もはやカスタマージャーニーを描けないマーケターは時代に取り残される【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.7】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら

今回は、ad:tech tokyoで2年連続司会を務めた、セールスフォース・ドットコム加藤希尊氏が登場。マーケティング活動で成果を出している企業にとって、必須となっていることについて聞きました。

株式会社セールスフォース・ドットコム
マーケティング ディレクター
加藤 希尊氏


――ここ数年で感じている業界の変化について聞かせてください。

「カスタマージャーニー」の重要性がさらに高まり、そこをしっかり描いて具体的な成果を出している企業が増えてきていると感じています。カスタマージャーニーとは、顧客の一連のブランド体験を旅に例えた考え方で、カスタマージャーニーマップとは、顧客の旅を「顧客行動」「ブランド接点」「感情変化」などの観点で可視化した資料です。この場合の成果というのは、キャンペーンの新規顧客獲得コストを下げる、コンバージョンレートを上げる、売上に貢献するなど、それぞれの企業が設定したKPIの達成のことです。

――そうした「成果」を出している企業はどのようなことをしているのでしょう?

特別なことではなく、当たり前のことをしっかりと行っているにすぎません。つまり、「カスタマージャーニー」をしっかり描いているということです。自社の顧客像をしっかり設定したうえで、スタートからゴールまでのジャーニーの仮説を描き、自社がどういう顧客接点を持っているのかを洗い出したうえで、足りないものを補っていく。KPIについても、例えば仮会員から正規会員になってもらうとか、そこからさらにロイヤルカスタマーになっていくための設定もきちんとしてあります。それらを着実に描いて、それに沿って各種施策を行っているところは間違いなく成果が出ています。

――その「当たり前」ができる企業とできない企業の違いはどこにあるのでしょうか?

一つは適切なプロセスを経ているかどうかです。うまくいっている企業は、まず顧客のペルソナをしっかり定義してから、ジャーニーを設計します。そのうえで、どういうコンテンツやメッセージを届けるといいのかを考え・分析し、必要なテクノロジーを補って施策を実行しています。

もう一つはやはり組織の姿勢ではないでしょうか。企業として、マーケターをバックアップできる体制が整っているか、経営に近いところからの承認を得たうえで動いているか、という点が大きいと実感しています。そこができていると、例えばDMPの設計をするうえで外部企業と連携する、といったこともスムーズに行きます。

――カスタマージャーニーという言葉は数年前から再度クローズアップされてきました。そのころと最近とで、捉え方などは変わってきましたか?

言葉自体は十数年前からありましたが、再度注目されるようになったのは、デジタルマーケティングが発達して、さまざまなことができるようになったことが背景にあります。ただ、数年前はどのようにマップを描けばいいのか、といったスキルが伴っていませんでした。そこで我々は、「カスタマージャーニーマップ制作キット」を使ったワークショップを行うなどして、マーケターのスキルアップのサポートを重ねてきました。いまは、マップが絵に書いた餅にならないようなソリューションもそろってきましたので、一層マップを描くスキルが求められています。

これは言い過ぎではなく、複雑化した顧客接点を理解した上でカスタマージャーニーマップが描けないマーケターは時代遅れになってしまいます。ここが描けるかどうかでマーケティングのレベルが大きく変わってきますから、マーケターにとっての必須のスキルと言えます。テクノロジーが進化したことで、どのツールを使うのか、どのデータベースを使うのかなど、マーケティングに活用できる顧客とつながる手段はこれからも高度になっています。だからこそ、自社の顧客を理解し、彼らが何を求めているのか、どのタイミングでコンタクトすればいいのかなどを理解する、ベーシックなカスタマージャーニーの把握が求められるのです。

――アドテックのセッションを聞く上でも、そういう視点が大切ですね。

そうですね。アドテックにはさまざまなテーマのセッションがありますから、セッションを聞く際に、自社で描いたマップを念頭に置いて「この話は、我々のマップの中ではこの部分で役立つのではないか」と考えながら聞くと、得られるものが違うと思います。

また、セッションを聞くだけという「座学スタイル」をブレークスルーした方がいいですね。アドテックには様々な分野の登壇者がいますから、話を聞くだけ、名刺交換だけではなく、どんどん質問するなど積極的に関係性を築いていくことです。これについては、ネットワーキングしやすくなるよう、セッション登壇者や運営側の工夫も必要ですね。

――ありがとうございました。

加藤 希尊
株式会社セールスフォース・ドットコム
マーケティング ディレクター

広告代理店と広告主、両方の経験を持つプロフェッショナルマーケター。外資系広告代理店 (WPPグループ) に12年勤務し、化粧品やIT など、14 業種において100以上のマーケティング施策を展開。2012年よりセールスフォース・ドットコムに参画し、AIやクラウドを活用したOne to Oneカスタマージャーニーの実現を啓蒙する。2014年に100 社のブランドを対象としたマーケターのネットワークJAPAN CMO CLUBを立ち上げ、組織のCMOを務める。著書に『The Customer Journey「選ばれるブランドになる」』がある。

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日(火)-18日(水)
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

中澤 圭介

中澤 圭介

iMedia Chairman / Content Manager at Comexposium Japan
1998年西南学院大学卒業後、広告界の専門誌を発行する出版社に入社。セールスプロモーションの専門誌の編集長として長く携わり、取材・編集を通じて企業のデジタルプロモーションの変遷を追ってきた。最近はオムニチャネル、CRM、ECといった分野を中心に情報収集・発信。2016年1月 コムエクスポジアム・ジャパン株式会社入社、iMedia Chairman就任。
中澤 圭介

最新情報をお届け

こっちはいろいろ

PAGE TOP