世界規模の学生技術コンテスト「Imagine Cup(#イマジンカップ) 2012」、社会問題をテーマにシドニーで最終決戦 【増田 @maskin】

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[読了時間: 2分]

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 米Microsoft 創設者 ビル・ビルゲイツが “学生達に自分のアイディアや技術を発表する場を提供したい” と2003年から定期的に開催されてきた技術コンテスト「Imagine Cup (イマジンカップ) 2012」。その世界大会が、7月6日よりオーストラリアのシドニーで開催されている。

 コンテストの今年のテーマは社会における「困難な課題を見つけ、ソリューションを考え、IT で解決する」というもの。記念すべき10年目の本会は、世界の180 を超える国と地域で35万人もの学生が参加、その決戦を勝ち抜いたチームが会場に集まり最後に戦いに挑んだ。

 日本からはソフトウェアデザイン部門に東京工業高等専門学校 Coccoloチーム「All Lights! ~可視光通信による省電力照明システム~」、ゲームデザイン部門にトライデントコンピュータ専門学校 チームブロッサムの「B­l­o­o­m­­*B­l­o­c­k 」、バンタンゲームアカデミー Esperanzaチーム「BLUE FIELD」がシドニー入りしている。

それぞれが抱える問題を、それぞれ解法で導こうとする


 会場はシドニーの観光スポットとしても人気のCockle Bayに隣接する「Sydney Convention and Exhibition Centre」で、主催のマイクロソフトは湾を覆うように大量の「Imagine Cup」の旗を掲げている。そんな会場内はまさに世界の縮図。「世界に出る」とは、そこにいるプレイヤーと協調しながら成長し続けるのだということを、肌で感じられる貴重な体験となった。

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 さまざまな社会的課題や問題を感じたり直面している世界中の国の学生。彼らは「ITで世界を変える」というメッセージに一体となり、時には共に喜び、励ましあいコンテストに挑んだ。

 コンテストは基本的に審査員に対するプレゼンテーションが基本。大きくはソフトウェアデザイン部門とゲーム部門に分かれ、会場内のあらゆるミーティングスペースで同時進行で審査が進められていく。平行して全部門を一箇所に集めた展示会がプレスや学生向けに開催され、決勝ラウンドまで進出すると、展示ブースでの審査が実施されるなど、幾度にも渡る審査により、優勝者が選定されていく仕組みだ。

 マイクロソフト製品を活用するという条件はあるものの、逆に技術やプラットフォームの選択に惑わされることが無いため、ほとんどのプレゼンテーションがテクノロジー解説ではなく、課題設定や目的をどう具体的に実現するかという内容にうまくまとまっている印象。そのためか、プレゼンテーションは各国の社会的背景が色濃く反映されたものだった。

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ナイスなキャラで会場を沸かせたスロベニアFaculty of Computer and infromation Science, University of Ljubljanaの「Osmosis」は、洪水被害からの復興が社会に深い傷を残したことを受けサービス開発をスタートした

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日本から出場したEsperanzaチーム。災害復興を再現するゲーム「BLUE FIELD」は、まさに東日本大震災からの復興をモチーフとしていた

チームと技術レベル、そして熱いハート

 例えば、流通構造や人口の急増などで食料不足が社会問題となるバングラデシュのBUET, American International University「Team Engine」は、Windows PhoneとWindows Azure クラウド等を活用し、土地生産性を向上させようとしている。プロダクトはシンプルなものだったが、大きな視野を持つ課題設定が注目された。
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 一方で、デバイスやインターフェイスの力をうまく応用する作品が多く、その完成度に注目が集まっていた。たとえば、こちらはキプロス University of Cyprusの「Bright Sight」。Windows Phone用のメッセンジャーアプリだが、点字の入力と出力が可能になっている。

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点字で出力されたメッセージ。点に触れるとバイブレーターが動作するため、その情報を指で知ることができる

