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日本人唯一の米国観光・ホスピタリテイ経営学部学科経営経験者である、セントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部准教授 原忠之 氏にご寄稿頂きました。同氏は、MOOC(Massive Open Online Course) 方式というオンライン授業を無料で大量発信したことで世界的に知られています(編集部)。
コロナウイルスの世界的な拡散が徐々に広がり、当地米国のCDCも、米国上陸は阻止できないという見方になってきています。より深刻な状況の日本では、集団や雑踏を避けるべし、学会、学級や大学キャンパスや授業の閉鎖止む無し的な議論が出て来ているようです。
でも、日本の場合はインターネットやデータ配信速度がここまで進歩しているのに、足利学校時代から千年改訂されていない、「毎週何曜日何時に同じ場所に全員が集まれば、先生が講義してあげる」という高等教育知識移転ビジネスモデルに固執しているから、こういう非常時に対応が出来なくなるという点に気づき、もっと高い見地から教育手法を俯瞰し、見直す時期です。
15-20年先行する米国大学
当方はオンライン教育を2003年から、現在のストリーミングビデオを使って、データ解析ソフトはリモートアプ方式で米国大学院生にアクセスさせる方式の授業を現在(2020年春学期)も続けています。
観光・ホテルの実際のデータを統計理論教えてから統計解析ソフト(SPSS)で分析し、それを解釈して上司・株主や関係者に経営戦略を提言するという訓練です。
学生は、当地(フロリダ州オーランド)から遠い場所の学生も多くいますし、欧州の米軍基地や海外から履修している学生も居ます。また定時に教室には来れないが、高等教育学位を習得したいという社会人学生も当地のデイズニーやユニバーサル、各ホテル会社から履修しています。
これだと、コロナウイルス、ジカウイルス、天変地異、テロでも全く平常通り授業が行え、試験も100%オンラインでの課題提出とテストなので、全く問題ないのです。誰が陽性になっても全く問題なく、授業履修可能。強いてあげれば、ハリケーン直撃で停電地域が出た時だけは提出期限を延ばしたのが過去15年で2回程度。
伝統的知識移転モデルと教育機会均等の問題
現在の高等教育知識移転モデルは足利学校以来の「勉強したかったら毎週何曜日何時にxxキャンパスの何号室に出てくれば教えてあげよう」というモデルで、その構造的欠陥に気づく人も日本では少数派でしょう。
それらキャンパスは東京、京都、大阪の交通の便が良いと言われる場所。しかし、例えば離島(例:対馬、利尻島、沖縄八重山諸島)や中山間地、各都道府県の県庁所在地以外でホテル・旅館を経営する人達に高等教育の均等な機会はあるか、或いは扶養家族を抱えた女性のキャリアアップ願望に堪える高等教育インフラがあるのかと考えると、実は日本の高等教育インフラはとても遅れていることが、米国大学教育インフラを享受する立場からするとよく俯瞰出来ます。
幾つかの日本の大学でオンライン系教育インフラを実際に15年程度客員教授として授業教えて自ら体験しましたが、対米国大学比で15-20年は遅れています。
人口が増えない経営環境でGDP上げるには生産性上昇しかなく、それを個々人の給与増加に繋げるには、各人の教育投資が必須ですが、その教育投資機会が、日本国内教育インフラの貧弱さで均等に存在しない事を多くの皆様が共通認識を持つには、逆説的ですが、今回のコロナウイルスの件はよい機会かもしれません。(了)