iPadでネットが表示されない!?=壊れてません、Flash未対応なんです【湯川】

「iPad(アイパッド)壊れちゃったのかなあ」ー。わが家にiPadが来て以来、iPadをほとんど独り占めしていた小学六年生の息子が泣きそうな顔をしてiPadを持ってきた。パソコンで見ることのできるゲームのウェブページがiPadでは見れないというのだ。「ああ、フラッシュだからね。iPadはフラッシュに対応していないからさ」と言うと、「何それ」「どうして対応していないの」と矢継ぎ早に質問が。一通り背景を説明したのだが、どうも納得できない様子。考えてみれば確かに変かもしれない。パソコンで見れるのに、iPadで見られないページが相当数存在する。それでもアップルはiPadをフラッシュに対応させるつもりはない。

 この状況にどうも納得できないiPadユーザーのため、またはパソコンに詳しくないiPadユーザーが周りにいて理由を説明しないといけない人のために、どうしてiPadで見れないページが存在するのか、まとめてみることにした。

 息子が見ていたのはヤフーの中のゲームのページ。「ゲームをお楽しみいただくにはフラッシュプレーヤーが必要です」という表示が出ている。

 「ボタンをクリックしてプレーヤーをダウンロードしてください」という表示にしたがって、クリックすると別のページが現れる。


 「バージョンを確認できません」という表示が。「詳しくはインストールページをご覧ください」とあるので、さらにクリック。

 すると今度は英語のページが。6年生の息子にはここでお手上げ状態だ。やはりハイテク機器というものは、一般の消費者にとってまだまだ使いづらいのが現状だ。「iPadは簡単」という先入観で購入すれば、「壊れた」と感じてしまうものかもしれない。

 ほかにも表示されないページがある。

 ヤフーキッズのゲームのページも表示されない。「ゲームが始まらない時はここをクリック」と書いてあるが、クリックしても、何も表示されない。一般消費者にとってこういう状態は「機械が壊れた」状態なのだと思う。

 キッズgooのゲームも表示されない。

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 大人向けのページでも表示されないページはたくさん存在する。

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 たまたまこういうページにばかり当たれば「iPadが壊れた」と考える人がいるかもしれない。アップルストアやソフトバンクに返品しようとする人も出てくるのではないだろうか。

 こうしたページはすべてフラッシュという技術を使っている。フラッシュという技術は、ウェブページ上でアニメーションやビデオを表示するための技術で、アドビという会社が開発した。ウィンドウズやマックといった一般的なパソコンには標準的に搭載されている技術なので、パソコンではフラッシュを使って作ったウェブページは問題なく見ることができる。

 しかしiPadやiPhoneなどのアップルのモバイル機器では、この技術を使っていない。
 アップルの経営者であるスティーブ・ジョブズさんは、なぜアップルがモバイル機器にフラッシュを使わないのかを文章で説明している

 それによると、主な理由は(1)フラッシュが不具合を引き起こすことがよくある(2)電池の消費が速くなる(3)フラッシュが普及しアドビが影響力を拡大すれば、アップルが自由に技術革新できなくなる、などだ。

 特にジョブズさんは(3)が重要だと言う。アップルがiPadに新しい機能を追加しようとしても、iPad用にプラグラムを開発するプログラマーが新機能に対応しないフラッシュを使ってプログラムを作成すれば、新機能が実装されない。今後もプログラマーの間でフラッシュが利用され続ければ、iPadの進化の速度がフラッシュの進化の速度に限定されることになる、というわけだ。

 ジョブズさんは、フラッシュがなくてもHTML5という技術で、同様のアニメやビデオコンテンツを作成できると主張する。HTML5というのは業界の標準団体が作成したオープンな標準技術で、フラッシュのようにアドビという民間企業1社に帰属する技術ではない。

 ということで、今後もiPhone、iPadがフラッシュに対応する可能性は極めて低い。ただフラッシュをやめてHTML5でコンテンツを作成するウェブサイトが徐々に増えてきているので、今後表示されないページが徐々に減っていくかもしれない。(関連記事:米航空のサイトがFlash削除。恐るべしiPhoneの影響力

 一方でアドビは、アップルと競合関係にあるグーグルに急接近している。グーグルはiPadのようなタブレット機器や携帯電話をフラッシュに対応させることを約束している。年末までには発売されるとみられるグーグルのタブレット機器ではフラッシュで作られたウェブページも見ることができるようになるだろう。

 しかしこうした大人の事情を理解することなく率直に「壊れている」と感じる子供の感性こそ、消費者の一般的な受け止め方なのだろうと思う。

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