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子供の創造性が華開くとき 「Spaaark!!(スパーク)」さいたまスーパーアリーナで開催中

夏休みシーズンになり、全国至るところでIT技術を活用した取り組みを目にするようになりました。簡単なプログラミンやロボット製作講座であったり、子供の絵を取り込んでスクリーンの中で遊ばせるといったものが多数を占めますが、埼玉県さいたま市で開催されている「Spaaark!!(スパーク)」はそれらとは一線を画する内容でした。

何時間も遊ぶ子供が続出

最大のポイントは、幅広い年齢層の子供たちが、非常に長い時間一つのアトラクションを繰り返し楽しんでいるところです。画面に映った自分の映像に重ねて現れる氷を壊す・虫を退治する、一見地味なデジタルアトラクションであっても、なぜか繰り返し汗だくになって遊び続ける子供達が大勢いるのです。

実は一般的なデジタルアトラクションでは、こうした姿が多く観られるわけではありません。学び方や遊び方について企画者の思う方法が用意されていることがほとんどだからです。自分が描いた絵を取り込めたり、素晴らしい映像や大胆な演出に圧倒される姿はあれど、それはあくまで舞台演出であって、子供達が自由に入り込める空間ではないケースが多いのです。

「Spaaark!!(スパーク)」では、親御さんが「もう次にいきましょう」と声をかけるも、画面に映る自身の姿を見てついついデジタルな遊びに参加してしまう。子供達は、画面の中でどんどん自分の遊び方を見出して、全身を使って遊んでいく。そんなサイクルが「Spaaark!!(スパーク)」には組み込まれているのです。

創造性が引き出される装置

「Spaaark!!(スパーク)」を仕掛ける“しくみデザイン” 代表取締役社長 中村俊介 氏は「遊びのストーリーを押しつけるのではなく、子供達が自らの創造性を発揮できるような環境を用意する、それが「Spaaark!!(スパーク)」のアトラクションに共通するテーマです」と語ります。

しくみデザイン 代表取締役社長 中村俊介 氏

「Spaaark!!(スパーク)」のアトラクションでは、まず始めにカメラの映像の中に現れる自分の姿で全身を使って遊ぶコンテンツが並びますが、これはしくみデザインが米インテルの世界規模のコンテスト等で優勝(インテルの世界コンテストで日本発の「KAGURA」がグランプリという快挙)したデジタルデジタル楽器「KAGURA」の開発で得たノウハウが詰め込まれています。

KAGURAで遊ぶ小学生、誰も教えてないのに音楽演奏を始めます

「KAGURA」は、カメラに写った自分の手で、映像の中に配置されている楽器を演奏するというものです。自由に楽器を選び、配置し、身振り手振りで演奏するというものです。

子供達から親御さんまでが「KAGURA」をプレイする姿を見て気がつくのは、それぞれが得意の音楽ジャンルと演奏スタイルを持ち、それぞれの芸術性を持っているということで。すべての人が楽器を持つスキルをもっているわけではないわけですが「KAGURA」を通すことで演奏者に変わります。そして驚くことに、聴衆を集めるような演奏をする人も登場したりするんです。

これを、クリエイティビティ(創造性)と言わず何というのでしょうか。「Spaaark!!(スパーク)」では、そうした瞬間を多数目にすることになります。絵も描けず、プログラミングもできず、楽器も弾けない人も創造性を発揮し、創造のプロセスを体感することができるのです。

生み出す喜びを身体で感じる

「Spaaark!!(スパーク)」の前半は身体を使って参加するアトラクションが大半でしたが、後半部分になってくるとタブレットを使ったものが増えてきます。

カツラ(?)をデザインしてスクリーン上の自分の顔にかぶせるツールでは、ある子供達はいつの間にか役者みたいにそれぞれの役割を演じ始めていました。

自分たちが乗る宇宙船をデザインして複数の人とプレイするゲームはかなりの人気ぶりですが、最も長い時間はまる人が多かったのは次の「とばせるクリエイティブ」でした。

タブレットでデザインしたオブジェクトを巨大スクリーンに投げて投影するというシンプルなものなのですが、いつもはゲームしかしない子供達がどんどん作品を作り出す上に、それが大画面に表示されるということで親御さんが熱心に見入る姿が印象的でした。

