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「IVS(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)2016 Fall」の目玉、スタートアッププレゼンコンテスト「Launch Pad」が開催された。
このイベントは厳しい審査を経たトップ14社が、業界キーマンらの前で最終プレゼンを行うというもの。過去の優勝者として、電気車いすの「WHILL」や「クラウドワークス」、「あきっぱ」などの注目企業がある。
どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?これら登壇企業14社による6分間のプレゼンテーションのレビューなど、IVS LaunchPadの全てをお伝えしようと思う。
■ IVS Launch Pad 審査委員
青柳直樹 氏
株式会社エウレカ 共同創業者 赤坂優 氏
株式会社ユーグレナ 代表取締役 出雲充 氏
Team♡KATSUYA LOVEコネクター/画家 勝屋久 氏
株式会社ディー・エヌ・エー 顧問 川田尚吾 氏
楽天株式会社 執行役員 北川拓也 氏
スカイランドベンチャーズ株式会社 代表パートナー 木下慶彦 氏
AnyPay株式会社 代表取締役 木村新司 氏
KLab株式会社 代表取締役社長 CEO 真田哲弥 氏
スマートニュース株式会社 代表取締役会長 共同CEO 鈴木健 氏
株式会社フリークアウト 代表取締役CEO 本田謙 氏
グリー株式会社 取締役 副会長 山岸広太郎 氏
株式会社クラウドワークス 代表取締役社長CEO 吉田浩一郎 氏
■ 賞品
AWSとして優勝者に「aws activate $3000」と「本当に叶うAmazonウィッシュリスト」、AGS社から優勝者に「資金調達実務支援サービス」、B DASH Venturesから「B DASH CAMP特別招待」、フリーから「50万円分の利用券」(20年ほど)、ORSO「ドローン始めるならORSOスペシャルパッケージ50万円分」(Phantom4 PRO 18万9000円など)、PayPal賞「売上3000万円相当の決済手数料100万円」。
出場企業&プロジェクト
1. フロードアラート「なりすまし防止サービス」
https://fraudalert.jp
2015年30億盗まれている。570億台のデバイスが接続されるようになり脅威は拡大。ハッカーは進化している。基本的な機能のほか、機械学習で進化する本人らしさを検知する機能を提供する。価格は1リクエスト0.1円。マーケットサイズは現存1000億円、親近で5000億円を創出することが可能。すでに月間5000万ユーザーを持っている。
2. ぷらっとフィールド「unID認証サービス」
http://platfield.com/blog/category/unid_service/unid認証-unid_service/
サービス側から4桁の番号を表示し、スマートフォン側のアプリに入力すると自動で認証が行われるサービス。公開鍵暗号認証が組み込まれているため番号が盗難されても安全。SDKおよびサービス側ですべて組み込まれている。
3. マッチングサービス「M&Aクラウド」
https://macloud.jp
日本の株式会社は247万社。うち62万社が後継者不在で、年間7万社が廃業。廃業した会社の3万が黒字という状況。売却を考えても依頼できる会社がないなどの問題がある。「M&Aクラウド」は匿名の企業価値試算を始め、買収企業の募集およびクロージングまでを支援する。
4. クレジットエンジン、小規模事業者向け融資サービス「LENDY」
https://www.creditengine.jp
日本の小規模事業者320万社。仕入れや税金など細かい資金繰りに悩んでいる状態。ノンバンクと事業者ローンの融資残高は半減以下に落ち込んでいる。このサービスでは事業についての各種情報を入力・連携(レジシステムなど)すると分析して融資可能額を見積もり融資できるようにする仕組み。独自の審査モデルがあり、100万社のデータベースや評価サイト、予約サイト、SNSなどを分析し、信用情報などと掛け合わせる。2017年1月リリース予定。
5. MyDearest、VR書籍「フルダイブノベル」
http://mydearestvr.com
VRxライトノベル。仮想空間で小説を読む。要所要所で物語のシーンが再現され臨場感を高める仕組み。グラフィックはファイナルファンタジーなどでGriot Groove、ソードアート・オンラインのシナリオで著名な三木一馬がアドバイザーに参加。1冊500-700円で「VR界の週刊少年ジャンプになる」。
6. プログラマー採用支援「コードチェック」
https://code-check.io
履歴書や職歴書では能力が判断できない状況。能力を測るテストを実施できるサービス。現場に即した実践的な問題が作成可能。主要な言語やフレームワークに対応。リリース10ヶ月で大手
などが有料でサービスを利用。受験数は7000。面接にかかる時間が30%削減、面接必要人数を50%削減に成功。試験を標準化することで、採用スクリーニング市場の創出を目指す。
7. Combinator リファラル採用を支援「Refcome」
https://refcome.com
