新定番はどれだ!世界が注目するソーシャルリクルーティングサービス8選【池見幸浩】

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[読了時間:4分]

前回に引き続き、池見幸浩さんからソーシャルリクルーティングに関する寄稿を頂きました。Linkedinにとどまらないこの広がりは、日本の幾分特殊な雇用市場にも風穴をあけるでしょうか?(本田)

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池見幸浩

 3,140人/329,132人=1%弱。図0

 この数字は一体何でしょうか?

 これは、2010年卒の就職者(329,132人)のうち、企業が実質採用したいと思う学生の実数(3,140人)を割った数字です。

 つまり、企業が採用したい学生は、学部を卒業して就職を希望する人の約1%でしかないという衝撃の数値です。(参考:週刊ダイヤモンド2011年2月12日号(44,45P)。週刊ダイヤモンド/人事コンサルティング会社エイムソウル社の推計による。)

 そして、この数値は「大手、中小含む国内の全企業はたった3,000人の学生を何百億円も消費し、取り合っている」ということも意味しています。

 こうした現状における新しい可能性の一つとして、求職者向けサービスであるSNSを活用した採用/就職活動が注目され始めています。

新卒者、中途採用者共に厳しい状態に

 実質の採用者数約1%というのは数値的に算出した結果であるものの、人事、人材ビジネスに従事される方々であれば、この数値がまんざら大げさではないということを肌で感じていることでしょう。

 この数字からもわかるように、限られた新卒採用求人を求職者同士で奪い合うのは、すでに制度疲労を感じざるを得ません。

 加え、求職者は新卒者だけではありません。先日発表されたスペインの完全失業率21.93%(!)には及ばないものの、日本国内の完全失業率も4.7%(2011年4月)という高い数値を示しています(岩手、宮城、福島は対象外)。これは、17ヶ月ぶりの悪化であり、中途採用領域においても状況が厳しくなっていることを端的に示しています。

期待が高まるソーシャルリクルーティング

 こうした背景から、求職者がご縁ある仕事と出会う手法として「SNSを活用した求職活動」が注目されるようになってきました。

 例えば先日、ソーシャルリクルーティングについての記事をTechWaveに公開したところ、とても多くの読者から反応がありました。この反応のほとんどが、ソーシャルリクルーティングという新しい採用の仕組みについて好意的で、採用側、求職側双方の興味と関心を集めていることを実感しました。

 実際に、SNSを活用した採用手法も着実に増えています。転職・中途採用・求人等に特化したFacebookページランキングは、Facebookページ上で求人を募集している企業について、「いいね!」と言っているユーザー数を元にランク付けしているものですが、このランキングに登場する企業の数は日を追う毎に増えています。

Linkedinだけではない求職者向けのサービス

 今回は、SNSを活用した採用手法であるソーシャルリクルーティングという「企業側」からの切り口ではなく、世界中の求職者向けサービスとなる「SNSを活用した就職・転職支援」サービスをまとめて紹介しましょう。

 世界で最も利用されている求職者向けオンラインサービスといえばLinkedinを代表とする「ビジネスSNS」「プロフェッショナルネットワーキングサービス」と呼ばれるSNSでしょう。企業が採用時に活用しているSNSとしても、やはりLinkedinがダントツです。しかし、その状況も少しずつ変わり始めています。

図1

 上記のデータは、JOBVITE社が2010年春にアメリカの採用業務の関係者600人以上に対して調査したもので、「企業がどんなソーシャルメディアを活用しているか?」という項目に関するデータです。同社の2009年のデータと比較すると、Linkedinの利用率が2009年95%から2010年78.3%と減少し、2009年には回答のなかったBlogやYouTubeという回答が増えています。このデータから、企業が採用活動で活用するメディアが多様化していることが分かります。

 そして、2011年。
 企業が採用のために活用する(=求職者が活用すべき)メディアは、より多種多様に分散されることが予想されます。以降は世界中で生み出されている様々なオンラインサービスの中から注目すべきサービスの一部を紹介します。

