次世代AR(拡張現実)から個人情報ロッカーまで シリコンバレーベンチャー8選【湯川】

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 この春に「TechWaveと行く米国ツアー」を企画してFacebookや、Google、Twitterといった有名どころを訪問してきたのだけれど、こうした大手って訪問してもウェブ上に出ている情報以上のことを聞き出すのはかなり難しく、訪問してもその会社の雰囲気をつかむということぐらいしかできない、ということがよく分かった。つまりわざわざシリコンバレーに出かけても、大手を訪問しているようでは世の中の流れの、その先を読むことは困難だということだ。

 これからのイノベーションの方向性を読むのには、どういったベンチャー企業が誕生しているのか、ベンチャーキャピタルはどういったベンチャー企業に目をつけているのか、ということを調べたほうがいいのではないだろうか。大手IT企業も結局は自分たちでイノベーションを起こすのではなく、イノベーションを起こしそうなベンチャー企業を買収することで自分たちが最先端に立っていようとしているのが現状。

 そこで9月に実施する「TechWaveと行く米国ツアー」ではシリコンバレーのベンチャー企業に焦点を当てたツアーを組むことにした。

 その前に、ウェブ上で入手できる情報はできるだけ入手しておこうと思う。

 ということで今シリコンバレーで注目を集めているベンチャー企業を幾つか調べている最中なんだが、その中で面白いベンチャー企業が幾つかあったので、紹介したいと思う。

Flotype
05)

 カリフォルニア大学バークレー校を中退した19歳のエンジニアたちで作ったベンチャー企業。新興ベンチャーキャピタルのY-Combinatorから2万ドルの出資を受けている。リアルタイムアプリケーションを簡単に開発できるNowJSという技術を開発。創業してまだ半年だが今年度の売り上げが100万ドルに達しそうな勢いだという。

 詳しい技術の話はよく分からないので、分かる人のために技術の特徴の説明文をそのまま以下にコピペ。

NowJS creates a magic namespace “now”, accessible by server and client
Functions and variables added to now are automatically synced, in real-time
Call client functions from the server and server functions from clien

チャットルームぐらいならわすか12行のJavaxcriptで開発できるのだとか。


NowJS Introduction: Simple Chat Server in 12 Lines of Code from NowJS on Vimeo.

GetAround
23)

P2Pの自家用車共有サービス。近くに住む人から車を借りることができる。New Yorkで開催された前回のTechCrunch Disruptで優勝。車のカギを電子コードでスマートフォンで送受信する仕組みも開発。貸し借りの契約が成立すれば、スマートフォン向けに電子キーが送られて、車の近くでそのアプリを起動し、タップすれば、車のドアのロックが外れ、車にエンジンがかかるという。

Hotel Tonight
26)

 今日すぐに泊まれるホテルを検索できるアプリ。高級、格安、ポップ調の3つのタイプの中から、今日、今いる周辺で空室のあるホテルを探せる。ホテル側にとってみればできるだけその日の空室をなくしたいので格安料金をオファーすることが多いようだ。ラスベガス、ニューヨーク、サンフランシスコなどの都市で利用可能。米国メディアから絶賛されているアプリ。

Pinterest
01)

「写真版Tumbler」という感じ。ピンボード(コルクボードともいうんだっけ?)に好きな写真をどんどんピンで止めていく感覚で、自分のお気に入りの写真を収集していく。方法は簡単。Firefox、Chrome、SafariといったブラウザーにPinterestの機能を追加しておけば、好きな写真が見つかれば、クリック1つで簡単に収集できる。あとは他のユーザーが集めた写真を見て、趣味嗜好が同じようなユーザーをフォローしたり、というところは他のソーシャルメディアと同じ。

 特にアイデアが斬新というわけではないんだけど、非常に評判がいい。「早い時点で投資しておけばよかった」と後悔するベンチャーキャピタリストもいるのだとか。サイトのデザインがいいからなんだろうか。やはりUI、UXの競争になってきているということか。

