- 「ソラコム」がスイングバイIPOを実現、東証グロース市場上場承認 - 2024-02-22
- (更新)結果速報 LAUNCHPAD SEED#IVS2023 #IVS #IVS @IVS_Official - 2023-03-09
- 「始動 Next Innovator 2022」締め切りは9月5日(月)正午ー経産省・JETRO主催のイノベーター育成プログラム #始動2022 - 2022-09-01
[読了時間:2分]
NHN Japanのチャットアプリ「LINE」のユーザー数が世界で2500万を突破した。つい先日(3月5日)に2000万を突破したばかりでこの快挙。現在、209か国にユーザーがおり多言語対応やマルチプラットフォームなどを推進し2012年中に世界で1億ユーザーの獲得を目指すとのこと。
ここまでくると業界人もじっとはしていない。「LINEはここがいいから成長した」論が噴出し、成長の理由探しが始まった。よく「LINEは広告費で成長した」という人を見かけるが、それだけが火つけ役だったわけではない。そもそも当初中東やアジア地域での成長の理由は見えなかった状態、つまりクチコミ主導で世界に広がっていったという事実がある。
「実際、ほとんどの人がピンときてなかった」
ちょうどこの発表があった28日の夜、筆者はNHN Japanのウェブサービス本部 執行役員/CSMO 舛田淳氏とチャットでメッセージを交わしていた。
チャットのきっかけは、筆者の「LINEがリリースされた2011年6月の時点で、このサービスが普及する可能性を秘めていると断言した人はいなかった」という話。舛田氏は「実際、ほとんどの人がピンときてなかった」と返答した。
舛田氏はリリース時に筆者が執筆した「家族・仲間との絆をグループチャットでケアしよう! NAVER「LINE(ライン)」がイイっす 」という記事を引用し振り返ってくれた。以下、その記事の冒頭から。
「ソーシャルなんたら、シェアなんたらの前に、仲間とか家族とのコミュニケーションを円滑にすべきだよねー」という話を、筆者の周りで最近良く聞くようになった。確かに、私達は日々の生活の中で、不特定多数の人と出会いまくるわけではなく、家族や会社の同僚、気の合う仲間とのコミュニケーションが生活の中心に据えているのが現実だ。にもかかわらず、ふとそういったサービスを見渡すと、(中略)、、手頃で便利なものが見あたらなかったりする。 (中略) 、、、、
LINE(ライン)の魅力を表わすキーワードは「絆」。親しい人や家族への意思の伝達を簡単に行うことができるのが特徴のプライベート・グループ・チャットだ。
当時、舛田氏から “的を射た記事だったので社内に共有した” と教えて頂いた。もちろん、言い当てたというのは結果論に過ぎない。ただ、この分野に先行してフォーカスしたのは事実で、当時同社はスマートフォンに集中するとしていたし、タッチ&フィールが重要なこの分野でUI/UXデザインにかなり注力していた同社だけに、LINEは十分に評価できると判断していた。というわけで、これまでの取材や実験活動の中で見えていたものがあるので、この機会に振り返ってみようと思う。
LINE 9ヶ月、2500万の軌跡
まず、LINEのリリースは2011年6月27日のこと。この際、オープン系サービスばかりが注目される中、携帯電話番号をユーザーIDとしたプライベートのコミュニケーションにフォーカスしている。
東日本大震災直後、幹部は関東を離れ、社員も自宅待機という状態となった。当時、多く支援サービスが登場したが、そもそも被災地はネットはつながらず、相手と直接つながるものは携帯電話の番号くらい。こういったことが、この方向性を確定的とさせたと考えられる。
TechWaveでは7月13日に開催したイベント「花テック」で、スタッフの連絡手段としてLINEを導入。LINEを使った鬼ゴッコイベントなども展開。メールでもオープン型チャットソフトでもない使い勝手は、自然とコミュニケーションの一形態として利用できた。
