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駆け抜けた平成を振り返るッス
いよいよ2019年5月1日から新元号「令和」がスタートします。30年あまりの続いた平成という時代は、ITを軸とするカルチャーが日本に大きな影響を与えた時代といっても過言ではありません。そこでTechWaveでは、IT業界に30年超の経験がある編集長 maskinこと増田真樹の独断と偏見で、それぞれの時代における社会のトーンや目玉となった製品やサービス、トレンドなどを振りかえっていきたいと思います。
1989年・平成元年 デジタル&IT一般化の入り口
平成という元号が発表された1989年1月8日、筆者はまだ高校生でした。雨が降りしきる中、テレビの画面で「平成」の文字が掲げられていたことを鮮明に覚えています。当時すでにバブル経済崩壊の不安が世の中を占め始めており、昭和という熱狂の時代の名残りを感じながら、なんとも不安な気持ちになったものです。
一方の当時のIT事情は、技術者や新しい物好きのもの→新しいメディアという変遷を期待させる流れが生まれ始めていたことです。当初マイコンを呼ばれていたコンピューターが、パソコンなどと呼ばれるようになり、映像も音響もかなり整備され、その技術的利点を活かしたゲームが台頭した時代です。インターネットはまだなく、逐一電話回線で通信を行っていました(パソコン通信と呼ばれていました。通話料を使って音声でデータを受送信していました)。
old-computers.comより
平成元年を象徴するのはこの富士通製FMタウンズというパソコンです。CD-ROMを搭載し、当時としては大容量のコンテンツを楽しめることを大々的にうたった製品です。価格はなんと33万8000円から。プリンタやディスプレイ、ソフトウェアを揃えると50万円コースの時代です。
一方で、任天堂は携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」をリリースするなど、デジタル系のコンテンツの普及の兆しが見えてくる時代でもありました。
スタートアップというか起業や新規事業の環境はというと、当然ながらゲームなどのコンテンツで遊ぶにはまだまだ量が足りない時代ですから、パソコンユーザーの多くはプログラミングやハードウェアの開発に熱中していました。全国いろいろなところでショップ兼ラボみたいなものがあり、今で言うスタートアップブームの黎明期といっても過言ではないと思うほど熱気にあふれていました。
そんな中で関西大学に学生ベンチャー「ダイヤルキューネットワーク」が立ち上がっています。学生起業家軍団リョーマのリーダー真田哲弥氏を筆頭に、西山裕之氏、そして玉置真理氏を代表とする有料音声情報番組の事業。今のインターネット型の先駆けともいえるオンデマンドタがともポーリング型ともにえる、利用者が欲しい情報を自ら採りに行く事業です。この会社には山下伸一郎氏、杉山全功氏、加藤順彦氏などスタートアップ系起業家のパイオニアともいえる層が参画しています。日本のスタートアップの原点といえる動きが平成元年に立ち上がっていたのです。
【関連URL】
・[公式] FM TOWNS(1989年)