FacebookのCEO、Mark Zuckerberg氏はソーシャル化によって今後5年以内にあらゆる業界の勢力図が塗り替えられると主張する。ソーシャル化といっても、既存のサービスにTwitter投稿用のボタンを付けるだけではだめ。友人と情報や行動を共にするということを前提に、サービスを一から作り直す必要があるという。
具体的にはどういうことなのだろう。Zuckerberg氏は、Facebookの写真アルバム機能を例に挙げている。
Facebookの写真アルバムは、写真を友人と一緒に見ることを基本コンセプトに作られてある。自分の写真のコーナーなのに、友人たちが最近アップロードした写真が一覧で表示される。友人の活動内容を視覚的に把握できるようになっている。日記を書くことが苦手な人も、自分の情報を発信できるようになっているわけだ。
写真の中に写っている人物の顔のところをクリックすれば、その人の名前を入力できる。名前が入力されれば、そのことが友人のニュースフィードに掲載されるようになっている。またメールアドレスを入力すると、その人に写真のリンクが送付され、友達リストに追加されることになる。
Facebook以前の写真共有サービスといえば、解像度や印刷機能などの改良に力を入れるところがほとんどだった。Facebookのように友人とのコミュニケーションの道具として写真をとらえたサービスはなかった。
Facebookの写真アルバムは、Facebookのサービスの中でも最も人気のあるサービスの1つで、初期のFacebookの起爆剤となったサービスだ。Zuckerberg氏によると、他社の写真サービスをすべて合わせてものよりも数倍以上も利用されているという。
Facebook上で人気が出たソーシャルゲームと呼ばれるようなゲームも、友人と一緒にプレーすることを前提に作られたサービスだ。ソーシャルゲーム最大手のZyngaの人気農園ゲームFarmVilleもそうだ。一人で土地を耕し、苗を植え、収穫していても、何も楽しいことはない。友人と苗をプレゼントし合ったりしてこそ楽しいゲームだ。写真アルバム同様に、ゲームが友人とのコミュニケーションの道具になっているわけだ。何も話すことがなくてもプレゼントし合うことなどで、「気にかけていますよ」というメッセージを相手に送ることができるわけだ。
ソーシャルゲームでZyngaは急成長を続けており、時価総額では老舗の大手ゲーム会社Electronic Artsを上回ったと報じられている。
ゲーム業界は、常に時代の変化を先取りしてきた業界。ゲーム業界で起こっている業界勢力図の大きな変化が、今後あらゆる業界でも起るだろう、というのがZuckerberg氏の予測だ。
株式会社メンバーズさんのサイトに寄稿した原稿です。メンバーズさんのご好意で一部こちらに使用させていただきました。続きはメンバーズさんのサイトでどうぞ。