メディア消費の過渡期と3層並存論-ボツにした未完成原稿vol.3

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ボツにした原稿です。何かの役に立てばと思いアップします。未完成原稿ですので、未確認情報が含まれます。ご注意ください。

▼メディア消費の過渡期と3層並存論

 前著「次世代広告テクノロジー」の中でも書いたが、わたしは日本社会にはメディア消費の違いから三層が共存しているのではないか、と考えている。
 
最初の層は、年齢的には50代以上だろうか。10年前とメディア消費の形がそう変化していない層だ。10年前にも新聞を購読していたし、今も購読してい
る。テレビも10年前同様にまあまあ見る。最近は、ネットやケータイも使い方を覚えたが、使い方としてはメールをときどき打つぐらい。自分だけではない。
周りを見てもそうだ。今がメディアの大変革期だとは到底思えない、という層だ。「メディア利用の変化をまったく感じていない層」である。
 
2番目の層は、年齢的には20代から50代。10年前との大きな違いは、パソコンが仕事の中心になり、ケータイが生活の中心になったことだ。10年前は、
用事をメールで済ませようとすると「電話をかけてこない失礼やヤツだ」と言われたものだが、今はメールで済む用件なのに電話をすると「忙しい時間に電話を
かけてくる失礼なヤツ」と怒られるようになった。顧客との会合の前には、顧客の名前でインターネットを検索し、顧客の最新動向をつかんでから会合に臨むビ
ジネスマンが増えてきた。相手がブログを書いているなら、ブログを読んでから会うということがエチケットにさえなりつつある。

 ネットのおかげで新聞はあまり読まなくなった。ネットのニュースサイトや専門家のブログを読むことで、新聞以上に仕事に関する情報を豊富に得られるようになったからだ。

 とはいうものの、新聞はいまだに重要な情報源だし、テレビも見る。10年前と比べると確かに変化はある。しかしそれをメディアの大変革期と呼ぶことは少しオーバーに思える、という層だ。「少しは変化を認識している層」である。

 
3番目の層は、年齢的には10代から20代。10年前と比べたくとも、比較できない層だ。メディア消費に変化はあるが、それは時代の変化というより、年齢
的な理由が大きい。今はケータイを持っているが、10年前はまだ小学生だったのでケータイを買ってもらえなかった、ということだ。「変化さえも認識できな
い層」である。

 この層の主流メディアは、ケータイであり、ゲームである。新聞はほとんど読まないし、テレビもあまりみない。パソコン利用には個人差があり、学校でしか使ったことがない、という人も多い。

 この3つの層が現在の日本に共存している、というのがわたしの認識である。
Photo
 このことを裏付けるような調査結果が、この図である。

  NHK放送文化研究所が行った「国民生活時間調査」の結果によると、過去10年間で30代、40代男性の新聞の接触時間が半減している。一方で70代や20代以下は、それほど変化していない。

 この調査からも分かるように変化を実感できるのは、真ん中の世代だけ。しかもその変化も接触時間が半減した程度。大変革期と呼べるほどの変化ではない。ほかの2つの世代に関しては、ほとんど変化を感じないだろう。

 
つまり個人ベースの実感としては、ちょっとした変化、もしくはほとんど変化を感じていない、ということになる。しかし一番上の世代と一番下の世代を比較す
れば、非常に大きな違いがある。社会全体としてみれば、やはり大変革期と呼ぶのにふさわしい変化の真っただ中だということになる。

 このようなことを「次世代広告テクノロジー」という本に書いたのだが、面白い反響をいただいた。

 オンライン広告会社オプトでは、この3層の存在について社内で議論をしたそうだ。

 同社の代表取締役、海老根智仁氏が寄稿したネットメディアcnetのコラムによると、議論の結果次のような3層の姿が浮かび上がってきたという。

 「メディア利用の変化をまったく感じていない層」の特徴

・60歳以上が圧倒的に多い。

・マス4媒体の接触が中心であり、パソコン、モバイルの活用はほぼ皆無である。

  「変化を認識している層」の特徴

・25歳~59歳と幅広い層が存在する。

・年代が低くなるほど、PC、携帯電話を中心にマス4媒体に接触を行っている。

・年代が高くなるほど、マス4媒体の接触が中心になるが、インターネットは利用をしている。

  「変化さえも認識できない層」の特徴

・10歳代~24歳が多い。

・マス4媒体を利用していない傾向が強い。加えそれに対し興味が無い。

・半面、パソコン、携帯の活用は他の世代に比べ明らかに多い。

・年代が下がる(10歳代)と、その傾向はより強まる。

 
やはり3層は実際に存在すると考えてもよさそうだ。自分の周りに自分と同じ年齢層しかいなければ、自分のメディア消費の形が主流だと勘違いするかもしれな
い。もし読者の中に、「テレビ中心のメディア消費の形は10年前と変化していない。米国と日本は違う」と考えておられる方がいれば、それは1つの層の中だ
けでの真実であるというように認識していただきたい。今日の日本の社会はメディア消費の過渡期にあり、ほかの2層ではまったく異なるメディア消費の形が主
流であるのだ。

 そして人間というものは、それほど急速に習慣を変化させない。特に年齢の高い層は変化を嫌う。従来型メディアに慣れ親しんだ層のほとんどの人が、ケータイ中心の生活に移行することなど、ありえない。

 
単純な話に聞こえるかもしれないが、このことをしっかり認識しておかなければ、メディア、広告の未来は読めない。この認識がなければ「日本はアメリカと違
う。アメリカの先行事例は日本に当てはまらない」という思考停止状態の安易な日本特殊論に陥ってしまう危険性がある。ヤフー、ソフトバンク、電通まどの
キープレーヤーの今後の戦略を予測する中で、この3層並存論は重要なコンセプトとなるのだ。

序章 経済リワイヤリング-ボツにした未完成原稿vol.0
IBMが読む広告の未来-ボツにした未完成原稿からvol1
分断される消費者の関心-ボツにした未完成原稿vol.2

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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