日本人が実際にシリコンバレーでスタートアップを起業して感じた真実 【増田(@maskin)真樹】

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[読了時間:2分]

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シリコンバレーベンチャー発祥の地、HPが創業したガレージ

 シリコンバレーで日本人が創業することはどういうことか。まず、そもそも日本人が北米で仕事を得るには就労ビザを取得する必要があり、やたらと変動する家賃やら文化の違い、そして資金だって不可欠だ。当然、日本から観光ビザで渡米していきなり「こんないいサービス作ってるんです、投資してください」と言われても無理というもの。この大変さは、やはりそこでチャレンジした人にしかわからない。世界という舞台で戦いたい人は、まずこういった現状を理解するところから始めた方がいい。

 ここで紹介する、fluxflexという会社は、日本人である26歳の久保渓氏が2010年に立ち上げたクラウドホスティングのサービスだ。2011年7月に開発者向けプラットフォームとしてサービスインを果たし、米TechCrunchにも取り上げられている。米国内の学生だった久保氏は、現地のスタートアップの展開形態に準じ、綿密なプランニングで早期のイグジット(売却)を狙っている。

 直前ではあるが本日、東京渋谷のミクシィ本社で「第1回 #fluxflex meetup 2010 in Tokyo」というイベントを開催するのとことで(すでに満席でキャンセル待ち中)、彼らについて触れておこうと思う。



 fullflexのオフィスは、シリコンバレーから100Kmほど北上したサンフランシスコの共同ワーキングスペースで、ミクシィから出向した井上恭輔氏、元ドリコムでソーシャルアプリを開発していた学生エンジニアが参加し3人でサービスを開発している。

 「単なる勢いだけでシリコンバレースタートアップを狙う日本人起業家とは違う」と彼らは言う。会社もシリコンバレーのスタートアップにおけるテンプレートに沿った運営を行い、数ミリオン程度というアーリーイグジットを目指しているなど具体性がある。

 彼ら3人の特徴は、全員がエンジニアであるということ。日本人エンジニアがアメリカ・カリフォルニア州にあるシリコンバレーに渡米して起業するには光もあれば影もある、しかし生の声は伝わっていないと井上氏は語る。

2011年は、日本のIT界隈でどんどんアメリカに出ていくべきという声が出ていますが、声を大きく海外に出るべきと言っている多くの人は、まだ実際に海外に足を踏み出していないし、そもそもエンジニアでは無いケースも多いと思います。

 筆者は、その意見に深く共感。実際に渡米して起業するとはどういうことなのか。最新の状況ということで以下のポイントで話を伺った。

・ビザの扱いはどのようにクリアしたか
・資金面の問題解決
・シリコンバレーで起業するメリット
・fullflexの目標と課題

ビザ

創業者の久保はアメリカの大学卒業後に起業したため、self-employed等も可能なOPTを利用し29ヶ月間の滞在許可を得ています。技術協力関係にあるmixiから出向しているエンジニアの井上はB-1ビザを使用しています。また、雇用したエンジニアにはH-1Bを申請しました。

(蛇足:日本人の米国就労関連ビザの発行は限定されている。留学生は期間限定で就労することができるオプションがある。B-1ビザは商業用ビザだが短期間に限定。H-1Bビザは、確か米国の雇用に影響の無い範囲という条件で、雇用主がスタッフのために取得するもの。詳しい部分は調べて頂きたいが、いずれにせよリスクを負って起業しているということになる)

資金面の問題解決

会社は普通にデラウェア州に設立して、最初の2010年06月~12月分は、創業者の自己資金を切り崩しながらやっていました。外部資金は約$450k(45万ドル)を2回(2010年12月、2011年09月)にわけて日本のエンジェル投資家(個人投資家)から優先株で投資して頂きました。

(蛇足:財務諸表は拝見していないので何ともいえないが、莫大な設備投資が必要な事業ではないとう観点見ると順調な資金調達という印象。ただ、おそらくビザやサービスの状況から現地投資家からは調達が難しいだろう)

