マーケティングテクノロジーと向き合うための「目利き」― ad:tech kansai 特集(9)電通関西支社 西田悟史氏

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関西地域3拠点を舞台に繰り広げられる「ad:tech kansai」のボードメンバーの方々のインタビューを連載形式でお伝えします(特集一覧はこちら)。

電通関西支社メディアマーケティング部 部長 西田悟史氏

電通の中でも広告効果測定に関する研究開発に従事してきた電通関西支社メディアマーケティング部 部長 西田悟史氏に日々広告主と向き合う中で感じる広告主の課題と、これからの広告効果測定指標についてお話を伺いました。

—日々クライアントと接していらっしゃる中で広告主側の課題を感じることはありますか?

最近、各メディアやベンダーが行うカンファレンスが大規模になっていますよね。各社大きなニュースになりますし、非常に注目度も高い。とても刺激的で有意義なのですが、クライアントからは「結局どのサービスが良いのか?」がややわかりにくく、意思決定が難しくなってきているのではと感じることがあります。自分たちの課題解決になるのかどうかを見失わずに使うべきものを選択するには「目利き」が必要だと思います。

—選択が非常に難しくなってきていると。

デジタル広告は少額の予算から挑戦できる施策も多く、敷居が低くなっています。クライアントごとの情報格差もだいぶ解消されてきていると思いますが、理想と現実のギャップも含めて何が広告主にとってベストなのかを見極める力が求められるようになりました。「最先端テクノロジーによる課題解決がベストと思わない」という場合もあり、現場の生の声に接することで「目利き」を養うことが非常に重要だと思います。

—単に先端テクノロジーを導入すればよいのでなく、目的に合わせて最適に使いこなすという点では、広告・マーケティング業界側も課題がありますね。

注意したいのは取得したデータを具体的なアクションにどれだけ繋げることができるのか、という点です。例えば位置情報においては、様々なデータが取得できるようになりましたが、ではデータをどの施策にどの程度使えるのか? がきちんと理解されていないこともあるかと思います。アドフラウドの問題にしても、測定の仕組みができつつある中で、出てきた数字がどのように課題解決に貢献するのかを軽視していては意味がありません。ゴールまでの過程を明確に提示していく必要があります。

—データの取得方法や蓄積、分析に選択肢が多くなったからこその状況ですね。

悩ましい課題ばかりでなく楽しみなこともあります。広告効果測定においては、テレビとwebの統一された「物差し」がそろそろ生まれるのではないでしょうか。私たちも「STADIA」(*)を開発し、テレビの視聴データを用いた広告配信ができるようになってきているので、いよいよこれからです。そこから新たな課題や提言が生まれてくるのではないかワクワクしています。クライアント側の注目度も高いのではないでしょうか。より多くの企業にご利用いただけるように地盤を固めて、最終的なゴールとして包括的なプランニングや効果検証をしていきたいです。

—西田さんが個人的に気になるトピックはありますか?

専門外なのですが、「クリエイティブジャンプ」をどのようにデータオリエンティッドなプランニングに取り入れていくのかについて興味があります。次々に生まれるAIがデジタル広告の世界に限らず活躍の場を広げているなかで、AIにはできないこととはなんだろう?と。ダイナミッククリエーティブも進化を続けていますが、「クリエイティブジャンプ」は機械には難しい領域ですから、機械でできることと人間のアイデアがないとできないことをどうミックスしていくのかは、大きなテーマですよね。アイデアをどう生かすのか、効率化できないものは何なのかと、深く探っていくのも大切だと思います。

—今年ですとAIはad:tech kyotoの複数のセッションで取り上げられています。

今回は京都の企業が多く参加されているので、交流も楽しみにしています。アドテックの面白さは、リアルタイムに場の議論が可変していくところだと思うので、お互いに共通言語を獲得していきながら広告主、メディア、ベンダー、広告会社などが混じり合っていくと理解が深まるのではないでしょうか。特にキーノートは重要で、キーノートを軸に、その後のセッションが連鎖していきます。イベント全体の共通言語としてまずは抑えたいところです。そして沢山のセッションに参加していくと、自然と多面的な角度からトピックを捉えることができるので、得るものがより大きくなると思います。クローズドのセッションでは他では聞けない実例も聞けますし。

色々なレイヤーの人たちが集まる貴重な機会、実ビジネスに結び付けられる気づきを得たいですね。

—そこは事務局としても盛り上げていきたいです!ありがとうございました(了)

(プロフィール)
西田悟史
株式会社電通関西支社 メディアマーケティング部 部長
日本マーケティング・サイエンス学会正会員。 京都大学大学院工学研究科修士課程修了。 2001年に株式会社電通に入社し、メディアプランニング業務や広告効果に関する研究開発業務に従事。現在はマーケティングコンサルティング業務に加え、WOM(クチコミ)・ソーシャルメディア・BigData・デジタルマーケティング等の研究開発業務を担当。ad:tech・INFORMS・JINSなど講演実績多数。 主な研究・講演 「Optimal Heterophily and the Impact of Word-of-mouth(2008)」「メジャー感に関する考察:クチコミ伝播における新しいドライバー(2009)」「Twitterによるマーケティング・イノベーション(2011)」「知覚認知率がクチコミ受信意向に与える影響 (2011)」「BtoB企業こそソーシャルメディア活用を(2012)」「Facebookが導くビジネスチャンス(2012)」「ビッグデータで儲かるのか?(2013)」「マルチスクリーン時代における効果的な広告効果測定とKPI設定(2014)」「BOOKMARK:日本型クリエイティブ・サービスの時代(2015)」「トラディショナルメディアとデジタルの相乗効果は(2015)」「テレビ大国日本で、長期的なデジタルとマスの効果測定を考える (2015)」「縦断的データを用いたオンライン・オフラインの広告効果測定モデル(2016)」

(*)電通、統合マーケティングプラットフォーム「STADIA」の正式版を4月から提供開始― テレビの実視聴ログデータとデジタル広告配信の連携を強化 ―
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/0331-009210.html

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アドテック京都
日程:2017年7月18日(火)
場所:みやこメッセ
参加者数:1,800名+

アドテック大阪
日程:2017年7月19日(水)
場所:堂島リバーフォーラム
参加者数:200名+

アドテック神戶
日程:2017年7月20日(木)
場所:KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戶)
参加者数:1,000名+

うえの みづき

うえの みづき

お茶の水女子大学卒、民俗学を専攻し在学中はセーラー服やルーズソックスなど女子学生の制服文化について研究。新卒入社した出版社のベンチャー部門で法人営業を担当するも、クライアントの「紙媒体の予算はデジタルに回すことにしたんだ」の一言にショックを受け、web業界へ。
うえの みづき

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