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日記、ブログから始まった個人ユーザーの情報発信の波の最先端は、Twitterの140文字になりInstragramの写真になった。より手軽な情報発信に進化するにつれ、情報発信するユーザー数も増え、発信件数も爆発的に増加している。写真のその先は、どのような形の情報発信になるのだろうか。
米Facebookが出した答えは、アプリやプラグイン(ブログパーツ)によるログ(細かな記録、情報)の自動発信だ。
最初にどのような情報を自動的に発信するのか、だれに対して発信するのか、を設定しておけば、送信ボタンなどの操作を一切しなくてもログ情報がFacebook上に送付される仕組みだ。
このTechWaveでも「レコメンデーションバー」と呼ばれるFacebookのプラグインを早速実装してみた。まだ実験段階なので、読者のみなさんのブラウザでうまく表示されているのかよく分からないが(僕のブラウザでは表示されないんだけど、オカッパ本田のブラウザでは表示されるのだとか)、必要なコードはこのブログ上に埋め込んだ。これで「〇〇さんは〇〇という記事を読みました」という情報をFacebook上に自動的に表示できるようになった。
実装は非常に簡単。1行のコードをHTMLに埋め込むだけ。ただどういう形を「読み終えた」と認めるのかを、定義しないといけない。TechWaveでは画面を記事の一番下までスクロールダウンし、ページにアクセスしてから少なくとも40秒たっている状態を「読み終えた」と定義した。「記事下までスクロールダウン」「40秒」という値を入れたコードを埋め込んだので、これでうまくいけば(僕のブラウザはうまくいかないけど)レコメンデーションバーが右下に表示されるはず。最初に利用する際にだけ「読みましたという情報をFacebookに自動発信していいですか?だれに対して公開しますか?」という質問に答えなければいけないが、その後は記事を読み終えるたびに「〇〇さんが〇〇という記事を読みました」という情報が自動的にFacebookに発信される仕組みになっているらしい。
しかし僕なんか一日に何十本という記事に目を通すのに、そのたびに「湯川さんが〇〇という記事を読みました」という情報がFacebook上に表示されたら、僕の友人にとって非常に迷惑になるんじゃないだろうか。そこでFacebookは「ティッカー」と呼ばれる電光掲示板のようなコーナーを画面右端に設置した。これは「記事を読みました」というような些細な情報がリアルタイムで次々と表示されるコーナーだ。今後アプリなどからの自動発信が増えればティッカー上には滝のように情報が流れるようになるだろう。
またティッカーに流れる情報の中から、Facebookのシステムが重要と判断した情報は、画面中央の「ニュースフィード」と呼ばれるメインの情報コーナーに表示されるようになる。人工知能を使って重要と判断するもようで、どのような計算式なのかは明らかになっていないが、例えば複数の友人が同じ記事を読んでいるという事実があれば、その記事を重要と認識するというようなルールがあるようだ。詳しくは、Facebookのオープングラフの新機能とは【湯川】 : TechWaveをご覧下さい。
でもわれわれは、そんな些細な情報まで本当に発信したいのだろうか。
FacebookのCTO、Bret Taylor氏は、発信したいものだと主張する。人間はだれもが自分のことを友人に分かってもらいたいと思っている、と同氏は言う。Taylor氏は料理が好きらしい。週の大半は自分で料理するのだという。また健康にも気をつけているのでジョギングにも頻繁に出かける。そして何よりも、プログラマーであることが自分の誇りだ。こうした自分の異なる側面を、友人に分かってもらいたい。自分がどういう人間なのかを表現したいのだと言う。
しかし料理するたびに「今日は〇〇を調理した」とつぶやくのも面倒。ジョギングし終われば「今日も走った」と書く前にシャワーを浴びたい。プログラミングの進捗具合をいちいちつぶやく時間があるのなら、プログラミングに没頭したい。そこでレシピアプリでボンゴレスパゲッティの画面を一定時間表示していれば「ボンゴレスパゲッティを調理しています」と自動的に発信するように設定したい。スマートフォンを持って走れば、GPSで現在地を把握して「ゴールデンゲート公園を走っています」と情報発信するよう設定しておきたい。プログラミングの進捗具合をかいつまんで発信するようなアプリをパソコンに搭載しておきたい。
ブログを書く、140文字でつぶやく、写真を撮る、といったこれまでの方法よりももっと手軽に、自分自身を表現したいのだという。
見ず知らずの人の些細な情報はノイズでしかないだろうが、親しい友人の細かな情報は見ていても楽しい。実際の友人関係の間の情報のやりとりだからこそ、些末な情報でも楽しいのだ。それに友達のライフスタイルに触発されることもある。友達がダイエットにがんばっていることが分かれば、自分もトライしたくなる。アプリの自動発信で互いのがんばり具合を見ながら、励まし合うこともあるだろう。
友達が旅行の計画を自分に対して公開してくれているのであれば、旅行先のことで知っていることをアドバイスしたくなるだろうし、一緒に行きたくなるかもしれない。
同じ資格の取得を目指し勉強している者同士、進捗具合を教え合いながら励まし合えば、勉強が楽しくなるのではないだろうか。
これまで主に自分の記録用に使っていた各種ライフスタイルアプリが、ソーシャル化することでまったく別の体験が可能になるわけだ。
今回の新機能発表に合わせて、既にいろいろなライフスタイルアプリが新機能搭載を発表している。レシピ、ジョギング、旅行、イベントスケジュール管理、外食、テレビ番組コミュニティーやテスト勉強コミュニティー、少額集金サービス、ECアプリ、読書会コミュニティー、人脈開発サービス、空き部屋貸し出しサービスなど、ありとあらゆるライフスタイルアプリがFacebook上でのソーシャル化に対応しようとしている。
コミュニケーション、ゲームの領域を一変させたFacebook先導のソーシャル化の波が、前回の記事にあるようにメディア業界を襲い、そしてライフスタイルの領域まで大きく塗り替えようとしている。Facebookというソーシャルインフラが十分に普及した米国だからこそ次のソーシャルの段階へと進もうとしているわけだが、日本にもいずれこの波は押し寄せるのだろうか。
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