ネット広告がテレビCMを超える日(山崎秀夫、兼元謙任著・マイコミ新書)
オモシロカッター!!それほど期待しないで読んだ(ゴメンなさい)んだけど、非常に面白かった。ネット広告市場がテレビCM市場を超える日をばらしてしまえば、2018年(前倒しの可能性あり)。まあいつそうなるかはそう重要じゃなく、その予測の根拠が重要なんだけど、地デジでローカル局の経営が圧迫され、持ち株会社の解禁や著作権法の改正などを通じて、業界再編が進む、という読みが根底にある。それとは別に、視聴形態の多様化や、技術革新などといった大きなうねりもある。こうした根拠に各種予測を組み合わせ、テレビ広告市場は2011年ごろまでに1割ほど減少するとして、一方でネット広告市場は年率で10%成長を続ける。そうすれば2018年ごろにネット広告がテレビ広告を抜くというわけだ。
ネット広告誕生後の約20年でテレビ広告を抜くわけで、かってテレビ広告が新聞広告を抜いたケースとよく似ているのだそうだ。
さて何が面白かったかと言うと、あちらこちらではっきりと断言しているところ。わたしを含め記者出身者の本は、両論併記したり、あいまいな表現を取るとこがあるんだけど、この本はかなりの根拠を持って、ズバリと予測しているので、読んでいて気持ちがいい。
わたし自身は、持ち株会社が解禁になるのか、著作権法が改正されるのかは、よく分からない。よくわからないんだけど、この本のいうように、広告の概念の中に販促費や顧客管理費なども含まれるようになり、広告市場が大きくなっていくのだと思う。広く告げるのではなく、狭く告げる「狭告」のようなものが増えていくのだろう。いわゆるロングテールの概念だ。そしてそのロングテール部分、「狭告」部分はネットの得意とするところだ。とはいってもテレビ局でも「狭告」市場に打って出ることは十分可能。ネット企業がテレビ局を飲み込むとかいう話ではない。念のため。
それにしてもマイコミ新書って、おもしろい本をいろいろ出すものだと感心。