今、何が起こっている?インドネシアの2013年インターネット市場予測 【CAVジャカルタ代表 鈴木隆宏 @takabos】@maskin

Indonesia, News


[読了時間: 2分]

編集チョより:インドネシアから鈴木隆宏さん登場です
新生TechWaveの寄稿者、サイバーエージェントベンチャーズ(CAV)のジャカルタ事務所代表 鈴木隆宏さんからのインドネシアレポートです。一定期間寄稿して頂きつつ、TechWave.jpリニューアル時には専門コーナー化したいと考えています。それではどうぞ!

今、何が起こっている?インドネシアの2013年インターネット市場予測

 今日は、インドネシアの2013年のインターネット市場予測をしたいと思います。2012年までの振り返りを中心に、読者の皆さまにも”これから”を考えるヒントとなればと思います。

 ご存知の方も多いと思いますが、インドネシアは人口約2億4千万人と世界第4位。人口の多さだけではなく、2009年の世界的な景気後退の中でも堅調な経済成長を続け、中国やインドと並ぶアジアの高成長国として注目を集めています。

 若く豊富な人口と高い潜在成長力を持つため注目する外国企業が増えており、様々な産業が立ち上がりつつあり活況を見せています。 勿論、インターネット市場に関しても現在、急速に成長しており非常に高い成長ポテンシャルを感じています。

インターネット人口の国別成長率

*Source:United Nations /International Telecomunication Union / internetworldstars.com

 2012年のインドネシアのインターネット人口は、約5,500万人いると言われています。上記データの注目すべき点は、2008−2012年の間に3,900万人増加しており、世界3位の成長数を誇っていること。

 それにも関わらず普及率は、未だ23%と他国と比較しても低く、今後の更なる成長が期待出来ると考えられます。

eコマース市場への参入激化

 次に、インドネシアのWeb サイトについて簡単に触れたいと思います。

 現在、数多くのジャンルの中でユーザーを集めているのは、FacebookやTwitter等のソーシャルメディアや「Detik.com」等の大手ニュースポータルです。2011&2012年は、インドネシアにおけるeコマース元年で、2012年には多くの企業が参入し始めています。

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 元々、掲示板を通じて商品の売買情報のやり取りを行うクラシファイドモデルの「Kaskus」や「Tokobagus.com」がユーザーの支持を集めていましたが、オンライン上で購入まで完結出来る訳ではありません。厳密にはeコマースビジネスとは言えない状況で、Kaskusの方は、オンラインで購入出来る仕組みを導入する動きが見られます。

 このような状況の中で、弊社投資先でもあるC2C型のECモールを運営している「Tokopedia.com」がユーザー数/トランザクションボリューム共に急成長しています。購入ユーザーの割合も女性ユーザーが多く、化粧品/ファッション等の女性向けジャンルが非常に売れ始めています。

 その他には、インターネット・ショッピングモール「Rakuten Belanja Online」や大手たばこ会社「ジャルム社」が運営する「blibili.com」等が存在しています。

 また2012年は、モール型のサービスだけではなくB2Cの電化製品、ファッション等のジャンル特化型のeコマースサービスの参入も目立ってきています。

 ドイツに本社のあるロケットインターネット社は、東南アジア各国でファッションサイトの「Zalora」や電化製品に強い「Lazada」等のeコマース関連事業を複数立ち上げ、資本力を武器に市場参入してきています。弊社投資先のベビー/子供向け製品のeコマース「Bilna.com」も現在、成長の兆しを見せています。

 同様のサービスは、インド/ブラジル等の新興国でも急成長しているためインドネシアでも大きなチャンスがあると考えています。2013年も引き続きeコマース市場への参入も多く、市場全体が成長すると考えられます。


 このように多くの事業者が続々と参入をしていますが、ペイメントゲートウェイ、ロジスティックスには大きな課題を抱えており、成長するためのエコシステムは、まだまだ未整備です。

 では、現在、どのように購入をしているのか?と言うと大部分がATM等からの銀行振込がメインとなります。最近だと銀行数社がオンライン上で銀行振込が可能となるサービスを開始し、普及が進み始めています。

 ただし利益を出しビジネスとして成立するためには、もう少し時間がかかるでしょう。

他分野のサービスにチャンスはあるのか?