シリコンバレーで起業するメリット

1. 多様なフレームワークが整備されているので、サービスコアに資源を集中できる。
2. イグジットを明確に意識した企業戦略を立てやすい。
3. 現地メディアでの掲載が、世界中のメディアに情報として波及する。
4. 日本から好意的に応援してくれる人がたくさんいるので、結果として日本のリソースにもアクセスしやすくなる。(優秀な人材、資金、メディア、ユーザー)
5. PaaSなどの日本にプロバイダーがいない市場の場合は特に、PaaSサービス間の提携交渉や情報交換のし易さはシリコンバレーでないと得られない。

(蛇足:非常に的確。世界で戦う上での拠点となりすい。しかも最近、日本人で応援する人が増えている。PaaSは注目されているのに日本では業界としての規模になっていないなど出遅れているので、こっちでないと成立しないなど。納得である。)

fluxflexの目標と課題

目標: ウェブ開発をもっと簡単で、素早く、楽しくできる世界にして、ウェブサービス開発をエンジニアのみの手に留まる世界から万人の手に届く世界にする。
課題: プラットフォームの安定、ユーザーサポート、Git以外の開発手段の提供。つまりは、ユーザーが安心してfluxflexを使うことができる仕組み作りが課題だと感じています。

 米国ではHerokuなどPaaSがとても注目されている。HerokuにはRubyのまつもとゆきひろ氏が入社しているなど日本人の関係も深い。業界のスピード感などから考えるとfluxflexの勝負はこの数ヶ月だろう。注目は現地有力企業に買収されるかという点か。日本人として心から応援したい。

 冒頭で説明したが、本日東京渋谷でfullflexによるセミナーが開催される。すでに満席でキャンセル待ちの状態だが、もっと詳しい生の声を聞きたい人は参加してみてはどうだろうか。

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第1回 #fluxflex meetup 2010 in Tokyo」
http://atnd.org/events/20450

イベント概要:
おまたせしました!開発者のためのホスティングエンタテイメント「fluxflex」の第1回ミートアップの開催です。今回の第一回fluxflex東京ミートアップでは、fluxflexのサービス紹介や内部実装・アーキテクチャー、今後予定されているアップデートなどの話だけでなく、日本人がシリコンバレーで起業して最先端の市場で競争する経験を通して得た、シリコンバレーでの起業に対する本音も語ります。

皆さんはシリコンバレーでの起業にどういうイメージをお持ちですか?シリコンバレーに行けば無条件に自由と夢が手に入ると思われていませんか?実際にアメリカに渡り、スタートアップを起業してから1年半、次世代PaaS「fluxflex」を開発したメンバーが、サービス紹介から実装、テクノロジ、果ては資本調達からイグジットまでまるっと全てを語りさらけ出します!

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主 催: fluxflex, inc. (http://www.fluxflex.com/)
協 力: 株式会社ミクシィ
日 時: 2011年10月06日(木) 19:00 ~ 21:30 (開場 19:00)
場 所: 株式会社ミクシィ 〒150-0011 東京都渋谷区東1-2-20 住友不動産渋谷ファーストタワー7F
定 員: 150名
参加費: 無料
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【関連URL】
・fluxflex, inc.
http://www.fluxflex.com/

蛇足:僕はこう思ったッス
10月8日のVANGUARDキックオフ直前のタイムリーなテーマのイベント。fullflexさんにはVANGUARDにも登壇してもらいたかったのだけど、もう渡米されてしまうとのことで残念。

著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。フリーで関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。“IT業界なら地方で成功すべき”という信念で宇都宮市から子育てしながら全国・世界で活動中。emacs使い。イベントオーガナイザー・DJ・作詞家。 / ソーシャルアプリ部主宰。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。

メール maskin(at)metamix.com | 書籍情報・詳しいプロフィールはこちら


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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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