サービスインから3ヶ月の9月末の時点で100万ユーザーを突破。すでにこの時点で、日本以外の国、中東、韓国、アメリカ、アジア、欧米圏でダウンロード数が急増している状態。10月4日には3G回線通信時でも使用できる通話機能が搭載され、社内では音質向上に注力すべく専門のチームを結成した。この際、現在人気のスタンプや絵文字機能も実装されている。舛田氏は「LINEはグローバル展開をする最重要アプリに位置付けた。プラットフォーム化を狙っていく」と発言した。
筆者はこの際「ユーザーの7割が女性」というデータを見て、創業期のmixiを思い出した。当時、ネットエイジ関係者でmixi100番目のユーザーである筆者は、mixiが全国の女性の口コミでジワジワ拡大していった経緯を生で見てきたが、その時と同じ過程を踏んでいるのではないかと感じたのだ。
その後はまさにジェットコースター。10月14日には200万ダウンロードを達成。10月17日には300万ダウンロードを達成した。
この頃の舛田氏は「誰がこんなにLINEを宣伝してくれたんだろう。」「確変状態。ユーザーがユーザーを呼び込むステージに入ったね。」といった発言をしており、まだ確証がつかめないものの成長段階に入ったことを確信していたようだった。
ところが10月19日、まさかのiPhone版のダウンロード停止。急成長に待ったがかかったが11月1日に再開。11月8日には500万ダウンロードを達成した。この時点で、世界108か国に利用者がいた。
その後は2012年1月17日に1500万ダウンロード、2012年3月5日に2000万ダウンロード。3月7日にPC版とタブレット版がリリース。そして3月27日の2500万登録ユーザーの発表である(ダウンロードという表現から登録ユーザーという表現方法が変更されている)。
ここまでが2500万ユーザーの簡単なストーリー。今後は2012年中に1億ユーザーを目指すというのだが、この伸びを見るとあながち大袈裟な話でもないだろう。
【関連URL】
・TechWave内「LINE」関連記事
http://techwave.jp/tag/line
・LINE(ライン)- グループコミュニケーションサービス
http://line.naver.jp
・App Store – NAVER LINE
http://itunes.apple.com/jp/app/line/id443904275?mt=8
・Android – NAVER LINE
https://market.android.com/details?id=jp.naver.line.android
いうわけでこれまでの経緯をお伝えした。ここまで普及してもビジネスメール変わりにならないのは、ビジネスはある主の公的要素があるのだと最近考えている。つまりLINEがカバーするのはあくまで個人の生活圏。というわけで筆者なりの注目点を箇条書きで整理してみたい。
1. 携帯電話番号を軸に生活の中心にある「家族や会社の同僚、気の合う仲間とのコミュニケーション」にフォーカス
2. UI/UXデザイン重視
3. 国内のテコ入れにCMを投入するなど適切なマーケティング施策
4. 2012年1月NHN Japanに合併。リソース集中投下。
5. 各国の通信事情や華僑のような国をまたがるコミュニティに対し機能的にフィット
6. 既にAPIがあるが、それを軸としたプラットフォーム化を計画している
特に「1」「2」「5」は2500万ユーザー獲得の要因といえると思う。それ以外の決断とスピード、そして実行力の高さから判断した上で2012年内1億ユーザーの可能性は高いと思う。
その後の話だが、おそらくプラットフォームについては2012年夏過ぎ頃に形が見えてくるだろう。さらに同社のUI/UX力はデバイスデザインにも影響力をおよぼし、将来は携帯ライクなLINEデバイスなども考えていると思う。MVNO連携で、より携帯っぽいネット端末&サービスとして個人の 生活圏に入ってくるのではないか。(ズバリ?)
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 DJ、emacs使い。大手携帯キャリア公式ニュースサイト編集デスク。TechWaveでは各種イベント、創出支援、スタートアップ支援に注力。メール等お待ちしております! (宇都宮市在住)