 マイクロソフトの社員からも驚かれた活用方は、Windows Phoneの電子コンパスを使った「地雷探知アプリ」。これはポーランドのWojskowa Akademia Technicnzaの「Team ARMED」によるもの。磁場の歪みを利用して、埋没された地雷を検出し、GPS連携でその位置をクラウドに記録。ソーシャルメディア活用でその情報を共有するという。
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ただし、測定できる距離に制限が出てくるため、より危険を回避するための外部接続デバイスも開発中

 こちらはインドネシア Institut Teknologi TelkomのTeam Malabarによる「BrainStat」。半カスタムの脳波センサーを使い、ドライバーやパイロットの疲労や集中力の低下、ストレスといった状態を監視することで、事故を現象させようという考え。
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 展示会場で注目されていたのが、ポルトガルのUniversidada da Beira Interior 「wi-GO」というキネクトセンサーを使った車椅子。これは自立移動に困難を抱える障害者を支援する目的で開発されたもので、特定の人に自動で追尾するなどの機能を実現している。
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単にキネクトを使用しました。だけでなく、それ以外にも複数のセンサーを多様し、複雑なプログラミングにより安全性を高めている

 これ以外でも、キネクトを使い、障害者の治療やリハビリ支援に役立てようとするソリューション型ソフトウェアが目立った。いずれもアイディアだけでなく、実用レベルまでつき詰めていたのが印象的だった。

日本チーム奮闘中

 日本チームはというと、現時点で、ゲームデザイン部門にトライデントコンピュータ専門学校 チームが「TeamBlossom」が決勝進出が確定している。ソフトウェアデザイン部門で東京工業高等専門学校のCoccoloチームが「All Lights! ~可視光通信による省電力照明システム~」が第二ラウンドに進出中だ。

 両チームとも企画の魅力はもちろん、技術力があり、完成度の高さが評価されているようだ。特に、チーム「Cocolo」のプレゼンテーションの奇抜さと、質疑応答におけるチームワークの素晴らしさに賞賛の声も上っていた。

 彼らは、プロダクトの魅力を伝えるため、当初は不可能とまでいわれた展示装置の輸送に成功。それが功を奏して、展示会場では圧倒的な人気を誇っていた。

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時には厳しいコメントをぶつけてくる審査員。プレゼンに同席する、Coccolo メンター 東京工業高等専門学校 情報工学科 准教授 小嶋徹也氏は、落ちつかない様子で見守り続けていた

 日本チームの奮闘はまだまだ続くので、応援サイトから是非エールを送って頂ければと思う。また、筆者は、各国の様子などを引き続きレポートしていく予定だ。

【関連URL】
・Imagine Cup 2012 応援サイト | マイクロソフトの企業市民活動
http://www.microsoft.com/ja-jp/citizenship/lse/imaginecup/default.aspx
・イマジンカップ世界大会 学生レポーター募集!
http://blogs.msdn.com/b/microsoft_japan_academic/archive/2012/04/24/msp-japan-social-media-member.aspx
・Windows 8 Metro スタイル アプリ 開発週間 [TechWave記事]
http://techwave.jp/archives/51740586.html
・Windows 8 Consumer Preview
http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows-8/download
・デベロッパーセンター ~ Metro スタイル アプリ
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/apps/
・MSP フェローシップ募集ページ
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/academic/hh455211

蛇足:僕はこう思ったッス
12年ぶりの海外。以前は頻繁に渡航していたので淡々と現地入りしていたが、Imagine Cupの会場が見つからず迷っていると、米Microsoftから来たお二人に助けられ無事たどりつけた。彼らはもちろん、来場している全てが一体感を持ってイベントを楽しんでいることに、ものすごく感動した。
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会場は欧米から中東、アジア、オセアニアまで世界中の人が行きかう環境にあり、まさに世界の縮図であった。ITを通じ、誰もが同じスタートラインで未来を創造しようとするこの雰囲気は、世界を見つめ直すためにとても大切なエネルギーとなるように思えた。
著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。TechWaveでは創出支援に注力。エレベーターピッチ絶賛受け付け中! (まずはAirTimeでどうぞ!)

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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