いわゆる推薦採用。米国85%がリファラルを制度として導入。社員やOB・OGのネットワークからの紹介からマッチング、採用までを支援する。サイバーエージェントでは月次で160名エントリー。社員数に応じた定額月額利用料が発生。IT系以外に病院や飲食などの業界からの利用もある。新サービスとして社員の愛社精神を評価するサービスを提供する。
8. 産地から食材を直送「ポケットマルシェ」
http://pocket-marche.com
農家漁師から直接買えるオンラインマルシェ。農家は1000万人から192万人にまで減少。「まがってる」「ここがゆがんでる」など規格で落ちてゆく食材。そんなことよりも本質的により良い食材を直接消費者に届けようという考え。手間なく直送できるフローを確立。規格外として捨てられていたお宝食材を格安で手に入れることができる。運営者が出掛けた生産者の思いを伝える食材つき雑誌が継続率90%。現在37地域に拡大。オンラインマルシェはこの雑誌の取り組みの延長線上にある。
9.ブレンド、定期宅配の食材販売 「テイスティーテーブル」
https://tastytable.jp
おいしい料理を作りたいと思っているのに、うまく作れない、食材が揃わない、調味料がないなどの問題を解決するための定期配達キット。週末に食材キットを宅配。3種類から2種類を選択する仕組み。こだわりの食材を使い切りの分量で用意。情報満載のレシピも用意する。1回2人分が6000円。食材宅配マーケットは5000億円。米BlueApronなどが人気。3年で12億規模を目指す。
10. 素人がいきなり農業で活躍できるサービス「LEAP」
http://seak.asia/leap.html
とまと農家の時給が437円。これを倍以上にして、農業従事者を増加させたいという考え。独自の栽培方法と設備を開発し少ない面積の農地を運営可能に、労働時間を50%にする。農業従事したいユーザーは、挑戦したい農場の情報を調べ、ノウハウを確認刷ることが可能。IoTセンサーなどの仕組みも提供する。すでに20万人のユーザーがおり、この仕組みをフランチャイズで国内外で展開する考え。
11. 不動産売却専門サービス「いくら(iQra)チャンネル」
http://iqra-channel.com
売り出し価格と成約価格は異なるが、そういった情報は一般消費者に開示されていない。そこでどれくらいの期間でいくらになったのか、広告などを実施したのかなどの売却したい側にとって必要な情報を提供する。12万の不動産会社(8割が社員数名の地場企業)に情報を登録してもらう必要がある。
12. CONCORE’S、建築過程写真共有サービス「Photoruction」
http://concores.co.jp
工事現場では建築過程の写真を撮影していく。これまでは銀塩写真、最近はデジタルになったものの黒板の情報を掲げながらの撮影は困難。このサービスでは撮影するだけでなく、必要な付随情報なども追加できるなど必要な機能が用意されている。また自動でクラウドに保存、自動でフォルダ分けされるほか、複数の写真を選択して書類を自動で作成するなどの機能もある。月額課金は一人あたり4980円。マーケットは27兆円。3年でこの1%を獲得したい考え。
13. 中古建機をネットで販売する「ALLSTOCKER」
https://allstocker.com/ja
建設機械や重機をネットで越境販売する。マーケットサイズは世界で11兆。新品が高額だが、日本の状態の良い中古建機が求められている。業界にフィットした検索機能を用意。認定鑑定士によるレポートや多数の写真を提供。7か国語に対応し、貿易や物流決済を差ポーチする国際取引対応スタッフも配置していいる。手数料は10%のみ。40カ国から問い合わせがある。
14. スマートフットウェア「Orphe」
http://orphe.shoes
LEDや各種センサー(9軸加速度)、BLEを内蔵した靴。特許を取得している。動きにあわせてスマートフォンから音を鳴らしたり、逆にLEDライティングパターンをカスタマイズすることが可能。センサーからの動きの情報を蓄積・分析することが可能。アーティストとのコラボレーションが活発。2016年9月に4万4800円で販売開始したが初期ロット1000個は完売。当初は世界7000万人のダンス市場、これを一般層やスポーツ層、ヘルスケア領域に拡大。VR空間の移動手段などへの応用も検討中。次のプロダクトとして姿勢が正しくなるハイヒールの開発を進めている。
■ 優勝は
5位は 建築過程写真共有サービス「Photoruction」
4位は 小規模事業者向け融資サービス「LENDY」
3位は 農業イノベーション「LEAP」
2位は 農家漁師から直接購入「ポケットマルシェ」
優勝は「ALLSTOCKER」。
いわゆるIT系サービスの幅を突き破る結果となった。ユーグレナ 出雲 氏の言葉が全てを語っている「農業や食べ物、建機とかITのちからで社会を変えようとしている、こんなに産業が広がるのかと感動しています」。
【関連URL】
・IVS 2016 Fal 記事一覧
http://techwave.jp/tag/IVS2016Fall
LaunchPadの出場者のトレンドは時流を反映しており毎回トレンドが変わるのだが、今回は重機販売から農産物直売までリアル産業、特に地場産業にイノベーションを起こすようなサービスがずらり揃った。(この蛇足は優勝者発表前に執筆)個人的には食材への熱い思いを伝えた「ポケットマルシャ」に胸を打たれた。審査員は投資家勢が中心となっているが「これほど投資したいと思うコンテストは初めて」という声があった。時代の変容が到来しているように思ったっす。