モバイル広告に照準を定めたGoogle、日本のリードは揺らぐのか

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 「日本のIT業界の希望の星はケータイの広告、マーケティングである。その領域は日本が世界の最先端を走っている」ー。これまでそう主張してきたんだが、どうやらGoogleは、その日本の得意分野に照準を定めたようだ。

 Googleの会見に参加したGigaOmによると、Goolge幹部は、モバイル広告が来年度の最成長領域になると考えているようだ。

With phone features like GPS and cameras, and the incorporation of personalization, social and local features, Google SVP of product management, Jonathan Rosenberg, said on today’s earning call for press and analysts, “There is potential to make this mobile web better than the PC web.” Rosenberg said advertisers are also wising up to mobile, finding that including their phone number or address will increase click-through rates. Further, targeting tools and analytics are improving monetization rates. However the company declined to break out mobile revenue.

 GPS、カメラ、パーソナライゼーション、ソーシャルメディア、ローカル・・・。ケータイに次々と搭載されているこれらの機能のおかげで、ケータイがパソコンを超える広告媒体になるという可能性は早くから指摘されてきたけど、どうやら広告主もそのことに気づき始めたようだ。特に、電話番号や住所を入れておけば、クリックされる率が非常によくなるようだ。それにターゲティングやアクセス解析の技術もかなりよくなってきているという。

 確かにiPhoneを使っていて思うのは、住所の部分をタッチするだけで地図が立ち上がって現在地と目的地を示してくれる機能が非常に便利だということ。しかもiPhone3GSだと方位計が内蔵されているので自分の向いている方向が地図の上になるように地図が回転してくれる。お店の広告が出てもそれがどこにあるのか分からないのなら、探し出すのが億劫になるけど、簡単にそのお店までナビゲートしてくれれば、行こうかという気になる。

 ただGPSの位置測定がいまいちなんだけど、これはクウジットなどの新しい技術が搭載されることで近いうちに精度が向上するのだとは思う。【関連記事】無線LANできめ細かな現在地測定-クウジット末吉隆彦氏

 日本がどの程度、世界の先端を走ってきたのか、以前シリウステクノロジーズを取材させてもらったときのメモがあるので、一部掲載したい。取材は2009年5月。

【取材メモ】
シリウステクノロジーズ
執行役員 アドローカル事業部 三好雅士さん
シリウスラボ  所長 関治之さん

 設立2004年 モバイルマーケティングのテクノロジーの企画、構築、サービスの提供
アドローカル ターゲテング広告の1つ。場所でターゲティングする広告
 GPSで場所を特定。GPSを使っている人がまだそう多くないので、例えば「食べログ」のようにユーザーが好きな場所を指定してその場所の周辺の飲食店を探す場合などは、GPSではなくユーザーが選んだ場所に基く広告を配信する。媒体社から何らかの位置情報を送ってもらい、それに対して広告を返す仕組み。
 GPSの利用者は3キャリアを通して、50%を少し上回ったところぐらいと聞いている。日本のケータイは一億台を超えているので、約5000万台がGPSを搭載している。あるアンケート調査によると、GPSを実際に使うと答えたユーザーは約20%だった。2000万から3000万

ーGPS情報取得に時間がかかるが、将来的にこの問題は解決されるのか
 2つのネック。1つは技術的、測位にかかる時間を短縮する。これは新しい技術の登場で解決されるだろう。
 「位置情報を取得してもいいですか」というアラートは「決め」の問題。日本以外では一度聞かれると、その後アラートは出ない。これは総務省と通信キャリアの間、メーカーとの仕様の問題。
 技術的な面。クウジットの技術。iPhoneではスカイフックというアメリカの会社が同様のwifiの測位情報とロケーションをひもづけるというデータベースを持っている。それがiPhoneでは標準で使われている。まずwifiで測位し、細かい情報をGPSで補正するというハイブリットの形。
 最初にアプリケーションを立ち上げたときに1回だけきかれる。バックグラウンドで処理されるので、スムーズに位置情報を取れるということがiPhoneではできている。それに影響されて国内の仕様も多分変わっていくのではないか。
 国内ではクージット、国際的には、スマートフォンにはスカイファイヤーのような技術が搭載されるようになるだろう。
 ただwifiの電波のないところでは測位できない。
 海外のスマートフォン、グローバルケータイと国内ではまた違う進化があるだろう。
 国内では、研究レベルですが、例えば日立さんが「屋内GPS」を研究している。それがそろそろ実証実験フェーズに入ったりしている。

