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今週後半に予定されている米Facebookの新規株式公開(IPO)だが、英BBCによると企業価値が1000億ドル(8兆円)を超える可能性もあるという。ディズニー、フォード、Kraft Foodsを超える時価総額になるもよう。
Facebookは創業8年。ユーザー数約9億人。昨年の利益は約10億ドル。単純計算しても企業価値の1000億ドルを稼ぎだすのに100年もかかる。
Facebookって何がそんなにすごいのだろうか。
一般ユーザーの評価は冷ややか
米CNBCのアンケート調査によると、Facebookのマネタイズに関して明るい材料は見当たらない。5月3日から7日にかけてAP-CNBCが18歳以上の約1000人を対象にしたアンケート調査によると、Facebook上の広告を「ほとんどもしくはまったくクリックしたことがない」と答えた人は83%に上った。うち一度もクリックしたことがない人は57%だった。一方で、頻繁にクリックすると答えた人はわずか4%。CNBCの記事によると、専門家はベンチマークとすべきクリック率を2-3%と考えており、それよりわずかにいいだけだと評している。
また「Facebookは今後も成功し続けると思うか」という問いに対しては「長期に渡って成功し続けるだろう」と答えた人は43%。一方で「あたらしいモノが登場して、次第に消えていくだろう」と答えた人が46%もいた。
「企業としてFacebookはどのように評価されていると思うか」という問いに対しては「市場から妥当な評価を受けている」と答えた人は32%に過ぎず、50%が「過大評価されている」と答えている。
「Facebookが個人情報をプライベートなままキープできると信頼しているか」という問いに対しては「ほとんど、もしくはまったく信頼していない」と答えた人が59%にも上った。
「Facebookを通じてモノやサービスを購入することを安全だと感じているか」という問いに対しては54%が「まったく安全ではない」と感じているようだ。
2年ほど前に「FacebookがGoogleを超えて次の時代の覇者になる」と主張すると、「Facebookって何がそんなにすごいんですか」という質問を受けた。「Facebookが表示するような広告はそれほど効果があるとは思えない。収益化に成功しそうじゃないのでGoogleを超えられない」という反対意見ももらうことも多かった。
史上最高額のIPOを実施しようという今日でも、2年前と状況は変わっていない。Facebookはそれほど巨額の収益を上げているわけでもなく、ユーザーも広告をクリックしているわけではない。
では何がすごいのか。
2年前に僕が言ったのは、次のような話だ。
情報の流れが変わる。マスコミに代表されるような上から下への一方通行ではなく、ユーザー同士の横のつながりで情報が流れるようになる。その横のつながりの情報の流れの上に、広告、マーケティングが乗りモノやサービスが売れるようになる。その横の情報の流れのインフラになればFacebookは大きな収益を上げることが可能なんだ。
この思いは今でも変わっていない。Facebookはものすごい可能性を持っている。ただ2年経った今でも、Facebookが持っているのは可能性だけだ。実際には、広告、マーケティング、物販は、まだ横の情報の流れの上に乗っていない。
ただ2年前よりも状況は進歩した。より多くの人がFacebookを利用するようになった。またどのように情報が横に流れているのか、というデータも大量に入手できるようになった。そのデータを解析し、効果のある広告、マーケティング手法が編み出されるようになる日もそう遠くない。(関連記事:インフルエンサーより「仲のいい少人数グループ重視」の時代へ 書評「Grouped」【湯川】)
投資家はその可能性に賭けているわけだ。なので一般ユーザーよりもFacebookを高く評価しているのだと思う。
さてこのようにIPOという形で、時代の覇者がだれの目にも明らかになったころには、次の時代の覇権争いが水面下が進行しているものだ。
Facebookの次の覇者候補は既に姿を見せ始めた。(関連記事:Facebookの次の覇者は中国、インドから?それともグリー、モバゲー、LINE?【湯川】)
ところが次の覇者の候補は英語圏以外の領域で勢力を拡大し始めたので、欧米の投資家にはなかなかその状況がつかめないようだ。
時代はPCからモバイルへ急速に移行し、ITのイノベーションセンターは欧米からアジアへと移ろうとしている。
Facebookの覇権はそう長く続かないだろう。
関連記事:ユーザー1億人の中国Weixinが大幅バージョンアップ グローバル版を「WeChat」に改名しFacebookの次を狙う【湯川】