これらのオブジェクトに写真や音を組み込むことができるほか、それぞれオブジェクトが異なる動きをするなど観ていて飽きないばかりか、スクリーン前に飛び出して触ることもできるというプラスアルファも用意されています。

このアトラクションで興味深かったのは「作る」→「見る」→「大画面で触る」を超えて、ツールの使い方をハックしたり、他の人が投影したオブジェクトに合わせて、新たなオブジェクトをデザインするといった新たなコミュニケーションまでもが生まれていた点です。

ここで遊ぶ子供達はこれらの体験を通じ、その仕組みや可能性を理解し、また新たな創造性を発揮させている。そんなことを感じさせられました。

自由から理解するロジック

多くのデジタルクリエイションを体感できる「Spaaark!!(スパーク)」ですが、実は「プログラミング学習」だとか「コンピュータの使い方」のような要素が全くありません。

唯一「プログラミング」という言葉が使われたアトラクション&ワークショップがあります。その核にあるのがビジュアルプログラミングツール「Springin(スプリンギン)」です。

これはiPadの用のアプリで、プログラミングの知識無しに指先だけでプログラミングができるというツールです。

一般的なプログラミング学習ツールのように「プログラミング」ありきで、それをビジュアライズしたものではなく、目に見えるものにルールや関係を組み込んでいくことでゲームなどを開発できるため、前提知識無く誰もがすぐに創造性を発揮できるツールです。

アトラクション内では、このツールで作られたゲームを遊ぶだけなのですが、別途有料ワークショップが用意されています。2時間という長いプログラムですが、会期中の枠はすべて完売という人気ぶり。

先生が壇上で教えるのは20分程度。子供達は開発に集中し、最後の発表時間はすべての子供達がそれぞれのアイディアで生み出した作品(もちろん動きます)を披露するんです。

驚くのは「教えたルール」を誰もが乗り越える点。何らかのアイディア、何らかの工夫で表現をするということです。「Springin(スプリンギン)」自体はプログラミング学習ツールという位置づけではありませんが、実は使っているうちにプログラミング的な発想を理解していく効果があるようです。

このように「Spaaark!!(スパーク)」では全身を使った遊びから、「生み出す」ということを知ることができる仕掛けで満ちあふれています。おすすめしたいのは繰り返し参加すること。1回目より2回目、子供達はもちろん大人も自分のクリエイティビティにおける新たな発見ができる場になっているように思います。

イベント名:
「Spaaark!!(スパーク)」 ぼくもわたしもクリエイター

概要:
Spaaark!! には、遊んでるだけで『創造性』が身につく「しくみ」がいっぱい!
子どもの新たな能力を引き出す、未来のエデュテインメント施設です。

涼しい室内で、論理的に考えながら新しいものを生み出して、しかも体も動かすことができる。
もしかしたらこれは、お父さんの出番かもしれません。

創造性は、自ら体験して初めて身につきます。やらされるのではなく、楽しんでやるからこそ本物になる。
ここにはそのキッカケがたくさん詰まっています。来る度に子どもの違った才能に気づくことでしょう。

料金:
3才から中学生まで:800円
一般(高校生上):500円
親子ペア:1200円

営業時間:
10時から17時

会期:
2017年7月21日から8月20日まで

会場:
さいたまスーパーアリーナ TOIRO

アクセス:
JR京浜東北線・上野東京ライン
「さいたま新都心」駅から徒歩4分

【関連URL】
・Spaaark!!(スパーク) ぼくもわたしもクリエイター
http://www.spaaark.me

蛇足:僕はこう思ったッス
 小学生低学年の娘を連れて参戦。なんと3時間も遊びまくった上に、目をキラキラさせながら「もっと遊ぶ」という始末。こういったデジタルイベントは、親としては「あれ、だめ!」とか「こうして!」とかあれこれ支持をするか、単にぼーっときれいな映像を見ていて飽きてしまうだけかのいずれかのパターンが多いのだけど、スパークの場合は、じわじわと作る方に夢中になってくる感覚がある。何というか、コンテンツにはまるのではなく、作れる自分にはまるという感覚。しくみデザイン中村さんが言ってる「創造性は、自ら体験して初めて身につきます。やらされるのではなく、楽しんでやるからこそ本物になる」ということを実感。この言葉の深さを理解できた時、結構感動しました。ちょっと参加しただけではわからないかもしれないけど、創造性を開花させたい子供達や大人達に体験してもらいたいと思ったッス。

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