ーそれはどんな技術?
 屋内に端末を置く。GPSをさらに詳細な仕様、されに拡張したようなもので、電波を発して、それを使って測位する

ー屋内ってどんなところ?
 例えば大きなショッピングモールとか。美術館とか。
 あと、測位の速度も速くなっていく。今はGPSとケータイの基地局情報を組み合わせて測位している。

ーほかに測位技術はないのか?
 さらに研究レベルなら、可視光通信とか。光の中に位置情報を埋めこむ。普通の汎用的な情報通信の手段だが、位置情報を埋めこむことも可能。

ー測位のためにバッテーリーを消費するのでは?
 そうですね。GPSは特に電力を消費する。wifiのほうが消費電力が少ない。

ーアドローカルに戻りますが、広告代理店のような仕事をしているのでしょうか?
 2つの役割。1つは広告代理店的な仕事。位置情報をベースにした広告に興味を持つ広告主を集めるという役割を持っている。
 一方でそうした広告を集めていきたいという媒体社を集めるという役割もある。その両方を担っている。

ー大きな代理店と一緒にやっていくということはないのか?
 現状は、そちらに多く依存している。われわれはまだまだ小さな会社だし、ネット専業のオプトさんやインタースパイヤさんだったり、交通広告を扱っている代理店さんに商材の1つとしてアドローカルを取り扱っていただいている。

ー代理店が取っていないようなロングテールの広告主にはどうアプローチするのか?
 現状は、われわれの営業スタッフが直接地域の店舗に直接アプローチしたり、アドローカルのサイトにアクセスしてもらって自分でアカウントを開設し、自分で広告を出稿することができるようになっている。

ーウェブ経由の出稿はいつから?
 2007年の春から。アドローカル全体では、アカウント数、広告額などは順調に伸びてきている。ロングテールの広告主からの出稿は、まだ期待したほどは伸びていない。

-課題は?
 テールの部分の啓蒙をもっとがんばっていきたい。今は、全国展開している店舗やコンビニ、英会話スクールなどの大手が中心。使ってもらっている企業さんの、広告効果を分かりやすい形でフィードバックできる仕組みを作っていくことが必要かなと思っている。

ー未来展望は?
 たくさんの方に使っていただきたい。テールも含めた広告主さんもたくさん、ユーザーさんも、その両方を広げていきたい。そのための広告営業を続けていく。一方で、今はモバゲー、食べログなどの人気のサイトに使ってもらっているが、大手ポータルやSNSなどのサイト、キャリアのサービスに標準的にこういう仕組みが整ったりというような形を目指していきたい。
 もう1つ。同じことが世界でできるのではないか。昨年一月からアメリカシリコンバレーのサニーベールに事務所を置き、アメリカでもアドローカルのような仕組みを既に開発しているんだが、世界展開をしていきたい。

ー技術的にはどのあたりがすごいのか?
 検索連動広告はキーワードに合わせて出すが、アドローカルは地名との物理的な距離をベースに広告を出す。これは特許を取っている。例えば渋谷から少し離れたところ、神泉とかにあるお店の場合、通常の検索連動型広告だと、お店側で「渋谷」とかいうように近くの地名で有名なキーワードを自分で調べて、そこに広告を出す必要がある。アドローカルだと神泉で広告を打つと、空間的に近い、例えば半径一キロ圏内でケータイを使っている人に広告を表示できる。エリアマーケティングという考え方からは非常に使いやすいというのが特徴。

ー特許はどのような特許?
 キーワード広告の場合は、キーワードが合致していたり、似たキーワードだと広告が表示される仕組み。アドローカルは、距離が近ければ近いほど広告が出やすくなるという仕組み。あとは重みづけ。例えば渋谷駅にいて周辺の店舗がいろいろある中で、近い順と、入札された広告単価という要素を考慮して、出す広告を決める。

ーいろいろなデータを持っている企業同士の連携は進んでいるのか?
 なんでもかんでも自社でしようというより、媒体社は集客に力を入れ、広告は収益化を得意とする他社に任せるという考えは進んできていると思う。アドローカルも実験的に一部媒体社からユーザー属性などのデータを送ってもらい始めている。それをわれわれのほうで深く分析し、単純に近いということで広告を出すのではなくて、違うアルゴリズムで出し、その効果を測定したり、ということは、取り組みとして始めている。

ー付け加えたいこと
 広告効果の指標を、広告を見てお店にいった、というところにしたい。それをどうやって仕組みで解決するんだろう。きっと電子マネーとの連携とかいうことになっていくのだろうけど、そういうプラットフォームとの接続、連携を進めていきたい。

 このときの状況と現在の日本の状況はそれほど変わっていないと思う。Googleが来年度はモバイル広告に本気を出してくると宣言している。どうなるんだ、日本!

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