事業者は百花繚乱、決済・物流が課題ーインドネシアのEC事情1【本田】

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2012年6月7-8日、インドネシアのジャカルタで開催されたStartup Asia Jakarta(TechInAsia主催)。少し時間が立ってしまったが、今回は同国で最も注目されるECについて。

 インドネシアのECを語る上で最も大きな問題の一つが、決済と物流である。また、オンライン商取引に対する不安が払拭されていないことも、大きな障壁となっている。

 まず決済。クレジットカードはほとんど普及していない。各銀行が独自に用意したオンライン決済サービスは、相互連携がされていない。そのため、EC事業者側はその一つ一つに対応し、実装作業をしていく必要がある。また、取り引きの信頼性を確保するため、エスクローや自社サイトで流通出来るポイント制度や、E-wallet(デジタル通貨)などを事業者が提供しているのが現状。

日本のVCが熱視線を送るTokopedia

 インドネシアでは、スタートアップを始め、多くのEC事業者がしのぎを削る。次回の記事で取り上げる楽天インドネシアを除き、TokobagusMultiply IndonesiaBukalapakなどCtoCサービスが多いのも特徴だ。そして、登壇した企業の中で、日本のVCが熱視線を送っている事業者がある。それがTokopedia(トコペディア)だ。East Venturesに始まり、Cyber Agent Ventures(CAV)、ネットプライスKlab Venturesからの出資を受けている。


 Tokopediaは2009年に創業し、個人や中小企業を対象としたCtoCのコマースを行なっている。代表のWilliam Tanuwijaya氏によると、創業当時は、オンラインでのコマースには詐欺への不安など懐疑的な声があったそうだ。それは完全にはなくならないかもしれないが、エスクローサービスを提供することなどで、そういった問題の解決に努めているという。今後の課題はと聞くと、やはり決済などエコシステムの充実との答えが返って来た。

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Tokopedia代表のWilliam Tanuwijaya氏(Photo:Masahiro Honda)

 なお、Tokopediaについての指標は以下に言及がある。

 サービスの主要指標について聞いてみると、Tokopediaの共同創立者であるWilliam Tanuwijayaは、Tokopediaのアクティブな出店者数は1万6390件、訪問者数は月間80万人以上、2012年3月の月間取引総額は99億インドネシアルピア(約8,230万円)にのぼると答えた。
http://www.startup-dating.com/2012/04/tokopedia-netprice-investment/

 インドネシアのCtoCのECとしては最大と目されている。

 VC側の意見として、CAVインドネシア代表の鈴木隆宏さんにも伺った。

CAVがTokopediaに出資しようと思った理由
 私たちは、Eコマース分野が必ずインドネシアでも伸びると考えています。特にEコマースの中のC2Cのマーケットプレイスは、インドネシアにおいて一番初めに伸びる分野であると考えているからです。中国のEコマース市場を見ていてもTaobaoの成長によってEコマース全体が盛り上がっていたと言うのもあります。

2人の経営チームとビジネスをして感じたこと
 非常に熱いパッションとクレバーさを持っていました。この市場において勝つために最適な経営チームです。彼らは、非常に努力家であると感じています。他国の事例をなどを徹底的に研究し、疑問を疑問のままにせず、一つ一つの壁をしっかりと乗り越えて行っています。成果を出すことにとにかく貪欲で、仕事に取り組んでいます。このチームであれば、インドネシアにおけるNo.1のEコマースになれると思いますし、そうなるために僕自身も経営陣の一人としてコミットしたいと思っています。

インドネシア最大のネット企業も参戦

 Kaskusは、掲示板やフォーラムを中心としたインドネシア最大のネット企業だ。毎月3000万弱のUU、約10億のPV、月商75億ルピアに上る。(1円は約120ルピア)

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Kaskus創業者のAndrew Darwis氏(左・Photo:Masahiro Honda)

 Kaskus上では毎日、情報の共有やクラシファイド広告によって個人間による何らかの取り引きが行われている。ジャカルタ在住のあるユーザーによると、お互いがジャカルタ同士であれば、対面での商品の受け渡しをする”OtoO”も盛んで、同様に「出会い」も起きているそうだ。

 これまでECとしての整備をしてこなかった同社が、ECに本腰を入れ始めてきている。決済システムKaspayを2009年に導入。現在は、サイト内にアドセンスのような広告を出せるKaskus Adsの課金用に使われている。

 9月にリリース予定のECサイトでは、KaskusのIDと紐付いたKaspayがその決済システムとして使われる。同氏によると、トランザクションフィーは0.5%、毎月100万アイテムの取引を見込んでおり、広告以外の収益を強化するという。

蛇足:私が思うに、
  今回は取り上げませんでしたが、ケニアで広まったSMSによる個人間送金・決済サービスのM-Pesaのインドネシア版を作ろうとしている事業者もいました。今回の登壇者では、マイクロファイナンスよりのVAIAと、インドネシアでPaypal的な立ち位置を目指すUNIKの2つです。

 湯川さんの記事(モバイル送金、モバイル金融はインドからアフリカ、そして世界へ【湯川】)にある通り、インド発の類似サービスもアフリカへ進出しましたが、あっという間に、先進国を相手にしない(M-Pesaは英Vodafoneとの合弁ですが)アフリカ発のサービスがアジアへ一気に普及する時代になって来ました。

著者プロフィール:本田正浩(Masahiro Honda)

写真家、広義の編集者。TechWave副編集長
その髪型から「オカッパ」と呼ばれています。

技術やビジネスよりも人に興味があります。サービスやプロダクトを作った人は、その動機や思いを聞かせて下さい。取材時は結構しっかりと写真を撮ります。

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iiyamaman[at]gmail.com