「ケータイはソーシャルでこう進化する」Facebookトップのインタビューから【湯川】

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[読了時間:15分、「蛇足」追加しました]
 米TechCrunchが行ったFacebookCEOのMark Zuckerberg氏のインタビューは同氏のソーシャルメディアに対するビジョンがうかがえる非常に興味深い内容になっている。今回はモバイルに関する発言だけを抜き出して同氏の思い描くモバイルの未来について考察したい。

 Zuckerberg氏は次のように語っている。ニュアンスが伝わりやすいように、かなり大胆に意訳しています。翻訳としての正確さはなくなるかもしれませんが、このほうが同氏の主張に近いと思います。

Our role is to be a platform for making all of these apps more social, and it’s kind of an extension of what we see happening on the web, with the exception of mobile, which I think will be even more important than the web in a few years – maybe even sooner. But the basic thing that we’ve found from building social apps and this platform ourselves is that almost any experience or app can be better if it’s social and it has your friends with you. And we just expect there to be really tremendous disruption over the next five years.

 われわれのプラットフォームとしての役割は、すべてのアプリをよりソーシャルにすることだと考えている。それはパソコン向けウェブで既に始まっていることなんだが、モバイルがソーシャル化することのほうが余程重要だと思う。そしてモバイルのソーシャル化は2、3年以内に始まるだろう。いやもっと早いかもしれない。
 われわれ自身がソーシャルなアプリを開発しプラットフォームを運営することで分かったことは、ほとんどすべてのアプリやその使い勝手はソーシャル化することでよりよくなるということだ。友達と情報、体験を共有することでより使い勝手がよくなるんだ。そう考えると、業界再編をうながすような大変化というのが5年以内に起こるだろう。

 We’ve seen this with a bunch of the apps that we’ve built. Stuff like photos and events and groups — we’ve built pretty basic versions of those apps to start but they ended up being so much more used because of their social integrations.On Platform we’re now really starting to see that with games through the four big gaming companies: Zynga, Playdom, Playfish and Crowdstar, andit’s really interesting looking at Zynga and traditional gaming companies. Zynga is just so much more efficient as a company right now. That’s what disruption looks like, when your model is changing.

 われわれはこれまで写真アルバムやイベント、グループという機能をFacebook内に実装してきた。最初は基本機能だけだったんだが、これにソーシャルの要素を加えると利用頻度がびっくりするくらい増えた。ゲームもそう。Zyngaと伝統的なゲームメーカーを比較して見ると非常に興味深い。企業としてはZyngaのほうが今はずっと成功している。ビジネスモデルが変わる業界再編の大変革ってこういうことを言うんだ。

It seems like games are often an early indicator of a platform spreading to other verticals. You kind of saw that with the iPad or iPhone, probably more iPhone than iPad. Even early PCs. So our view is that over the next few years we should expect in all of these different industries for there to be a lot of disruption…by either the incumbent in this space or some new entrepreneur coming in and building a social version of whatever it is, whether it’s commerce or media. It could be a number of these different verticals, and Mobile will really just be an extension of that and will eventually get to a larger scale than the web. The web is only at one and a half billion people whereas everyone is going to have a phone and all the phones are going to be smartphones. So our strategy is that we want to go wherever people are building apps so we can make all of those apps social if they want that.

 ゲームというのはどのプラットフォームでも最初に変化が現れる業種のようだ。iPadやiPhoneでもそうだ。PCもそうだ。なので、今後2、3年でほとんどすべての業界でゲーム業界に起こったような業界再編を促すような大変革が起こるのではないか、というのがわれわれの考えだ。変革の波に乗って既存のプレーヤーが大躍進するかもしれないし、新しい企業がでてくるかもしれない。今まで存在するサービスのソーシャル版というものが出てくるのだと思う。メディア産業でもEコマース産業でもそうだ。いろんな業界でそうなるだろう。最初はモバイルの売り上げはそれほど大きくないかもしれないが、いずれPCウェブの売り上げよりも大きくなるだろう。というのはPCウェブ版のFacebookの利用者って5億人ほどだが、今後すべての人が携帯電話を持つようになる。そしてすべての携帯電話はスマートフォンになるからだ。われわれの戦略は、アプリが開発される領域がどこであれ進出し、すべてのアプリのソーシャル化の支援をするということだ。

