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バイタリフィ
川勝潤治
TechWave塾の第8期のテーマも「アジア」だそうですが、私はアジアの中でもベトナムを強く推したいと思います。

各社がベトナム進出中。今後ますます加速か
・2011年10月、サイバーエージェント、ベトナムに拠点を開設 現地向けインターネットサービス提供を開始
・2011年9月、DeNAがハノイの開発会社パンチ・エンターテインメントを買収(PDF)
・2011年6月、GMOがハノイの開発会社ランシステムを買収(PDF)
GMOとDeNAは突然の買収だったので私も驚きましたが、サイバーエージェントは数年前よりVCの拠点を持っており、現地の有力企業に投資実績があります。
スタジオの設立では日本の有力企業が10~20社程度、この1年以内に進出すると聞いています。実際我々が関与させていただいている企業も数社あります。
視察にお越しいただくレベルだと週に3社くらいでしょうか。特に視察誘致の営業などはしていませんが、ひっきりなしに来られているという印象です。
スタジオとしてのベトナムの魅力
まず一番大きいメリットは、国策としてIT技術者の養成に力を入れていることです。結果、IT技術者が非常に多いです。日本国内でもシリコンバレーでも「エンジニア不足」とはよく聞きますが、ことベトナムにおいて、エンジニアはまだまだ充分な供給力があります。
WEB求人媒体も発達しており、普通の条件で募集すれば100人規模で応募が見込めます。また人材は比較的流動性があるため、経験者の即戦力もいます。英語・日本語が堪能な人材もそれなりにいます。
またエグゼグティブサーチも専門会社が数社あり、マネジメントクラスの採用も可能です。
ちなみに技術水準もコーディングであれば日本人よりスピードは上と言われています。
賃金の水準は、
理工系の新卒エンジニア22歳:3万円未満
実務経験3年程度のエンジニア:3~5万円
同、スキル高い、英語可、リーダー経験、ブリッジ可能:5~10万円
上記複合スキル、日本語可、マネジメント経験:10~15万円
といったところでインフレが懸念されている国ではありますが、賃金はまだまだ低水準です。
ちなみにバイタリフィアジアの平均月給は5万円程度です。
マーケットとしてのベトナムの魅力
ベトナムは中国とASEANを結ぶ絶好の位置にある上、沿岸部が長いため、生産・物流拠点として大きな注目を集めています。
人口約8500万人、国民の平均年齢が30歳未満、1960年代の日本の状況と酷似しており、ゴールドマンサックスによるNEXT11にも入っています。歴史的に見てもマクロ経済的に見ても成長余力が疑われることのない国です。
またシンクタンクの調査によると、タイ・ラオス・カンボジア・ベトナムの4ヶ国を「メコンデルタ経済圏」と言い、人口1.8億人のマーケットと見立てています。興味深いのが、「南北回廊」「第1東西回廊」「第2東西回廊」と国境をまたいで道路が繋がることです。
「南北回廊」は中国の昆明~ラオスのビエンチャン~バンコク、
「第1東西回廊」はベトナムのダナン~ラオス~タイ~ミャンマーまで、
「第2東西回廊」はホーチミン~プノンペン~バンコク、、、
とメコンデルタ地区の物流がダイナミックに結びつきます。

このメコンデルタ経済圏においてイニシアティブをとるのがベトナム(ホーチミン)と言われています。
タイとの綱引きという人もいるようですが、このあたりをよく旅した身としては最もパワフルな人・街という意味では圧倒的にベトナム(ホーチミン)だと思います。
メコンデルタ経済圏が1.8億人のマーケットということは日本の約1.5倍のマーケットですが、ホーチミンに進出することで将来的には東京進出の1.5倍の効率がよいということになります。
親日性、親和性
ベトナムの面積は約33万㎢ですが、約38万㎢の日本とサイズも国土の形状も似ています。
ベトナム人は国民性も日本人と似ており、「真面目で勤勉で手先が器用」「チームプレーが得意」などの特徴があります。
・政治的にも良好な関係です。領土問題などの政治問題や貿易摩擦などの経済問題といった懸念事項がない。
・日本は最大の投資国:対越累計投資額が実行ベースで世界第1位、ODAによるインフラ整備
・親日的な感情を持っている:日本文化がベトナム人の生活に深く浸透、日本の戦後からの復興、高度経済成長に対する親近感
とにかく飲み会や旅行など、みんなでわいわいするのが好きな体育会ノリの若者の集まりです。一緒に仕事をしていても楽しいしパワーをもらえる、素敵な仲間達です。
「ベトナムを制する者がアジアを制する」
なんとなくイメージ頂ければ幸いです。
川勝潤治(かわかつ・じゅんじ)
1972年大阪生まれ
学生時代に東南アジア~中近東にかけてバックパッカーとして旅した経験を持つ起業家。
1995年3月神戸大学卒だが、阪神大震災時(1995年1月17日)はたまたまベトナムを旅行中で、ベトナムに命を助けられたと思っている。
大学卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ)入行、法人の新規開拓などを担当。2000年起業のため単身東京へ。IT系企業を立ち上げるも2.5年で頓挫。その後ベンチャー企業で修行し、2005年バイタリフィを設立、社長に就任、現在に至る。
President & CEO Vitalify Inc.
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