DEKKO
27)

 米軍で15年間もARの研究を行っていた人物がYohan Baillot氏がCTO。現在同社はステルスモード(製品発表前の非公開フェーズ)なので、詳細は分からないが、スマートフォンのカメラを通して物体を認識し、その物体に関する情報を表示する技術のようだ。

同社がウェブにアップしているスライドによると、現在のARアプリの問題点として、屋内で利用できなこと、デザインが悪いこと、情報入手目的のものではなく体験を楽しむだけのものになっていること、などを挙げている。これからのARアプリは、新しいもの好きのアーリーアダプターのおもちゃとしてではなく、実際に役に立つ情報を提供できるようなサービスにすべきだ、というのがDEKKOの主張。そのためには、新しい高度な技術を加え、より優れたユーザーエクスペリエンスをデザインする必要がある、としている。

 さてどのようなアプリを出してくるのか。注目したい。

StypeSeat
39)

 美容、理容のサイト。地域のヘアスタイリストを検索し、気に入った人がいればその場で予約できる。ほとんど手付かずのマーケットなので、普及すれば大きな収益をあげることができるということで注目されているようだ。

 こうした手付かずのマーケットって、リアル店舗の領域では結構多いんじゃないだろうか。派手な技術が不要な代わり、地道なユーザー獲得、店舗獲得といった力技が必要な領域。外国のIT企業がなかなか参入できない領域だと思う。

iDoneThis
52)

 自己管理のツール。サイト上で登録すれば毎日「今日は何をしましたか?」というメールが送られてくる。それに返信すると、それがサイト上の自分のカレンダーに登録されるという簡単なサービス。アイデアや仕組みは簡単なんだが、使い勝手がいいのかシリコンバレーの著名人の間で人気になっているもよう。

11)

Singly
26)

 ネット上で発信する情報を1カ所に蓄積するという「my locker」プロジェクトをオープンソースで推進している。FacebookやTwitter上での書き込みやメールなど、自分が発信した情報をすべて「デジタルロッカー」に詰め込むというプロジェクト。

 最近ステルスモードから姿を表したばかりなので、具体的な技術は分からないが、APIを通じて各種サービスから個人が発信した情報をすべて取り込み、自分の「ロッカー」内に蓄積できるサービスになるのだと思われる。

 今は、自分が発信した情報はFacebookやTwitterといったサービスのサーバーに蓄積されている。過去に旅行の際に写真をアップしたことは覚えているが、どのサービスにアップしたのか覚えていないー。僕なんかでもよくある話だ。自分が発信した情報なのに、自分の思い通りに取り扱えないのが現状だ。
それを「my locker」で一元管理できるようになるのだという。

 創業者のJeremie MillerはJabberと呼ばれるサービスを立ち上げたことでも有名。複数のベンチャーキャピタルがSinglyを推薦しているという。

 ざっと見てきたけれど、傾向としては、より洗練されたデザイン、使い勝手を提供しているところが多い。やはりこうしたアプリ、サービスのユーザーがアーリーアダプターから、一般ユーザーへと拡大する中で、一般ユーザーに受け入れられるデザイン、使い勝手を提供するところが勝ち残る、というフェーズになっているのだろう。天才プログラマーより、優れたUI、UXのデザイナーが必要とされる段階なのだと思う。

 個人的には、Singlyのe lockerに興味を持った。まだまだ詳細が明らかになっていないが、どの程度使える技術になるのか興味がある。自分が発信した情報は自分のもの。自分で自由自在にコントロールしたいというニーズは強いと思う。このニーズに応えることができれば、プライバシー侵害の問題も軽減されるようになるかもしれないし、大きな社会インフラになるかもしれない。しばらくSinglyの動きを追っていきたいと思う。

 参考情報・米Business Insider:20 Silicon Valley Startups To Watch

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