「APlay」 音声UIの未来はすでに始まっている【@maskin】

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インターネットが一般社会に普及し始めた1990年代前半、「ネットはいずれ水のような存在になる」と言われていたことがある。現在、ネットはスマートフォンという高性能デバイスと共に水のように浸透し、私達の生活を急激に変容させているのが現実だ。

ただ、テクノロジーの浸透は、しばしば人間としての営みとの軋轢を生む。それは文化的な側面やモラルという難しい問題であることもあるが、“ながらスマホ”のような形状や機能のあり方で解決の道筋が見えるものもある。

パイオニアで国内外カーナビの技術企画研究を経験してきた山本健太郎氏率いるネイン(nain)社の「APLAY」は、“スマホを触らせないこと”をメインテーマに開発された音声デバイスだ。見た目は無線接続のイヤフォンだが、スマートフォンからの情報を読み上げ、それに反応するといったことができるユーザーインターフェイスの一つといってもいい。

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イヤフォンとマイク、そして細やかなインターフェイス

「APLAY」は、スマートフォンに対応したBlutooth接続イヤホフォンとして動作する。高性能のエコーキャンセリング搭載マイクが搭載されており、通話などももちろん快適に利用できる。専用のアプリを使用することによって、スマートフォンの通知を読み上げてくれる機能をもつ。現在、アプリはAndoird5.0以降に対応しており、iOS版も開発中だ。なお、Android以外のデバイスでも、Blutoothイヤフォンとして使用できる。

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AppleのEarPodのような完全ワイヤレスの大胆なデザインではないにしても、ポッド部分の刺激的なデザインが目を引く。バッテリ内蔵で、音楽を再生した場合、最大で約8時間再生できる。アイドル状態なら250時間もつ。

マイク部分には、「○」「+」「−」という3つのボタンがある。それぞれが電源ボタンであったり、音量の上げ下げなどのほか、組み合わせた多様な機能を果たす。

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バッテリへの充電は、マイク部分にところ狭しと組み込まれたmicroUSB端子経由でおこなう。充電時間は公称2時間。

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パイオニア出身チームが開発しているだけあって、音質面のこだわりはさすがだ。

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スペック部分の詳説は避けるが、予価1万円(クラウドファンディングでは1万円以下)とは思えない音質だ。また衝撃防止のミミ(ポッド部分にある白い突起樹脂)やからまり防止の磁石など、音声デバイスとしての作り込みだけを見ても十分購入するに値する。

ステータス通知の読み上げ

では、どんな風に使用できるかというと、ずばりスマホに通知されてくるアップデート情報が、そのまま音声として読み上げてくれる仕組み。

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まず、画面のようにアプリから届くアップデート情報が日本語で読み上げられる。また、FacebookメッセンジャーやLINEのようなチャットのメッセージ、メールのタイトルなどがそのまま読み上げられるほか、ボタン操作で音声で返信したり「いいね」などのアイコンを送り返すことも可能だ。

音声読み上げについて、ある程度使用してないとその利便性についての実感がわきにくいのだが、移動中やランニング中など、いちいちスマホや時計型デバイスでアップデートをチェックしていられない場合など、刻々と進行する対話や仕事などのアップデートを把握するのにとても重宝する。書類整理やメール執筆など他の仕事をやっている最中に、全体の動きを理解するなんて使い方にもフィットしそうだ。

受信に対するインタラクションについては、基本的にボタン操作が必要。現行のバージョンでは触感でどのボタンかを識別しにくいため、スムーズに操作できるとはいいがたく、かつチャットに声で返答するという行為が先方に受け入れられるか微妙に感じることもあり、筆者が使用している限りでは稀に「いいね」するくらいにとどまっている。

製品を象徴とする部分なのにもったいない限りだが、これはいずれ音声認識による操作へと進化するのだろうという強い期待を感じながら使用を続けている。

音声UIデバイスはすでに世界の潮流となっている、遅れる日本語対応とどう戦うか

AppleのSiriを筆頭に、音声認識技術は想像以上に浸透している。例えば、米Amazonの音声デバイス「Amazon Echo」は、APLAYと同じような読み上げ機能と音声認識により対応する複数のネットサービス&IoTデバイスを操作できるというもの。2014年にひっそりとリリースされた割には、大ベストセラーとなっている。

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これはAmazon Alexaというクラウド型音声認識エンジンを使用しているのだが、このSDKが提供されており、スマート腕時計米Pebbleの次期バージョンでも採用されるなど大きな話題となっている。

この流れの対抗馬として注目されるのはいくつかある。最もわかりやすいは「Google Home」だろう。

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これは2017年にリリースされるとの見方が強い。APLAYがこういったサービスと連携されたらどうなるだろうという期待もあるのだが、いずれも日本語には対応していない。英語の音声認識の技術的成熟度は注目に値するが、筆者の体験している範囲で考えると日本語の音声認識はまだまだ実用的ではないと思う。

そう考えると、APLAYがチャレンジしている「ボタン」のの組み合わせ型インタラクションが、日本においては現実的ラインなのかもしれない。彼らはブログの中で人工知能型のクラウド音声認識サービスの導入や、APLAYの次期バージョンでは「ケーブルレス」「ボタンなし」「行動の流れをふまえ自動で情報を抽出」といったことを実装するといった発言をしており、折衷案といういよりは、もっと壮大な理想像に向かって製品を進化させるのかもしれない。



【関連URL】
・APLAY | Nain
http://www.nain.jp/aplay/
・大事な情報を声でやりとり。移動時間を快適にするスマートイヤホン「APlay」 | makuake
https://www.makuake.com/project/aplay/

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin-bit-2016 最近、イヤフォン関連のクラウドファンディングが目立つように感じている。外部音が聞き取りやすいタイプやとにかく高音質をうたったものなど。電車での移動が多い日本市場を狙うからそうなるのか、そもそもイヤフォン関連の市場にはまだ見ぬポテンシャルが隠れているのか、今のところまだよくわからない。僕自身、イヤフォンについては年中プロダクトを物色している状態なので、同じような人は相当数いるのだろうか。

それでAPLAYだが、まず感じたことは安いということ。音質についてはコスパが非常に高い。それと読み上げ機能も満足。それ以外の部分はまだ未知数なのだが、今後がたのしみなプロダクトという点には曇りがない。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。
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