- 雨を降らせる機械からiPhone電脳メガネまで「自分が欲しいから作った」Mashup Awardめっちゃ楽しい12作品【鈴木まなみ】 - 2013-11-19
- スマホアプリは大手有利の時代【湯川】 - 2013-07-05
- そしてMacBook Airは僕にとっての神マシンとなった【湯川鶴章】 - 2013-06-14
新しいメディアの形はこれしかない!そういう考えをこれまで何度も従来型メディア関係者に話てきたのだが、いっこうに理解を得られなかったので、TechWaveを立ち上げた。TechWaveを成功させることで、従来型メディア企業の中で先行きに不安を持つ若者たちに、今後の進み方を考えてもらいたいと思ったからだ。
とはいっても新しいメディアの未来に向かって進んでいるのは、われわれだけではない。同じライブドア傘下のアゴラの池田編集長とも意見交換する機会を持ったが、やはり目指している方向は非常に似ていた。アゴラは、われわれTechWaveよりも一足早くメディア事業での成功領域に入ろうしているようだった。
もちろんもっと先を進んでいる新しいメディアもある。それがAppBankだ。
AppBankはもちろんわたしも愛読しているが、iPhoneアプリを紹介するブログメディアだ。一昔前ならゲームやパソコン雑誌で見かけるようなコンテンツを集めている。雑誌がオンラインメディアに自ら進化できずにおろおろしている間に、AppBankは一気に自分たちの立ち位置を確保したのだ。
日経のサイトに詳しいレポートが出ていたので、その中から幾つかのファクトを引用させてもらおう
・2008年6月スタート
・2009年2月は月間100万ページビュー程度
・2009年10月にiPhone用の専用ビューワーアプリをリリースし、一気に月間1312万ページビューを獲得
・2010年1月は1700万ページビュー
・一日平均11本の記事をアップ
・無名のアプリ「SmackTalk!」を取り上げると一気にダウンロード数が数万本に上昇するほどの影響力
・専任スタッフ2人を含む8~9人で運営
・収入源は、アプリ用のアフィリエイト。アプリ販売収入の4%がAppBank側に入る
・メディアは、「自社開発のアプリで成功するための壮大な仕込み」
・年内に英語版を立ち上げる予定
AppBankの事例から、新しいメディア構築に重要なポイントを幾つか見ることができる。まず徹底的な低コスト運営をすること。システムはブログで決まり。わたしが以前所属していた会社では、わたしが記事を書いたものを別の人間がチェックし、それをまた別の人間がサイトに反映させていた。サイトへの反映も本文のページはもちろん、コーナーのトップページ、サイト自体のトップページへの反映もすべて手作業だった。
これからより多く出てくるであろうミドルメディアの形は、間違いなくブログをベースにしたものになる。もはやブログは日記ではない。日記としての使い方は、大部分がTwitterなどに移行し始めている。ブログこそがメディアになるのだと思う。
2つ目のポイントは、ブログメディアの運営だけを目的にしていないということ。ブログメディアの運営が赤字では困るが、ぎりぎり黒字でやっていくことを目指しているわけではない。それ単体で成功しようというこれまでのメディア企業とは、ここが大きく異なる点だ。AppBankは、自社アプリで成功することが目的である。TechWaveは、セミナー、電子出版などの周辺事業の成功をも目指している。アゴラは、セミナーで十分な手応えを得ているようだし、新しい周辺事業にも乗り出す計画だという。
3つ目のポイントは、英語圏への挑戦。インターネットが地理という物理的障壁を取り除いた。最後に残ったのは言語の壁である。インターネット上でビジネスを大きく成功させてければ英語でビジネスをするしかない。TechWaveはまだまだ足元を固める段階だが、英語での情報発信は将来のロードマップの中で非常に重要な位置を占めている。
質のいい情報を受信するには、質のいい情報を発信し続ける以外にない。英語でも情報発信しなければ、IT関連情報の有益な情報源であり続けるのが困難な時代になるのだと思っている。