 個人的にはeコマースのみではなく、その周辺サービスにもチャンスがあると考えています。具体的には、価格比較サイト、アフィリエイト広告と言ったサービスとなります。

 すぐに収益化は難しいと思いますがeコマースの立ち上がりに合わせて成長して行くサービスのため、今年が先行者メリットを享受出来る参入タイミングだと思っています。

 また、eコマース観念以外にも多くの企業が参入し始めている分野があります。中でもオンラインの旅行関連サービスは、注目を集めています。

 国内旅行市場の拡大も今後期待されるため 、大手旅行代理店がオンラインホテル宿泊予約サービスを、リクルート社が現地企業へ投資し「Pegipegi.com」を立ち上げたりと大手企業の参入が相次いでいます。

 一方で、国内スタートアップも参入しており「Tiket.com」「Tiket2.com」や「Traveloka」、その他多くのサービスが立ち上がっています。

インターネット市場のプレイヤーの増加

 国内スタートアップ以外にも多くのプレイヤーが参入を始めています。

 日本企業として既に事業を展開しているのは、楽天・アドウェイズ・ベリトランス・サイバーエージェント子会社のマイクロアド等があります。


 また中国からはTencent・Baidu等の大手事業会社、韓国からはSKグループ・カカオトークや多くのオンラインゲーム会社が参入しており、アジア各国のインターネット企業からの注目度も高まってきており、東南アジア戦略においては無視できない市場になってくるでしょう。

スマートフォン市場に関して

 最後に少しだけスマートフォンについて触れておきます。現在、インドネシアでのスマートフォンの普及台数(ここではiPhone、Android、Black Berryを指す)は1,000万台前後であるが、大部分がBlack Berry(正確なデータは無いが700万台程度)と言われています。

 ただインドネシア国内の大手携帯販売店の2011年および2012年の販売実績を見るとAndroid携帯がBlackBerryを上回っており、また既に1万円台の低価格で販売されるようになっているため今後急速に普及すると考えられます。

 iPhoneの普及も進んでいるが高価(日本円で8万円程度)なため、多くのユーザーは購入出来ず、日本のように大きく普及する事は考えにくいでしょう。

2013年の展望

 改めてまとめます。インドネシアでは、eコマース市場だけではなく、現在、多くのスタートアップが立ち上がっており、旅行関連サービスや不動産関連サービス、美容関連サービス、レストラン検索サービス等の他国でも大きく成長しているインターネットサービスの出現/成長が考えられます。

 これらのサービスは既にプレイヤーは、いるもののマネタイズまでに時間がかかるため、サービスを開始したが早期に撤退、放置してしまっているプレイヤーも多い状況です。

(*インドネシアの経営者は、比較的すぐにマネタイズしたい思考の人が多く、すぐに別の新しいビジネスを仕掛ける事が日常茶飯事です。)

 またスマートフォンの普及により、数多くのモバイル関連サービスが成長してくると思われますが、ユーザーリテラシを含め未成熟の市場のため、ビジネスとして立ち上がるのには多少時間がかかると考えています。

 高い成長ポテンシャルを持つインドネシアのインターネット市場を大きく成長させるためには、やはりマネタイズ出来るまでの期間を支援できる投資家の存在が必要だと考えています。

 まだまだインドネシアでのインターネット分野への投資家の数は多くない状況ですが、サイバーエージェント・ベンチャーズは全力でインドネシアのインターネット市場の成長に貢献すべく支援をして行きたいと考えています。

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写真:NetImpact Jakarta
※支援活動の一環でスタートアップ経営者向けにカンファレンス等を開催しています

【関連URL】
・インドネシアの大学生のインターネット利用実態 【CAVジャカルタ代表 鈴木隆宏 @takabos】@maskin
http://techwave.jp/archives/51779067.html
・ローカルの懐に入り込む投資家ーCAVインドネシア鈴木隆宏氏【本田】
http://techwave.jp/archives/51730693.html

蛇足:大切な視点 -Hiro’s eye
takahirosuzuki (Photo:Masahiro Honda)今回は、全体的な話しについて書きました。(具体的に聞きたい!などがあれば個人的にコンタクトしてください) また次回、インドネシア情報のテーマに関しても募集しているのでリクエストを送って頂けると嬉しいです。
なお、今回の記事は弊社が運営しているRising-Asia(http://www.rising-asia.com/)からの寄稿となります。

Rising Asiaでは
・各ベンチャーキャピタリストから見る、アジア各国のスタートアップ市場とそれに対する考察
・各ベンチャーキャピタリストが考える、有望事業分野とそれに対する考察
・各国のおもしろいスタートアップ企業の紹介
を定期的に発信して行きます。

著者プロフィール:CAVジャカルタ事務所代表 鈴木隆宏
経歴(株)サイバーエージェント入社後、(株)サイバー・バズの立上げに参画。メディア事業の立上げや営業職として新規顧客の開拓に携わる。その後、(株)CyberXにてモバイルソーシャルアプリの立上げおよびマネジメント業務に従事し、高収益事業への成長に貢献しMVPを受賞。2011年6月より、(株)サイバーエージェント・ベンチャーズにて、国内ベンチャー企業の投資活動及び経営支援業務に携わる。 2011年10月より、インドネシアにてベンチャー企業への投資活動及び経営支援業務に従事。早稲田大学スポーツ科学部卒。CAVのオウンドメディア「Rising-Asia」でも執筆中。

Twitter: https://twitter.com/takabos
Blog: http://ameblo.jp/taka-bos/

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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