- 「ソラコム」がスイングバイIPOを実現、東証グロース市場上場承認 - 2024-02-22
- (更新)結果速報 LAUNCHPAD SEED#IVS2023 #IVS #IVS @IVS_Official - 2023-03-09
- 「始動 Next Innovator 2022」締め切りは9月5日(月)正午ー経産省・JETRO主催のイノベーター育成プログラム #始動2022 - 2022-09-01
デジタルガレージの共同創業者であり、現在MITメディアラボ所長を務める伊藤穰一氏がホストとなり、最先端技術を紹介するイベント「THE NEW CONTEXT CONFERENCE」(NCC)が今年も東京で2017年7月25日から26日にかけて開催されます。
今回で15回目となるNCCのテーマは2つあり、1日目のテーマとして「ITとバイオテクノロジーの融合が導く未来」が、2日目のテーマには「ブロックチェーンの真価と進化」が採択されています。
ブロックチェーンについてはすでにデジタルガレージはブロックチェーンの本格的なコースを展開(ブロックチェーン最新技術を学べる15セッション全ての動画と資料が公開、DG Lab)するなど日本での存在感が出ていますが、バイオテクノロジーがトピックに選ばれることについては意外と感じられる人も多いかもしれません。
そもそも、デジタルガレージ、カカクコム、クレディセゾンの3社が共同で展開する研究開発組織「DG Lab」は、重点分野として「ブロックチェーン」「VR/AR」 「人工知能」「セキュリティ」「バイオテクノロジー」の5つを掲げていました。その上での今回の2テーマ採択に至ったという経緯があります。
それではなぜ今バイオテクノロジーなのでしょうか? 「バイオテクノロジーこそ、ITテクノロジーの力を発揮できる領域」とDG Lab マネージャー Biotech分野担当 宇佐美克明 氏は語ります。
バイオテクノロジーの先にある可能性
「NCCは2005年から開催していますが、2011年からは年2回、サンフランシスコと東京で開催しています。ちょうど昨年の「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2016 SAN FRANCISCO」では「Social Impact of Blockchain(ブロックチェーンの社会的インパクト)」と「Collaboration with Microbes(微生物との共生)」という2つのテーマを扱っていたんです。
「Collaboration with Microbes(微生物との共生)」では、バイオテクノロジーのこの数年における盛り上がりを受け、飲食物への応用や素材、アートに至るまでさまざまな事業者や研究者に登壇していただきました。
例えば、良質な菌を皮膚に保持するバイオテクノロジーベースのスキンケア商品を開発したAOBiome社や、伊藤穰一が所長を務めるMITメディアラボからはバイオをアートで表現する研究、MITメディアラボ副所長の石井祐教授が主導するタンジブルインターフェイスのグループから納豆菌を活用することで快適に着用できる衣服なども飛び出しています。
日本からは糸をひかない納豆菌(LST-1)を発見した茨城の納豆メーカー「朝一番」の小河原一哲氏、データ分析により良質な酒づくりを実現した「旭酒造」の四代目社長である桜井一宏氏、ミドリムシの栽培と活用で世界的脚光を浴びる「ユーグレナ」の出雲充氏らが登壇し、微生物と人間がどうやって共生していくかとテーマに話し合われました。
微生物は身体にとっても住んでいる環境にとって重要ですが、まだそれらの数%しか解明されていない状況です。これらの解明は急ピッチで進んでいるわけで、そういう文脈からバイオテクノロジーはすごい可能性を秘めた分野だという論調に終始しています」(DG Lab マネージャー Biotech分野担当 宇佐美克明 氏)。
バイオこそITの進化を発揮できる領域
「これらのバイオテクノロジー活用事例全体に共通するのは、ITの高度化と普及が関係しているということです。近年、コンピュータの処理能力が劇的に向上し、IoT系のチップやパーツ、各種センサー等が幅広く普及しました。これにより、これまで研究者の直感に頼らざるを得なかった部分が明かになり、効率化が図れ、かつ実験そのものを自動化するソリューシューションを提供する企業も現れるようになりました。
アメリカではDIYバイオが流行し、研究機材を設置した「バイオインキュベーションセンター」(編集部注 DMM.make AKIBAのバイオ版みたいなものか)が各地に設立されています。
