効率化からコンテクストへ、いまネット広告に求められる要素とは?【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.5】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら

今回はアサツー ディ・ケイの沼田洋一氏が登場。テクノロジーによる行き過ぎた効率化によって生じた課題に、業界はどう向き合うべきなのかなどについて聞きました。

株式会社アサツー ディ・ケイ 執行役員 メディア&データインサイトセクター統括代理 沼田 洋一氏

ーー実感している業界の変化や課題について聞かせてください。

広告業界はテクノロジーで大きく変化してきました。ネット広告において最近もっとも課題と感じているのは、広告そのものへの信頼性が揺らいできていることです。ビューアビリティ、アドフラウド、広告が掲出されている場所は適切なのかなど、テクノロジーが進化してきたからこそ、これらの課題が生じてきているのだと思います。

振り返ってみると、2008年ごろから最近まで、ネット広告のテクノロジーは、「枠から人へ」「オーディエンスターゲティング」などを中心に発達してきました。それが進みすぎたことで、広告を見ているのが人間ではなく機械であったり、掲出先が不明確なまま表示されてしまったりといった問題が生じました。つまり「広告の先に誰がいるのか?」「その広告を誰に見せているのか?」 「何を見せようとしているのか?」といったことが置き去りになってしまったのです。いまは、そこからの揺り戻しの時期と感じています。

ーーそうした課題に対処するのに必要なことは何でしょうか?

やはり、どのようなコンテクストで広告を見せるのかという基本に立ち返ることです。これは、私がもともと雑誌を担当していたからより強く感じるのかもしれません。雑誌は、コンテクストが非常にはっきりしており、それに基づいて読者とのエンゲージメントも構築しやすいメディアです。広告においても、ラグジュアリーブランドであれば、それにふさわしい読者のいる雑誌を選び、さらに掲載面を選んで広告を掲出するのが当たり前です。しかし、前述の「オーディエンスターゲティング」を雑誌に置き換えてみると、見ている人が同じであれば、どの雑誌のどの面に出ていようが関係ない、というおかしな話になってしまうわけです。

そのことに多くの人が気付き、インターネットのメディア・広告においても、コンテクストとエンゲージメントの重要性が再認識されてきています。また、ラジオも雑誌同様にリスナーとのエンゲージメントが高いメディアです。そこで我々は、雑誌とラジオというコンテクストがはっきりした媒体をテレビとは別にし、「コンテクストプランニング本部」として今期からデジタルの担当部門と近いところに置くようにしました。この部門は企業のオウンドメディアもサポートしますので、いかに効率よく広告を届けるかからコンテクスト重視へ、組織上も変化させたのです。

ーー常に身近にあるスマートフォンにおけるコミュニケーションの重要度も高まっているので、コンテクストを一層意識しなければなりませんね。

その通りです。スマートフォンの場合、情報に接触しやすくなる一方で、当然ながらPCと比べると広告面は小さく、少ないわけです。そこでどう情報を届けるのかは、これまで以上に工夫が必要です。コンテクストを無視して一方的な情報ばかり送っていては、エンゲージメントは築けません。これからは、デジタルでどう効率化できるかばかりではなく、デジタルでいかに人の気持ちに寄り添うのかを考える必要があります。これは、広告主、エージェンシーのみならず、メディアの協力も必要です。皆で、スマートフォンが中心になった時代のメディアのあり方を考え、共に育てていきたいですね。

ーーアドテックにも長く関わっていますが、振り返ってみていかがですか。

2009年にアドテックがスタートした時、ツイッターのタイムラインがセッション内容のツイートで埋まるという経験をしました。業界の枠を超えてディスカッションできる場ができたことのインパクトもそうですが、実況中継のようにイベント情報を外部発信する時代になったのかと驚いたことをよくおぼえています。そのころと比べると、日本においても、海外のように広告会社、事業会社、メディア、さらにはソリューションと、それぞれの業界をクロスオーバーして働く人材が増えてきたと感じています。スタート当初は、各業界の人が「業界の枠を超えて話す」でしたが、いまは「業界をクロスオーバーしてきた人が話す」ようになりました。さらに、広告コミュニケーションをサポートするサードパーティーの参加も増え、最近はスタートアップ企業も内包しています。これだけ幅広い人たち話が聞けてネットワーキングできるというのが、アドテックに参加する大きな魅力だと思います。

ーーありがとうございます。

沼田洋一
株式会社アサツー ディ・ケイ
執行役員 メディア&データインサイトセクター統括代理

メディア&データインサイト領域の事業開発を担当。ADKでは雑誌のバイイングからスタートするが、メディアプランニング、研究開発と興味と業務の拡がりに応じて、新規部署を立ち上げる社内スタートアップ。メディアプランニングシステムの開発や独自の生活者調査手法の開発など「仕組み」作りが得意。プランニング領域では、ドッグフードから選挙まで幅広いカテゴリーに対応し、FMCGではマスメディアからデジタルメディアまで統合したプランニングを担当。スタートアップ熱が高じて、プランニング経験と独自のデータベースを用いて広告主企業のコミュニケーション効率の改善をサポートする子会社、株式会社アクシバルを設立し、代表を務める。
編著書に『Media Planning Navigation』(2014 宣伝会議)

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日(火)-18日(水)
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

中澤 圭介

中澤 圭介

iMedia Chairman / Content Manager at Comexposium Japan
1998年西南学院大学卒業後、広告界の専門誌を発行する出版社に入社。セールスプロモーションの専門誌の編集長として長く携わり、取材・編集を通じて企業のデジタルプロモーションの変遷を追ってきた。最近はオムニチャネル、CRM、ECといった分野を中心に情報収集・発信。2016年1月 コムエクスポジアム・ジャパン株式会社入社、iMedia Chairman就任。
中澤 圭介

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