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ニューヨーク在住の日本人が、iPadオリエンテッドのデジタルマガジン「PERISCOPE(パラスコープ)」を創刊した。クリエイティブな活動をしている
フォトグラファーや映画監督など人にフォーカスした新感覚のライフスタイル誌だ。
佐久間氏は、日本の多数のファッションカルチャー誌で優れた記事を書く有名な書き手で「PRISCOPE」の編集長を勤める。
山口氏は、ニューヨークにコンテンポラリーアートの画廊を経営していたが、このプロジェクトに集中すべく閉廊、新たに立ち上げた会社「PERISCOPE.LLC」の代表を勤める。
「日本に伝えたい」
「PERISCOPE」はクリエイティブな活動をする人にフォーカスしたデジタルマガジン。
彼女達の活動は、熱気あふれる人種のるつぼであるニューヨーカーからも「熱い」とか「ヘビーだ」と評される。
写真は「PERISCOPE」創刊0号の記事。戦争ジャーナリスト Tim Hetherington 氏のインタビューだ。彼はこのインタビューに応え、いくつかの写真を提供したあとリビアに行き、その地で殉職した。
「お金が儲けられるとか、しがらみは別として、その人が、何を考え、どのように創造していくかに興味あるんです。
どうしてそんな創造活動を続けるんだろう。そんな、クリエイターとしての人の資質そのものを取り上げるプラットフォームになりたいと思いPERISCOPEを創刊しました」(佐久間氏)
PERISCOPEの構想は、iPadが発売される2010年5月よりも前から、紙以外の媒体で画期的なことをやるという漠然としたイメージで議論を重ねていた。
「当時、日本のエスクワイア誌が廃刊になるなど、雑誌等の廃刊が多発していたんです。紙の媒体で活動してきた側として、いろいろとやりにくい状況になってきた」(佐久間 氏)
「そこで、自由にできるようなことをしたいと思ったんですよね。音楽がデジタルになり、様々な革命が起きたように、雑誌でも同じことができるんじゃないかと感じたんです」(山口 氏)
そこにiPadの登場で、紙ではなく画面でみることへの期待がふくらむものの、当時はまだ、デジタルコンテンツ制作のツールもプラットフォームも少なく、何かをやろうとすると業者に高額な予算外注するしかなかった。「それだと、やりたいことを考える私達との距離感があっていいものができない。効率よく、かつ、一緒に刺激的な創造活動をしていくようなチームを実現したかった。紙のコンテンツを流し込むだけのデジタルコンテンツではなく、iPadの可能性を見すえた上で音楽や映像、インタラクションを交ぜつつ、自由な表現ができるようにしたかったんです」(佐久間 氏)
二人の活動に共感したのが、アートディレクター/SIMONE INC. 代表 ムラカミカイエ 氏だ。ファッション業界で活動する著名な彼は、当時デジタルにおけるクリエイティブの可能性などの相談を随時受けていて、デジタルコンテンツの新しい可能性についてアイディアを山のように持っていたのだ。
「日本に戻るたびブレストを繰り返していましたが、毎回、楽しくて仕方がありませんでした」(山口 氏)
「文章だけでしか伝えられなかったことが、いろいろな形で実現できてしまう。自由な表現の場として、取材される側も楽しみながら「こういう表現できないかな?」と盛り上がったりするんです」(佐久間 氏)
PERISCOPEは一見すると紙の雑誌のような美しいレイアウトだったりするのだが、ポートレート写真がタイムラスプ撮影のアニメになっていたり、地図がインタラクティブだったりと、雑誌の視読感のままデジタルによる新体験ができるのがとても斬新だ。
中には、参加型のコンテンツがあったり、いきなり音楽が流れる実験広告のようなページもある。何より表紙のインパクトは凄い。これは是非iPad版を入手して体験してもらうのがベストだと思う。
なぜ、今、「PERISCOPE」を英語と日本語で公開したのだろうか。Tim氏の殉職、2011年3月11日の大震災。紙の雑誌の衰退。デジタルクリエイティブの普及。沢山の要素が渦まく中、2人は何を伝えていけばいいのかを考えさせられたという。
「アートで生きていくとか、自己表現に生きていくということ難しくなりつつあると思います。金銭的に希望がない、とか。
ただ、お金が稼げる稼げないとは別の次元でものを作っている人をもっと見せていってあげたいと思ったんです。
日本では、優秀な学生達が、なるべく安定な職業を求めたりする傾向が全体としてある。
ただ、オルタナティブな生き方ってあると思うんですよ。
けれども、実際は、形式だけが一人歩きしているだけだったり。
生き方にはオプションがあるということをもっと認知すべきだと思うんです
日本は終身雇用という社会全体の流れがあって、じゃあ、私みたいな組織にあわない人間はどうすればいいの? ということになってしまう。
そういうことに対する社会の受け皿がもっとあってもいいと思うんです。
そんな考え方を、すごく遠まわしに伝えているのが「PERISCOPE」の本質だったりします。
だから、ここで紹介するアーティストは既存のメディアでは紹介しづらい人が多いかもしれない。
だから、広告とかに縛られないで、私たちが本当にいいと思う人達のやっていることを紹介できるプラットフォームを作りたいと思っています」(佐久間 氏)
4月26日 東京代官山でトークセッションイベント開催
PERISCOPE open tal at TSUTAYA Daikanyama 「PERISCOPE」トークセッション @蔦屋書店
https://www.facebook.com/events/365293103591723/
(追記)★内容はUstreamで配信するそうですニューヨークから来日し、スーツケースをころがしながらイベントの準備をする2人
【関連URL】
・PERISCOPE | iTunes App Store
https://itunes.apple.com/jp/app/periscope-jp-issue-0/id638837194?mt=8
・PERISCOPE公式サイト
http://wearetheperiscope.com/jp/
「0号は実験的で、まだ出し切ってない」という二人。日本や世界の読者のフィードバックを受けつつ、半年くらいのタームで発刊してゆき、ゆくゆくは日本のことも世界に伝えるような役目を果たしていきたいとのこと。デジタルとはいえ「情報誌ではなく、ずっと読んでいてもらいたい残していきたいものになればと思っている」とのことで、そういった意味でデジタルとは異なるモノとの連携も考えられるとのこと。
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップ・マーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。
maskin(at)metamix.com | 書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちら・Twitter @maskin・Facebook・http://www.linkedin.com/in/maskin