本当にユーザーに寄り添っているのか? ネット広告の課題に向き合い“カルチャー”をつくるべき【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.9】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら

今回は、OPEN8の高松雄康さんの登場です。インターネット広告業界の課題や、アドテックのスピーカー、セッションに対する期待・要望などについて聞きました。

株式会社オープンエイト
代表取締役社長 兼 CEO 高松 雄康氏

――今年、業界で語られるべきこととしては、どのようなことでしょうか?

昨年から今年にかけて、インターネット広告に対するいろいろな疑問、課題、疑念が生じるようなことがありました。テクノロジーの進化によって、かえって不透明になったことなど、各プレイヤー、広告主がお互い向き合って話す必要があると感じています。

そこでは、やっていいこと悪いこと、ルールといった今後のインターネット広告のありかただけでなく、カルチャーとしてどう成熟させるのかといった、将来のビジョンを見据えた議論をしなければいけません。もはや優秀なテクノロジーさえあればいい、お金を使っていいものを作りさえすればいい、という時代ではありません。

――そうした問題が生じてしまう背景には、どのようなことがあると思いますか?

一つは、仕事をするうえで「テクノロジー任せ」「効率重視」という雰囲気の蔓延(まんえん)ではないでしょうか? しかし、これだけ業界の進化が速い中で、同じやりかたを継続すれば済む、ということは成立しません。これは、広告主、広告会社、メディアなどあらゆるところに当てはまります。これだけ業界の進化が速い中で、それぞれのプレイヤーが細部に渡り状況を把握し、リスクヘッジをしながらもスピード感を持って未来に対応する必要性があります。

――インターネット動画の業界についてはいかがでしょうか?

比較的早く参入したと言われる、C CHANNELさん、3ミニッツさん、そして当社ですら、設立は2015年。そこからわずか3年で急速にいろいろな事ができるようになり、参入する企業も増え、インターネット動画はマーケティング手法として非常に注目されるようになりました。

しかし、市場として急成長しているからこそ、先ほど話したモラル、カルチャーが必要なのです。考えてみれば、インターネット動画はもともと、テレビコンテンツのリプレイスから始まりました。だからこそ、テレビ業界が長く培ってきた倫理や、カルチャーがどのようなものなのかを学び・理解しなければ、我々のビジネスの存続そのものが難しい。そのくらい大きなことだと捉えています。

――テレビと異なる、インターネット動画の特性に沿った課題もあるのではないでしょうか?

そうですね。例えば再生回数が分かるのはネットの大きな特性でしょう。しかし、乱暴な言い方をすれば、単なる再生数ならば、どうとでも捉えることができます。特に海外で大きな問題になっている、アドフラウドや、最近の広告掲出先の問題などもその一例でしょう。これらは、数値だけを追い求め、画面の先にいるユーザーのことを軽視しているために生じています。

プレイヤーはもちろん、広告を掲出する広告主側も、どこに掲出されているのかといったことに加え、きちんとターゲットなるユーザーに見られているのか、どこで離脱しているのかなど、もっと細部まで中身を分析し、ユーザーの反応を含め効果指標を設定するべきです。新しい言葉に踊らされて、中身もよくわからないままに実施するのは、もうやめるべきでしょう。

「ユーザーを中心に据えたインターネット広告の新しいあり方」。今年のアドテックにおいて、この課題を避けて通ることはできないだけに、どのようなディスカッションになるのか期待しています。

――高松さんがアドテックに携わって6年目を迎えますが、振り返って感じることなどありますか?

スピーカーとして登壇し、数年前からボードメンバーとして携わっていますが、登壇当初はアドテクノロジーの活用、インターネットでマーケティングすること自体が、一部の業界関連者に限られていました。それだけに、セッションの内容も、ある意味狭い視野からしか語られていませんでした。

それが、この数年で一気に裾野が広がってきました。アドテクノロジー業界の人だけでなく、広告主の参加も増え、さらには広告やマーケとは関係ないスタートアップ企業に向けたコンテンツもあります。セッションテーマもさまざまで、いまやアドテックは、広告に限らず、テクノロジー、ウェブ、プロダクトなど様々な業界の人たちが集まる場になってきました。こうして、参加者の裾野が広がり、いろいろな人の話が聞けることが最近のアドテックの大きな魅力の一つでしょう。

一方で気をつけなければならないのが、マーケティング、広告といった本来あるべき要素が希薄化してしまい、セッション内容が浅くなってしまうことです。やはり、「アドテック」という名前である以上、その時代において広告をどう捉えるかといったことも含め、特に公式セッションにおいては名前にふさわしい発見が・情報が得られる機会であるべきだと考えます。

扱うテーマや来場者の幅広さという魅力と同時に、登壇する公式スピーカーの方々には、ぜひ広告、マーケティングのカンファレンスであるという意識を持って臨んでいただきたいと思います。

――裾野が広がっているからこそ、根本の部分をより深掘りしなければいけないということですね。

そうですね。最近、機会あるごとに言っているのが「コンテンツ・イズ・キング」ということ。これは今更ですがあらゆることに当てはまります。だから、参加者の一人として言うならば、今年のアドテックの公式セッションには、クローズでそれなりのお金を出してきていただく参加者にとってほかでも聞いたり読んだりできることではなく、ここだけでしか聞けない内容、具体的には、スピーカー同士が本音をぶつけ合う、いわゆる“ぶっちゃけトーク”を期待したいですね。

そのためには、例えばセッションの時間をもう少し長くするとか、スピーカーだけでなく、運営側の変化も必要かもしれません。アドテック参加者としての目線と同時に、ボードメンバーとして、今回のアドテックがより良くなるよう、私も取り組めればと思います。

――公式スピーカーのセッションが、アドテックを支える大きな要素なので、我々も注力していきたいと思います。ありがとうございました。

 

 

高松雄康
株式会社オープンエイト
代表取締役社長 兼 CEO

1996年、株式会社博報堂に入社。主に大手自動車メーカーのキャンペーン全般を担当。2005年より、日本最大級の化粧品クチコミサイト@cosmeを運営するアイスタイルで取締役兼COO(最高執行責任者)、CMO(最高マーケティング執行責任者)などを歴任。また関連事業を運営するコスメコム、コスメネクスト、アイスタイルグローバル(シンガポール)のCEOとして国内外の化粧品関連事業を統括し2012年に東京証券取引所1部に上場。現在は4月に起業した株式会社オープンエイトの代表取締役兼CEOとして、日本最大級の女性系メディアに特化したスマホ動画アドプラットフォーム/おでかけ動画マガジン ルトロンを展開。

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日(火)-18日(水)
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

中澤 圭介

中澤 圭介

iMedia Chairman / Content Manager at Comexposium Japan
1998年西南学院大学卒業後、広告界の専門誌を発行する出版社に入社。セールスプロモーションの専門誌の編集長として長く携わり、取材・編集を通じて企業のデジタルプロモーションの変遷を追ってきた。最近はオムニチャネル、CRM、ECといった分野を中心に情報収集・発信。2016年1月 コムエクスポジアム・ジャパン株式会社入社、iMedia Chairman就任。
中澤 圭介

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