セッションから見える数年後の業界像【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.13】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら

今回は2009年からボードメンバーを務める、日本経済新聞社の種村貴史氏が登場。当時に語られていたことと現在を比較しつつ、デジタルマーケティングの今の状況について話を聞きました。

日本経済新聞社 デジタル事業 広告・IDユニット シニアマネジャー 種村 貴史氏

—アドテックには長く携わっていますが、振り返ってみて感じる、メディア、広告マーケティングの変化はどのようなことでしょうか?

私自身、2000年前後から米国のネット広告事情をフォローしつつ、そこから新しい種を日本に持ってきたりしていました。アドテックのボードも2009年から務めていますが、2年目、インテルの江田麻季子さん(現・インテル 代表取締役社長)に、「デジタルでブランディングってありなんでしょうかね?」と質問したことをよく覚えています。 今でこそ、「動画によるブランドリフト」と言われたりしていますが、そもそも米国の場合、最初からブランディングの予算をテレビから切り取ってネットへ、あるいは紙媒体から持ってこようと動いていました。そのために、広告効果をしっかり測定しようということで、米国のダイナミック・ロジック社のことがよく取り上げられていました。
その調査を日本に持ってこようとしたのですが、すごく単純な仕組みだったので、「それで本当大丈夫なの?」と不安になる人も多く、普及しませんでした。その時に一番必要だったのは、ノーム値を増やすために、とにかくやってみることでした。それが日本には欠けていたことが、ネット広告のブランディング活用に時間がかかった理由の一つだと思います。そこからいろいろなことが積み重なり、博報堂の三神さんのインタビューにもあったように、ついに広告主にとってデジタルがブランディングも含め不可欠なものになりました。

—インターネット動画広告の普及もその後押しになっていますね。

そう思います。デバイスや通信速度なども含めて環境が整い、動画広告でブランディングができるという流れになり、いまやネットにおいてもかなりのブランディング予算が出てきていると聞いています。その意味では、広告主の「デジタルは不可欠、インターネットでブランディングもできる」という考え方こそが、大きな変化と言えそうです。

—ほかに、以前から言われてきたことに、「現実が追いついてきた」と感じていることはありますか?

以前、日経メディアラボで「メディア接触時間と広告費との相関関係」について研究していました。当時はネットの接触時間がマス広告と比べてとても伸びている時期だったので、それに合わせてインターネット広告費ももっと伸びるべきだと言っていました。最近、PCよりもスマートフォンの方が生活者の接触時間が高く、その分、広告費も伸びてきています。生活者が接触して明らかに効果がある広告に対して、しっかり数字がついてきているというのも、当時と比較しての変化と言えますね。
また、2015年にアドテックのパネリストとして登壇した際、Integral Ad ScienceのScott Knoll氏と登壇前に話したことも印象的です。Scott氏に、人が広告に触れるときに、何をしていてどんな気持ちなのか、という「生活者のモード」が大切だ、という話をしたところ、彼が、それを英語で言い換えるなら「マインドセット」になると言い、その内容に納得・同意してくれました。こうした話などは、「オーディエンスターゲティング」の弊害がクローズアップされた昨今の状況を先取りしていたように感じます。

——アドテックは、数年後の「当たり前」を知ることのできる場とも言えそうですね。

そうですね。ただ、こうしたことに気づけるのも、セッションを毎年のように聞いていたから。なので、アドテックのセッションに参加し続ける、聞き続けることが大切です。あとは、海外と日本の違いを実感できるのもいいですね。例えば、アメリカも、以前は「アドバタイザー」が「エージェンシー」「メディア」に発注する、という感じでしたが、いまは、どちらかというと全てが「パートナー」として成立しています。我々で言えば、単に広告を掲載するというより、日経IDというデータを基にしたソリューションを提供して、共に最適な方法を考えるようになりました。最近、コンサルティング会社の広告売上が伸びているのは、広告枠を売るのではなくソリューションを提供しているから。「パートナーとして、ちゃんとあなたたちの要望を聞き、それを実現しますよ」という企業姿勢の変化を、アドテックで実感できると思います。

—ありがとうございました。

種村貴史
日本経済新聞社
デジタル事業 広告・IDユニット シニアマネジャー

1963年生まれ。85年慶應義塾大学理工学部卒業、同年日本経済新聞社入社。95年からデジタル事業を担当し、三井物産との合弁会社、AOL Japanの立ち上げに参画。以降、日経電子版の前身となるNIKKEI NETの営業部門をサポートし、新規ビジネス、商品企画を担当。2001年日経アメリカ社出向、デジタル広告との関係をより深く持つようになる。2003年本社に戻り、デジタル部門で主にデジタル広告の新規商品開発、広告効果測定に携わる。日本インタラクティブ広告協会の活動にもかかわりが深く、現在、4つのワーキンググループに参加中。

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日(火)-18日(水)
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

中澤 圭介

中澤 圭介

iMedia Chairman / Content Manager at Comexposium Japan
1998年西南学院大学卒業後、広告界の専門誌を発行する出版社に入社。セールスプロモーションの専門誌の編集長として長く携わり、取材・編集を通じて企業のデジタルプロモーションの変遷を追ってきた。最近はオムニチャネル、CRM、ECといった分野を中心に情報収集・発信。2016年1月 コムエクスポジアム・ジャパン株式会社入社、iMedia Chairman就任。
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