図2

図3 Linkedin

 「プロフェッショナルネットワーク」の代表格。2011年5月上場。従業員1,640人。日本でも2007年からデジタルガレージとの合弁はありましたが、最近、MIT Media Lab所長に就任予定の伊藤穰一氏が日本語版の立ち上げに参加することが明らかになりました。伊藤氏本人が「僕がMITのMedia Labに完全に移る前の最後の『実質的な仕事』」と述べるように、今後の日本法人の立ち上げがとても楽しみです。

図4 Xing

 同じく「プロフェッショナルネットワーク」サービスで2003年設立されました。2006年にドイツで初めてインターネット銘柄として上場しており、EUでは老舗のソーシャルリクルーティングサービスです。EU圏を主とした各国の同種SNSの買収でユーザー数を拡大し、早くから日本語にも対応しています。日本国内のユーザーとしては、欧米の外資系企業で働く方が多いようです。

図5 Branchout

 「Linekdin for Facebook」というコピーの通り、Facebook内でLinkedinと近しい機能を使えるというとても分かりやすいFacebookアプリケーションサービスです。今、世界中で最も盛り上がっており、これから世界はもとより、国内でも爆発的に増えるであろうと予想されるサービスモデルです。Linkedinに対し、どのように差別化を図っていくか今後の展開が注目されます。

図6 Bright Network

 高学歴の学生や、新卒向けのオンラインコミュニティーサービスです。イギリスの企業らしく「Social Recruitment Site」と表現し、ソーシャルリクルーティングとは言わないところがイギリス独自文化での発展の可能性を感じます。経営陣は人材ビジネスでの経験が豊富で、EUの独自性あるサービス展開がとても楽しみです。

図7 Ushi.cn

 中国発のビジネスネットワークSNSサービスです。特徴は、中国のインターネット企業の主要経営陣100人からの紹介でスタートしている点で、経営陣一覧が閲覧できるようになっています(リンクhttp://www.ushi.cn/doc.jhtml?key=fm_cm)。中国からはLinkedinに接続できないため、中国国内でのビジネス(プロフェッショナル)ネットワークサービス競争の展開が楽しみです。

図8 in the Door

 「Job search for the Facebook generation」というキャッチコピーで、ソーシャルグラフを活用して仕事を見つけるサービスです。Branchoutと基本コンセプトは同じ方向性と思われますが、デザインやユーザビリティに個性が感じられます。

図9 sumazi

 「Connect Intelligently」をコンセプトに、今まで会ったことがないが、会っておくと良い人を紹介してくれるサービスです。まだまだスタートアップの段階ですが、今後、「あなたにぴったりのキャリアコンサルタントは○○さんです」というように、紹介されるようになれば、新しいきっかけを生むサービスになるでしょう。

図10 namesake

 「Professional Networking Community」と銘打ち、当初は様々な分野のスペシャリスト同士の出会いの場として生まれましたが、徐々に会話を重視したコミュニティに進化しているようです。デザインや動きが他のサービスとは一線を画しており、「おっ!」と思わせてくれます。

国内でも新サービス続々

 少しずつ日本でも上記のようなSNSを活用した求職者向けサービスが生まれ始めています。おそらく、この夏には国内でも多くのサービスが切磋琢磨しながらより良いサービスを目指して展開していることでしょう。その中で自分の個人情報を預けるに足る、自分にぴったりのサービスを活用できれば、より良い未来へのきっかけとなるはずです。

池見幸浩著者プロフィール:池見幸浩(いけみ ゆきひろ)

株式会社garbs 代表取締役。
株式会社grooves 代表取締役。

2004年3月に3,000社以上が利用する国内最大の人材紹介会社向けのマーケットサイト「人財紹介net」の企画・運営を行なう株式会社groovesを設立。
2011年1月には国内初のソーシャルリクルーティングサービスの企画・運営を行なう株式会社garbsを設立。
現在、グループで世界19ヵ国、約3,500社のユーザーへインターネットサービスを提供している。

http://www.social-recruiting.jp/
http://twitter.com/Social_JOB