ネット広告の課題にどう向き合うかで業界のカルチャーが変わる!? 【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.11】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら

今回はThe Trade Desk, Inc. の新谷哲也氏が登場。ニューヨーク、サンフランシスコといった海外のアドテックへの参加経験も豊富な新谷氏に、マーケターが直面している海外との環境の違いなどについて聞きました。

The Trade Desk, Inc.
Country Manager, Japan
新谷哲也氏

――AIなど発達していく中、マーケターはどのようにキャリアを積むべきなのでしょうか。

印象的なのが、海外の広告主においてはブランド・セーフティだとか、ビューアビリティなどに対する意識がすごく高まっていること。問題の大きさを判断して「このメディアはしばらく使わない」といったことをすぐさま表明します。一方、国内ではそうしたことを表明している企業は現状ほとんどない。つまり、そこまで確信をもって判断できる情報が少ないのが現状ではないでしょうか。まさにそれが課題になっているように感じます。また、アドテクノロジーについても新たな企業が少ないように感じています。

――アドテク関連企業が少ないというのは、具体的にどういうことですか?

この2年、アドテック東京に出展していますが、純粋なアドテクノロジーというより、メディア関連サービス企業が多い印象です。なぜなら、メディアプランへの採用のされ方がインターネットメディアとしてアロケーションされている傾向であるからではないかと感じています。私の述べるテクノロジーという意味では、Twitter、Facebook、Google、LINEといったプラットフォーマーを除けば、我々のようなDSP関連企業くらいではないでしょうか。

海外に比べて日本の広告業界は、クライアント主体というよりメディア主体として進んできた文化だという印象があります。だから、アドテクノロジーに関しても、あり方など含めてどうしてもメディア側に収束しがちでした。それは、先ほど話した「ビューアビリティ」や「ブランド・セーフティ」といった課題にどう対応するのかともかかわってきます。

――広告主側からの働きかけが海外に比べて弱い分、日本の場合、特にメディア側が課題に向き合うのではないか、ということですね。

そうです。各メディアが課題にきっちりと答えを出し、その答えに対して広告主側が「なるほど」と納得すれば、このメディア主体の流れが続くかもしれません。一方で、出された答えに対して広告主側が不安や不満を感じると、「自分たちで取り組まなければ」と、広告主が自らが解決し始めるようになる。すでに一部の外資系ではそうなりつつありますが、今後ほかの企業にも広がってくれば、ここの対応で今後の日本の広告カルチャーが変わるかもしれません。今は、その別れ道にいるではないでしょうか。

――確かに、「問題に対して我々はこのように対応します」と表明しているネットメディアがありますね。

でも、表明しているのはあくまで一部の大手メディアだけですよね。当社が関わるDSPの分野で言えば、圧倒的にそれ以外のネットメディアが多い状況です。ひょっとすると大手のメディアじゃないから単に表明していないだけかもしれません。しかし、現実的にはインターネット広告について、倫理観による企業の自浄作用を期待するのは難しいと思います。
理由としては、インターネット広告は他メディアに比べると歴史がまだ浅く、全く異なる分野から参入してきた企業も多いため、広告を取り扱う上で守るべきルールへの理解が薄いことがあります。たとえば、アフィリエイト広告などは、個人が運営するサイトに掲出するわけですから、稼ぎたい個人に対して倫理観を期待するのは企業以上に難しい。それでいて、消費者にとっては純広告も運用型広告もアフェリエイト広告も見分けがつかない。

だから、こうした課題をしっかり認識した上で、業界全体をより良くしていくためにどうすればいいのかを皆で考える必要があると思います。アドテックはそうした面で機能することが求められるのではないでしょうか。さらに言えば、これは1年やそこらで実現するものではないので、来場する人の業界・職種の幅が広いアドテックだからこそ、継続して取り上げていくテーマではないかと思います。

――改めてアドテックに期待していることなどお聞かせください。

私は以前、ニューヨークやサンフランシスコのアドテックにも行ったことがあるのですが、そこにはテクノロジーに立脚したマーケティングソリューションを持っている小さな会社もたくさん出展していたのが印象的でした。先ほど話した通り、日本はメディアに付随したサービスが多いので、もっとテクノロジーの上に成立したサービスを持つ会社にたくさん参加してほしいですね。その意味で、昨年「START UP WORLD CUP」を行ったように、新しい企業にもっと出てきてもらいたい。若い人、新しい人がどんどん参加するようなアドテックであり続けてほしいですね。

—ありがとうございました。

新谷 哲也
The Trade Desk, Inc.
Country Manager, Japan

The Trade Deskのカントリーマネージャーとして日本市場における同社プラットフォームのチャネル開発とサポートをリード。これまでビジネス企画・開発、メディア企画・開発、第三者配信など黎明期から様々なビジネスの立ち上げを担当。特に、インターネット広告ビジネス関連では、広告プランニングから企業戦略立案・投資まで幅広い経験がある。現職以前は電通 デジタル・ビジネス局に所属、2014年7月より現職。

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日(火)-18日(水)
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

中澤 圭介

中澤 圭介

iMedia Chairman / Content Manager at Comexposium Japan
1998年西南学院大学卒業後、広告界の専門誌を発行する出版社に入社。セールスプロモーションの専門誌の編集長として長く携わり、取材・編集を通じて企業のデジタルプロモーションの変遷を追ってきた。最近はオムニチャネル、CRM、ECといった分野を中心に情報収集・発信。2016年1月 コムエクスポジアム・ジャパン株式会社入社、iMedia Chairman就任。
中澤 圭介

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