKYCに対応可能。アプリ「eKYC顔認証カメラ」では、身分証撮影から顔認証などを組み合わせて安全かつ自動に処理する仕組みを提供する。多様な法律への対応を行っており、契約数は急成長。日本以外でeKYCを展開する計画。2020年タイへの進出は決定している。

    蛇足)
    KYCは政府方針と法律問題が依存。多様なKYCを提供することで、まずは日本で攻めきることでリーガル問題をクリアする手法を蓄積し、グローバルに行こうとしている点はうまいと思った。

  9. [香港] デジタル認証&KYC「Chekk 

    APIベースで銀行と取引先向けのサービスを提供。文書管理から顧客デューデリジェンスと保守によって不正行為を排除し電子検証を行う。

    蛇足)
    フリーポートのある香港フィンテックシーンから生まれたっぽい仕様。

  10. [日本] bitKey 

    家の鍵などに貼り付けるだけで使える「bitLock」。この鍵を開けられるチケットを発行できる仕組みも提供。高額なスマートロック市場に対して、初期費用無料、月額300円のサービスモデルで参入。34億円の資金調達を達成。半年で市場全体の総数を覆す12万台が売れている。現在、ハウスキーピングや荷物の無人受け取りなどのサービスを開始しすでに15社とパートナーシップ展開中。

    蛇足)
    スマートロックのサービス化はおもしろいと思った。ただ、そもそも消費者向けには振るわないこの分野を日本で、そしてグローバルで火を付けられるか注目したい。

  11. [タイ] スマートドライブ支援「DRVR 

    配達員の運転同行をデータ化し燃料コストや事故低減などに寄与するデータ分析サービス。データポート向けデバイスは35ドル。フィリピン・ミャンマー・香港・タイで4年間運用しており、データ蓄積のアドバンテージ効果が強大化している。

    蛇足)
    ODBCデータポートを使った走行データスタートアップは次々出てきて消えていった。しかし、ここはスマートフォン普及の波に乗ったばかりか、実績がある点が大きい。今後をウォッチしたいところ。

  12. [日本] 不在配送をゼロに「JDC Transporter」 

    宅配業界は数兆円産業ながら生産性が低い。その問題は一般配送の20%を占める不在配送に依存している。この不在配送問題を電力「スマートメーター」によって解決する。電力解析で、在宅予想を行い、そのデータを元に配達ルートを計算し効率化する。これにより不在配送は2%、生産性は20%向上。

    蛇足)
    こうした不在解析は多数の取り組みがあるが、課題が深刻化した現在に攻めに行くというストーリーは適切なのだろう。ただ、この場合はいかにシェアを抑えるか、副次的な問題が浮上しないかが焦点なりそう。

  13. [台湾] ゴミ再利用システム「iTrash Smart City 

    リサイクル可能なゴミを回収して少額の電子マネーを獲得。生活ハブとして広告収入なども展開。台湾ではゴミ収集車が減少し1億円のコスト減を実現。インド・ブラジルでテストを実施。

    蛇足)
    確かにゴミ回収コストは減少するとは思うがイトーヨーカドー系のモールなどに設置されているリサイクル機と何が違うのかよくわからなかった。

  14. [日本] XRデバイス向け文字入力システム「Nodesk 

    Oculas GoやマイクロソフトのHololensのようなXRデバイスを使った文字入力システム。XRヘッドセットとスマートフォンを組み合わせることで、デスクが無いどんな環境でも文字入力をスマートに行うことができる。右左のスライド操作だけで入力できるため、ゲーム機のコントローラーなどでも文字入力ができる。プライバシー保護にも寄与し草。

    蛇足)
    昔東京大学発で「Touch me key」という同種の仕組みがあった。タイは母音が4つなので、XRをからめなくてもフィット試奏。

優勝は・・・

5位 ベトナムのレストランB2Bプラットフォーム「KAMEREO」 
5位 レストランの仕入れ業務支援「FOOD MARKET HUB」
4位 本人確認プラットフォーム「TRUSTDOCK」 
2位 デジタル認証&KYC「Chekk」 
2位 スマートキーソリューション「bitKey」 



優勝 SMBの経営効率化を支援「FLOWACCOUNT.COM」

おめでとうございます!

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・[記事] IVS

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