 最近、既存の大手のゲーム会社の開発者が、ソーシャルゲームのメーカーの悪口を言っているという話をよく耳にする。「ソーシャルゲームってモノマネばかり。クリエイティビティのかけらもない。全然おもしろくない」「あんなのが流行するって最低だね」「あんなのばかりになれば、業界はだめになっちゃうよ」・・・。目の敵にしているような発言が多い。それほど大きな業界再編の波がゲーム業界に押し寄せているということなのだろうか。

 ソーシャル化が業界のルールを変えつつあるわけだ。そしてZuckerberg氏はこれと同じことがほとんどすべての業界に起こると言っているわけだ。

 FacebookはPCウェブのどのような機能をモバイルの領域に持っていこうとしているのか。Zuckerberg氏は、インスタント・パーソナライゼーションの機能を例に挙げている。最近の米国のウェブサイトにはFacebookのロゴのボタンがついているものが多い。それをクリックしてFacebookとのデータ連携を了承すれば、そのサイトがパーソナライズされる。Facebookに登録してある自分の顔写真が表示され、あなたの友人はこれを「いいね!」しました、というような情報が表示される。
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 この程度のパーソナライゼーションは当たり前で、インスタント・パーソナライゼーションという機能をサイトが実装していると、ログインしなくても自分や自分の友人の情報が表示されるのだ。例えばこの機能を最近実装したRotten Tomatoesという映画好きのための情報サイトにアクセスすると、まったく初めて訪れるのに自分の顔写真が表示され、Facebook内での僕の友人がどの映画に「いいね!」ボタンを押したかが表示された。Facebookで過去にログインし「ログイン状態の維持」設定を「イエス」にすると、新しいサイトへアクセスしても自動的に僕に最適化されたコンテンツが表示されるわけだ。
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 こうした機能をモバイルの領域でも利用できるようにしたい、というのがZuckerberg氏の考えだ。携帯電話で一度サインオンしておけば、すべてのアプリが自動的にソーシャル化されるという形だ。

 それをすべての携帯電話で実現したいという。

For platforms that are really important, but are hard to penetrate, like iPhone, we’ll just do as much as we can. For Android, we can customize it a bit more. Other folks are going to want to work with us on specific things.

ただiPhoneのようなプラットフォームはなかなか実現が難しい。Androidはそれに比べカスタマイズが少々やりやすいかも。もっと独自の形でモバイルのソーシャル化を実現させようと提案してくる社もある。

I generally think that most other companies now are undervaluing how important social integration is. So even the companies that are starting to come around to thinking, ‘oh maybe we should do some social stuff’, I still think a lot of them are only thinking about it on a surface layer, where it’s like “OK, I have my product, maybe I’ll add two or three social features and we’ll check that box”. That’s not what social is.

一般的にいって競合他社はソーシャル化の重要性を十分理解していないんだと思う。「ソーシャル化は重要だ」と言い始めた社でも、表面的なことしか考えていない。「ソーシャルな機能を2つ、3つつけておくか」というようなのは、本当のソーシャルじゃないんだ。

Social – you have to design it in from the ground up. These experiences, like what Zynga is doing or what a company like Quora is doing, I think that they have just a really good social integration. They’ve designed their whole product around the idea that your friends will be here with you. Everyone has a real identity for themselves. And those are fundamental building blocks. Now, I don’t know how long it’s going to take to get the mobile environments that you see today to a state where you can build really robust social applications on top of it. So that’s the biggest driving force for us — to try to work with these folks and see how deep we can get on our own to make sure that we can build that plumbing. Our goal is to make it exist.

