OpenSocialの先にあるもの

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 FacebookがAPIを公開し、サードパーティが自由にミニアプリ(ガジェット、ウィジェット)を開発できるようになったというニュースを聞いたとき、「次はガジェットやデータを自由に外部に持ち出せるようになるんだろうなあ」と漠然と思っていた。
 でもそれまでには2、3年はかかるだろうなと思っていたので、GoogleのOpenSocialの話には正直びっくりした。Google、動き早すぎ!

 MyspaceやMixiまでOpenSocialに対応というニュースが出たので、一気にソーシャルメディアのオープン化が進みそうな機運ではあるが、実際には議論が始まったばかりで本当の標準化にはしばらくかかるのではないだろうか。
 で、それまでは「OpenSocialのここが不十分だ」「Facebookが負けるわけはない」などという議論が続くだろうけど、確実なのは、「SNSやソーシャルメディアといったサービスのオープン化の方向は止められない」、「今後はだれもユーザーを不当に囲い込んで、一人勝ちできない」ということなのだろう。OpenSocialがデファクトになるのかどうかは別にして、だ。

 なぜそれが確実だと思うかと言うと、一般ユーザーや開発者に主権が移ったから。インターネットの商業利用が始まったころから、「これからはユーザー主権の時代」ってことはよく言われたけど、ほんとにそうなってきているのだろう。
 物を言うユーザーがネットを通じてつながったのだから、当たり前といえば当たり前の話。ユーザーは自分の意見を臆することなく表明できるようになったのだから、ユーザーの意志を無視したような囲い込みは当然、不可能になる。唯一可能性のある囲い込みの方法は、ユーザーに対しビネフィットを与え続けること以外にない。居心地のいいコミュニティを提供し続ける以外にないんだ。
 で、居心地のいいコミュニティの条件の1つは、自分のデータを外に持ち出せることである。
 僕は、gmailを始め、Googleカレンダーや、Googleドキュメントなど、Googleのサービスを使い倒しているんだけど、そうすることで一番心配なのが、Googleが倒産すること。倒産して、僕の過去のデータがすべて消去されれば本当に、本当に困る。
 そこで、いつでも逃げ出せるようにデータを外に簡単に持ち出せるようにしてもらいたい。簡単に持ち出せるようにすることで、僕がGoogleから浮気をして別のサービスに移行するかといえば、それは逆。いつでも逃げ出せるとなれば、かえって安心してこれからもGoogleを使い続けることだろう。
 Amazonにも同様の要望がある。僕の購買履歴を楽天ブックスにオープンにしてほしい。そうすれば、楽天での買い物も便利になるだろう。
 つまり、自分の蓄積したデータを自分自身で自由に移動したり、組み合わせたりできるようにしてほしいのだ。それほど、自分にとっての非常に重要なデータがたくさんネット上に蓄積され始めたのだ。この傾向は強まることはあっても、逆戻りすることはない。

 購買履歴や人間関係、日記、スケジュールなどの個人的なデータを使った便利なサービスは今後、山のように出てくるだろう。システムが僕という人間を理解して、ワン・ツー・ワンのきめ細かなサービスや情報を提供してくれるようになるのだろう。これからの経済、産業は、こうしたシステムによる個人の理解をベースにして成り立つようになるのだと思う。

 そうなった際に非常に重要なのがプライバシーの問題。どのサービスにどのデータを公開するかという主導権は、当然ユーザーが持つべきだし、持たなければならない。
 今のところ、Opensocialの議論の中で、ユーザーに主導権を持たせるべきだという議論はまだそれほど多く出ていないようだけど、今後はソーシャルメディアのオープン化(ソーシャルグラフとも言われ始めている)の議論の中で中核を占める議論になるだろう。そして自分の各種データをどのように使うかを決めることのできるプログラムは必ず開発されるだろうと思う。そうなれば、自分のデータは自分で好きなように管理し、組み合わせ、それに対してサービス、広告を受けられる時代がくるのだ。
 なぜそうなると思うかと言うと、それは多くの人が、自分だけに向けられたきめ細かなサービスを望んでいるからだ。マスプロダクション、マスセールスの時代にあきあきしているからだ。
 ネットがユーザー主権の空間である限り、多くの人が望むサービスを実現させるための技術革新は、どこかでだれかがたゆまなく続けているものなのである。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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