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クックパッドは2018年7月10日、生鮮食品ネットスーパー「クックパッドマート」を2018年夏、東京の一部地域よりサービス提供開始することを発表しました。「1品から送料無料で注文、好きな場所・好きな時間に受け取ることができる」。そんな便利なサービスですが、宅配業者の労働負担過多などが問題になる昨今、生産者・流通・消費者それぞれが価値を感じる内容なのか?聞いてみました。
コミュニティで生産・加工・流通・消費するモデル
まず、今回発表された「クックパッドマート」は、2018年夏に東京の渋谷区・世田谷区・目黒区の一部でサービスを提供するものとなっています。「人口が多いからでしょ?」と感じる人もいるかもしれませんが、なんと、東京はもちろん周辺エリアで生産・加工されている食材が中心となり、配送もコミュニティ型、つまり地域にある店舗などが荷受けのハブになるような構造だったのです。
ですから、現在公開されている「クックパッドマート」のティザーサイトでは、「販売店」として参加する販売者・生産者や、「受け取り場所」として参加する店舗・施設等のパートナーの募集を行っています。
一般世帯が求めるこだわり食品
「クックパッドマート」で扱うのは、提供地域の精肉店や鮮魚店、ベーカリーが提供する「焼きたてパン」、店や農家の「朝採れ野菜」などの新鮮な「こだわり食材」。クックパッドマートではこれら販売店を巡って集荷した商品を、当日に受け取ることができる仕組みを構築します。商品は、提供地域の様々な店舗・施設等に設置された「受け取り場所」の中から、利用者が選んだ場所・時間に受け取ることが可能になっています。
一見すると、IT企業がやるものとは思えない人間味あふれる仕組みのように感じます。しかし、このプロジェクトを担当した買物事業部長として「クックパッドマート(Cookpad Mart)」の事業責任者を務める福崎康平氏は、「毎日の食事のレシピを配信するクックパッドが作っていくべきプラットフォーム」と語ります。
クックパッドがやるべきサービス
「クックパッドマートは、2年位前から料理に集中したいという思いで新規事業に注力してやっと目がでてきたサービスです。現在フォーカスする領域としてまず「レシピ」、「生産」、「買い物」を掲げており、日常の料理を楽しみにしているレシピサイト クックパッドだからこそ、その食材を扱うのであれば加工品や保存食だけでなく、毎日使う生鮮食品も届けられるようにしていきたいと思ったのです」(福崎氏)。
商品をこだわり食材に注目したのには理由があると福崎氏は言います。
「日本てどこを見渡しても大手が日頃の食材を購入できる場所になっています。ECでも大規模な事業者さんも挑戦できる土壌になっている。しかし一方で、人口減少や高齢化など精肉店や魚屋、農家さんがその価値を十分に展開できるとは言いがたい状況です。
ですから、今回のクックパッドマートでは運送業者は委託になりますが、それ以外は品質から温度管理まで介入します。モデルとしては「Uber Eats」さんにちかく、いわゆる酒屋さんが各店舗に商品を運ぶのと同じようなモデルになります。
具体的には、農家やお肉屋さんなどをルート集荷して、ルート配送するというものです。物流センターがあるわけでないので、エリア内で集荷配送をすることでオンデマンドで配達できるというメリットがあります。また、それぞれの店舗や生産者から直接集荷配送するため欠品しているという状態を回避しています。エリアを狭めることで、野菜など収穫後当日中に配送することができるわけなんです。
今、現在の食材の流通において、生鮮食品については正解が出ていないと思うんです。多くの事業者さんは利益も出にくい状態。クックパッドとしてはこれをクリアにする義務があると思うんです。レシピ作者さんの思いを大切にしてきたサービスなので、ユーザーさんはもちろん、食材の生産者さんにも同じ思いでサービスを提供していきたいと思っているんです」(福崎氏)。
【関連URL】
・[公式] クックパッドマート
蛇足:僕はこう思ったッス
はじめにこの事業を聞いたときは複雑な思いだった。当初からのクックパッドならではのシンプルながら高い継続率を誇るような取り組みなのではないか?という期待。一方で、記事本文に書いたような「Too Muchで誰かが負担を負うことになるのでは?」という疑問だ。しかし、話を聞いてみると、昔の日本、コミュニティのエリアの中で人と人とが助け合って生活の品質を向上していった「成長するコミュニティ」を目論むビジョンに共感できた。私が住む栃木県宇都宮市は、実は農家が直納品するお店がかなり増えている。ただ、極端な車社会なので高齢の方はふらふらしながら車を運転して日々買い物をしている状態だ。テクノロジーはこうした目に見える課題を解決してその価値を発揮するのだろうと、僕は信じている。