ソーシャルは基礎部分から創り上げていかなければならないんだ。ZyngaやQuoraがやっているように。彼らは、ユーザーが友人と一緒になって参加するということを前提にサービスを組み立てている。実名や人物を特定できるハンドル名というものが、サービスの基礎にならなければならない。今あるモバイルの環境の上に、本当に優れたソーシャルなアプリを構築できるような状況を築きあげるのに、何年かかるだろうか。それがわれわれの最大のチャレンジであり、そこに向かって全力で進んでいる。その仕組みを作り上げることがわれわれのゴールなんだ。

蛇足:オレはこう思う

「オレはこう思う」というようり「オレに関してはこう思う」という感じになるんだけど・・・。

 TechWaveのソーシャル化も改めて考え直さないといけないと思った。TechWaveを始めたときにライブドアの担当者に「新しいタイプのメディアを作っていきたい。それはコンテンツというよりシステム面で、ということ。ライブドアのシステムの今後の方向性の水先案内人になるような実験をTechWaveでやっていきたい。ライブドア本体は規模が大きすぎてできないような実験をTechWaveでまずやって、効果があればそれをライブドア全体に広げたい。ライブドアにとってそんなブログメディアにしたい」と宣言した。今からすれば、結構思い上がったことを言ったものだと思う。田端さん、関係者のみなさん、ごめんなさい。

 そして振り返ってみると、ほとんど何もライブドアに提案できずにいる。反省。

 ソーシャル化はキーワードとしてずっと頭の中にある。Facebookのファンページを充実させないといけないなとか、イベントとかでTechWaveコミュニティを盛り上げないとな、とかは考えているんだけど、ついつい目先のPVのことばかりにリソースを割いてしまっている。

 でもZuckerberg氏の言うように、ソーシャル系のボタンをつけるとかいう程度じゃなくて、このブログメディアの作り方を根本的に見直して、ユーザーがリアルな友達と情報を介してつながりを深めることのできるブログメディアにしなければならないと思う。具体的にそれがどのようなシステムになるのかは、まだ見えてこないんだけど、それこそがこれからの情報メディアの明暗を分けるのだと思う。真剣に考えていきたい。

 それとモバイル。今はPCウェブのおまけ的な考え方でモバイルをやっている。システム的にまだ不具合があるようで、どこかのボタンを押したら違うページに飛んだ、とかいう情報がまだTwitter上で流れている。

 ライブドアにはもう十分過ぎるくらい支援してもらっているので、こうしたことでライブドアをあまりせっついては申し訳ない気がしてたんだけど、やはりうるさく思われるくらいにこちらから働きかけていこうと思う。それがライブドアにとっても重要なことになると思うから。

 ソーシャルとモバイル。この2つのキーワードを核にTechWaveもライブドアもそしてあらゆるウェブサービスも、根本的なサイトの作り、サービスのあり方を変えていかなければならない時期にきているのだと思う。

 それにしても大きな変革期には、新しい時代のビジネスモデルに脱皮した企業は、脱皮できない企業から目の敵にされるものだと改めて思った。ゲーム業界のように。そしてZuckerberg氏の言うようにゲーム業界で起こっているソーシャル化による業界再編があらゆる業界に今後起こってくるのだとすれば、この時期に同業者から目の敵にされないようでは新しい時代を築けないのだと思う。

 実はTechWaveを批判する人って同業者が圧倒的に多い。「それでも記者か」「それでもジャーナリズムか」「内容のない記事だ」とか言われるので、どんな人が言ってるのか調べてみればほとんどが記者、ジャーナリスト、ライターだ。新しい領域に出て行かなければと焦っているのと、古い発想から脱却できない人の相手は過去10年ほどやってきてほとほと疲れているので、面倒なので「TechWaveはジャーナリズムではない」と宣言している。【関連記事:TechWaveはジャーナリズムではありません脱ジャーナリスト宣言ネットは新聞を殺すのかblog : ジャーナリズムという嫌な言葉

 でもこの時期においての同業者からの批判って勲章なのかもしれない。同業者からの批判歓迎。もっと目の敵にされるほど、情報発信の仕方を根本的に変えて行かなければならないのだと思う。

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Posted by tsuruaki


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