私が参加したサンフランシスコで開催された施設主催のDEMODAYでは、15社のプレゼンテーションになんと400人を超えるVCが殺到したのには驚きました。それもそのはずで、現在ヒトゲノムの全解析には1人あたり1000ドルほどの料金がかかると言われていますが、2020年には100ドルにまで下がると言われています。この数年のバイオテクノロジーの進歩にはITのパワーが欠かせませんでしたし、これからも関係の密度が上がり続けると考えられるというわけです。
IT活用と連携という意味では、分析や解析以外にも、合成生物学的なアプローチの企業が注目を浴びています。実在するモノの構造体をデータベース化し、それを遺伝子ベースで組み合わせて調味料や化粧品などを生み出すような流れです。今回のイベントでも登壇するGinkgo Bioworks社がまさにそれで創業から累計1億5400万ドルを調達しています。
一方で日本のバイオテクノロジー産業はまだ夜明け前です。日本には世界で評価される研究者が数多くいますが、彼らが起業するに至るモチベーションを向上させる環境にはなっていないという現状があります。また、大学の研究機関などで生まれた知財を事業へと移管する制度が整っていないという要因もあります。
しかしながら、バイオテクノロジーの領域にはメディカルやヘルスケアを巻き込んだ莫大なマーケットがあるはずですです。NCC DAY1「ITとバイオテクノロジーの融合が導く未来」では新しい気づきはもちろん、コラボレーションのための人脈作りができるようなイベントにしたいと考えています」(DG Lab マネージャー Biotech分野担当 宇佐美克明 氏)
「Bio Is The New Digital」
DAY1の7/25「ITとバイオテクノロジーの融合が導く未来」は、世界の第一線で活躍する研究者、起業家、有識者などを予定しているとのことです(日米同時通訳を用意)。
基調講演はMITメディアラボ所長 伊藤穰一 氏の「Bio Is The New Digital(仮)」。人工知能などのITとバイオテクノロジーの融合で起きる新しいイノベーションの背景と現状、未来についって語ります。
見所としては、まずITとバイオテクノロジーそのものといえる「システムバイオロジー」(北野宏明氏)。もう一つはDIYバイオやバイオインキュベーションセンターの登場などによる「バイオエコシステム」(MissionBay Capital・IndieBio・QB3@953)が挙げられます(宇佐美氏談)。その上で、合成生物学のアプローチといったホットトピックを見ることでネットワーキングにも華が咲くでしょう。
・ソニーコンピュータサイエンス研究所 所長でシステムズバイオロジーの第一人者である北野宏明氏
・次世代型製薬会社「PureTech Health」のバロット・チャウリーラ氏
・米国ベイエリアでバイオインキュベーションセンター「QB3@953」を運営するダグラス・クロフォード氏
・バイオテクノロジー分野における世界最大級のスタートアップアクセラレーター「IndieBio」のロン・シゲタ氏
・合成生物学のアプローチであらゆるものをデザインすることを目指す「Ginkgo Bioworks」のパトリック ボイル氏ほか
チケット早期割引は6月23日まで、学生価格は破格の1/10
この記事では、NCCにおけるバイオテクノロジーをテーマとしたDAY1「ITとバイオテクノロジーの融合が導く未来」について主に取り上げました。DAY2はブックチェーンをテーマとした「ブロックチェーンの真価と進化」。このカンファレンスではDAY1・DAY2それぞれのチケットもしくは両日出入りできるチケットが提供されています。2017年6月23日まで約30%OFFとなる早期割引が適用されるとのことなのでお早めに。
DAY1「ITとバイオテクノロジーの融合が導く未来」については、IT経営者や投資家はもちろん、IT技術者やバイオ研究者など学生にも来場してもらいたいという考えがあるとのことです。学生は1/10の価格になっています。
チケット販売ページ
http://ncc2017.peatix.com
【関連URL】
・THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYO
http://ncc.garage.co.jp/ja/
・チケット販売ページ
http://ncc2017.peatix.com
・THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYOが7/25-26に開催 テーマは「バイオテクノロジー」と「ブロックチェーン」 http://www.garage.co.jp/ja/pr/2017/05/20170531-NCCtokyo.html